Account Engagement(旧 Pardot)とは?機能や特徴、他のMAツールとの比較も含めて徹底解説

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Account Engagement(旧 Pardot)とは?機能や特徴、他のMAツールとの比較も含めて徹底解説

この記事でわかること

  • Account Engagement(旧 Pardot)とはそもそも何か?特徴や実現できること
  • Account Engagement(旧 Pardot)と他MAツールの比較情報やAccount Engagement(旧 Pardot)を導入するのに向いている企業の特徴
  • 様々な業界でのAccount Engagement(旧 Pardot)の活用事例

執筆者 杉山元紀

営業・マーケティング活動を効率化するために、多くの企業が導入しているマーケティングオートメーションツール(以下:MA)。数あるMAツールのなかでも日本で最も選ばれているのが、Salesforce社が提供しているAccount Engagement(旧 Pardot)です。

本記事では、MAの導入を検討しているがどの製品が自社に合うか分からない、Pardotって名前は聞いたことはあるが、何ができて他のツールとの違いが分からないなど、そんなお悩みを抱える方に向けAccount Engagement(旧 Pardot)の特徴や機能、他ツールとの違いや活用事例についてご紹介いたします。

参照:Salesforce(セールスフォース)とは?機能やメリット・デメリットを簡単に解説!

1. Account Engagement(旧 Pardot)とは

Account Engagement(以下、Pardot)とはSalesforce社が提供するマーケティングオートメーションツール(MA)で、見込み客の情報を一元管理することで、顧客ステータスに合わせたマーケティングキャンペーンの自動化などを通じて、商談獲得効率やマーケティング業務効率を最大化することができるツールです。Salesforce社が提供するツールなので、Salesforce Sales CloudやSalesforce Service Cloudとのシームレスなデータ連携ができる点が大きな特徴です。

元々はExact Target社の製品でしたが、2013年にSalesforce社がExact Target社を買収したことで、Salesforce社の製品となりました。

参照:Salesforce Sales Cloudとは? セールスクラウドを分かりやすく解説

参照:Service Cloudとは?機能やSales Cloudとの違い・価格体系などをわかりやすく解説

Account Engagement(旧 Pardot)の特徴

国内外問わず多くの企業に選ばれているPardotですが、具体的にどのような特徴があるのでしょうか?具体的に確認していきましょう。

Salesforceとのシームレスな連携

Salesforce社が提供しているSalesforce Sales CloudやSalesforce Service Cloudとシームレスにデータ連携できるのが大きな特徴です。例えば、Salesforce Sales Cloudで保持している商談データやキャンペーンデータをPardotと同期させれば、商談ステータスやキャンペーンの状況に合わせて施策を出し分けたり、自動でメール配信ができたり、リード状況に合わせた施策を行うことができます。

参照:【完全版】Account Engagement(旧 Pardot) とSalesforceのデータ連携仕様の徹底解説

シンプルな操作性

Pardot LightningはSalesroceとUIが一体化し同じ画面で利用できるため、すでにSalesforceを導入している企業であれば、違和感も少なく操作もしやすいのではないでしょうか。Adobe Marketo Engageなど他製品と相対比較すると機能がシンプルで優しい操作性のため、Sales CloudやService Cloudを利用しているユーザーは画面への違和感が少なく利用をはじめることができるので、新任担当者への引継ぎや初めてMAツールを導入する企業にもおすすめです。

AIを活用した有望な見込客の発掘

PardotにはPardot EinsteinというAIが搭載されていて、主に以下3つのシーンで活用できます。

  1. リードスコアリング顧客になる可能性の高い見込み客をAIが自動的に発掘する
  2. 行動スコアリング見込客にアプローチする最適なタイミングを把握することができる
  3. キャンペーンインサイトマーケティング活動において効果の高いキャンペーンをリアルタイムで特定する

AIが自動でスコアリングを行うことで、ホットな見込客の発掘やキャンペーンの検証を自動的に行えるので、マーケティング担当者はより生産的な本来の業務に集中することができます。

国内MAツールシェアトップ

Pardotは数多あるMAツールのなかで、国内での導入シェアがトップであり、20%以上のシェアを占めています。顧客・営業管理システムで最大手である「Salesforce」とのシームレスな連携やその安心感から多くの企業から選ばれています。

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参照:DataSign Webサービス調査レポート 2022.9

Account Engagement(旧 Pardot)で実現できること

Pardotを活用することでどのようなことができるのでしょうか?ここではPardotで実現できることを6つに分けてご紹介します。

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リード獲得

直感的UIでドラッグ&ドロップでアンケートや各種申込フォームが作成できる機能や、既存フォームから登録データをPardotに受け渡しできるフォームハンドラー作成機能、同じく直感的なUIでランディングページ(LP)が作成できる機能が搭載されており、リードを獲得するために必要な機能が備わっています。

また、広告からの流入によるリードトラッキングにより、リード獲得効率を高めることもできます。

参照:リードジェネレーションとは?意味やフロー、具体的な手法まで詳しく解説

リード育成

ステップメールやシナリオ作成がドラッグ&ドロップで直感的に行えるEngagement Studioや、見込客の興味関心度を定量的に評価するためのスコアリング機能など、顧客の状態やステージに合わせたコミュニケーションを行うことで、リードの製品・サービスへの意向度を向上させていくことが可能です。

顧客に合わせたメールのパーソナライズ

Pardotにはリードの属性や行動によってコンテンツを出し分けるダイナミックコンテンツや、A/Bテストも標準搭載しており、one to oneメールを行うための機能も備わっています。また特定の条件の見込み客を絞り込んでリストを作成することができるセグメンテーションルールや、特定の条件を基に自動的にリスト内の見込み客を追加・削除することができるダイナミックリスト機能も利用できます。

参照:Account Engagement(旧 Pardot)のダイナミックリストの使い方とは?セグメンテーションリストとの違いや注意点などをプロが解説

有望な見込客の発掘

先述したスコアリングや商材などカテゴリごとの興味関心度を定量化できるスコアリングカテゴリ、自社がターゲットとする業界や部署、業界などの属性データをもとに、見込み客を評価することができるグレーディングなどを用いることで、数多くいる見込客のなかから有望な見込み客を発掘・特定することも可能です。

リアルタイムな営業へのリード連携

有望な見込み客を営業にリアルタイムに連携・パスアップすることも可能です。具体的には、特定のスコアに達した見込客や、特定のアクションを行った見込み客を営業が利用するSales Cloudに連携することが可能で、Sales Cloud上で担当営業にToDoを作成することや、メールで有望な見込み客を通知することなどができます。

Sales Cloudとのシームレスな連携ができるPardotだからこそ実現でき、効果を最大限に発揮できるポイントの1つです。

マーケティング効果の可視化

配信したメールの開封率やクリック率などのパフォーマンスはもちろん、作成したフォームへのアクセス数や登録数、ランディングページへのアクセス数や登録数など各コンテンツのパフォーマンスを可視化することも可能です。

また、各コンテンツのパフォーマンス以外にも、リードステージや商談化率などを掛け合わせてキャンペーンごとの効果やマーケティングファネルの状態を可視化することで、より次に実施すべき施策や改善を具体的に検討することが可能になります。

Account Engagement(旧 Pardot)とSalesforce Marketing Cloudとの違い

Salesforce社はPardot以外にもMAツールとしてSalesforce Marketing Cloud(以下 SMC)というツールを提供しています。混同されることや違いがよく分からないという方向けにここでは分かりやすくその違いをご紹介します。

Salesforce Marketing Cloudの特徴

SMCは、Salesforce社が提供するMAツールで主にBtoCのサービス・プロダクトを提供している企業様向けに導入が多いツールです。

顧客情報の管理やメール配信はもちろんのこと、SMS配信やLINE等のSNS、広告、Web、Eコマース、カスタマーサービス、データ分析など様々な機能を利用でき、マルチチャネル・デバイスで顧客に合わせてパーソナライズされたコミュニケーションが可能なプラットフォームです。

参照:マーケティングクラウドとは?Salesforce Marketing Cloudの機能や価格体系、導入時のポイントなどを徹底解説

ビジネスモデルによって選ぶべきツールが異なる

一般的にPardotはBtoBビジネスでの利用が多く、Salesforce Marketing CloudはBtoCビジネスでの利用が多いですが、製品としてはBtoB/BtoCどちらでも両製品利用することが可能です。機能差異として、Salesforce Marketing Cloudは「集客型ビジネス」、Pardotは「商談型ビジネス」で効果的に利用できます。

Pardotは見込み客に対してスコアリングやグレーディングなどの機能等を駆使して、「見込み客の管理・評価」を行うことで、営業活動における、商談獲得の効率化や商談獲得コストを下げる効果を期待できます。

Account Engagement(旧 Pardot)の費用

Pardotには4つのエディションがあり、エディションによって利用できる機能が異なります。以下の表にエディションごとの料金や主要な機能差をまとめています。

  Growth Plus Advanced Premium
料金(税抜) 150,000円/月 330,000円/月 528,000円/月 1,800,000円/月
付帯する 最大10,000 最大10,000 最大10,000 最大75,000
オートメーションルール 50 100 150 150
専用ドメイン   追加料金
トラッカードメイン 3 10 20 20
フォーム 50 無制限 無制限 無制限
ランディングページ 50 無制限 無制限 無制限
Pardot Einstein
カスタムオブジェクト連携 追加料金
B2B Marketing Analytics 5ライセンス 5ライセンス 5ライセンス
B2B Marketing Analytics Plus 追加料金 追加料金 5ライセンス
Sandbox 追加料金 2 5
Google広告連携 追加料金
APIコール数/日 25,000 50,000 100,000 100,000

価格やPardotを使って実現したことを念頭に、自社に合ったエディションを選択しましょう。なお、AI機能であるPardot Einsteinなど、Pardotの機能を最大限に利用して、リードナーチャリング等を実施するのであれば、ミニマムはPlusエディション、できればAdvancedプランでスタートすることをおすすめします。

2. Account Engagement(旧 Pardot)の機能

Pardotにはマーケティング活動を自動化・高度化するために様々な機能が備わっています。ここでは12の主要機能でそれぞれ何ができる機能なのかを解説します。

Webサイトトラッキング

Pardotでは見込客のwebサイト上のアクティビティを捕捉し、「誰が・何に・どのくらい興味があるのか」を把握することができます。

Pardotから発行できるトラッキングコードをトラッキング対象のWebサイトに埋め込むことで、見込客のwebサイト上でのアクティビティ状況をリアルタイムで確認することができ、更にそのアクティビティによって施策を打つことが出来たり出し分けたりすることも可能になります。例えば、〇日以内にwebサイト上でアクティビティがない見込客に対して、キャンペーンメールを送るといったアクションが可能になります。

トラッキングコードの設定に際しては自社のDNSサーバーでの作業も発生するため、自社のエンジニアと協力しながら設定を行いましょう。

参照:Account Engagement(旧 Pardot)のトラッカードメインとは?設定方法と注意点を解説

メール作成・メール配信

Pardotではメールをドラッグ&ドロップで直感的に作成できる「HTMLメールエディタ機能」や「リストに対する一括メール配信機能」など、メールマーケティングを行う上で必要な様々な機能が備わっています。

他にも特定の条件の見込客を絞り込み、リストを作成できるセグメンテーションルールやダイナミックリスト機能があったり、メールのA/Bテストを行うことも可能です。

また、「メールのレンダリング機能」では、OutlookやGmail等様々なメールクライアントごとにどのようにメールが表示されるかプレビュー確認も行うこともできます。

参照:Account Engagement(旧 Pardot)メール送信完全ガイド。メール送受信の仕組みやメール作成~送信の設定方法、レポートの確認方法をプロが解説

フォーム作成

Pardotではビジネスに不可欠なフォームも簡単に作成することができます。作成したフォームはwebページとして公開することもできますし、iframeで既存ページに埋め込んで利用することもできます。

また、Pardotフォームを通してシームレスに取り込んだデータをもとに、見込客に対して自動的なアクションを行うこともできるため、マーケティング活動をより効率的に進めることができます。

参照:Account Engagement(旧 Pardot)フォームとは? 画面付きで設定方法を解説

Pardotではフォーム以外に、既存のフォームをそのまま活用し、Pardot内に見込客の情報を取り込むことができるフォームハンドラーという機能も備わっています。既存フォームのデザインを変更したくない場合や、フォームリプレイス工数やポリシーから既存フォームを利用する必要がある場合などで活用できる便利な機能です。

参照:Account Engagement(旧 Pardot)フォームハンドラーとは? Pardotフォームとの違いや利用ケースも解説

スコアリング・スコアリングカテゴリ

Pardotでは、Pardotで管理するプロスペクト(見込み客)のweb上の行動やメールに対するアクションから、興味や関心度を数値化し評価することができるスコアリング機能があります。このスコアはプロダクトやサービスに対するプロスペクトの暗示的な関心度を測定する手段となり、Pardotでは各アクションに対してデフォルトスコアが設定されています。

また、スコアリングカテゴリという機能もあり、Pardotスコアリングで設定される全体スコアとは別でプロダクトやサービス等、任意のカテゴリにスコアを付与することで、プロスペクト(見込み客)がどのプロダクトやサービスに特に興味関心があるのかを把握することができる機能です。

スコアリングカテゴリを使用し、カテゴリ別にスコアを保持することで、プロスペクトの興味関心に合わせたシナリオを起動することができたり、Salesforceと連携することで営業がアプローチする際にどの商材に興味関心があるプロスペクトのなのかを事前に把握することなどができます。

参照:【完全ガイド】Account Engagement(旧 Pardot)のスコアリングとは?スコアリングカテゴリとの違いや活用方法を解説

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グレーディング

Pardotのグレーディングとは、自社のターゲットに対して見込客が適合しているかを測ることができる機能です。スコアとの違いを見ると分かりやすいですが、スコアは「見込客が自社のサービス・プロダクトに対してどの程度興味感心を持っているか」を把握することができる、顧客アクションを基点にした指標になります。

それに対してグレーディングは「自社のターゲットに対して、見込客がターゲットとしてふさわしいかどうか=自社サービス・プロダクトに適合しているか」を、見込客の会社規模や業界、部署など属性情報から測定することができる指標です。

見込客をFからA+まで13段階で評価することができ、A+に近づくほど自社のターゲットに適合していて、注力すべき見込客として判断することができます。

ダイナミックコンテンツ

Pardotのダイナミックコンテンツとは、見込客ごとにメールコンテンツやwebコンテンツを出し分ける機能になります。特定の条件を指定することで、条件別にwebページやメールの文章を自動で出し分けることができるので、顧客に合わせたパーソナライズコンテンツを提供することが可能になります。

出し分けるコンテンツのバリエーションも1つだけではなく、複数のバリエーションを条件によって出し分けることができるのも便利なポイントです。

例えば役職によって、同じメールでも部長にはAのバリエーションを、課長にはBのバリエーションを、係長にはCのバリエーションのコンテンツを出し分けるようなことが可能になります。

Engagement Studio

PardotのEngagement Studioとは、Pardotの主要機能の1つで、メールシナリオの自動配信やプロスペクトの行動によってアクションを出し分けなど、GUIで直感的に自動化処理を作成することができる機能です。

例えば、「リストAに配信した1通目のメール開封者には3日後に2通目のメール配信を行い、1通目の未開封者には2日後に再度1通目のメールを送る」など分岐条件を設定できたり、メール配信以外にも多様なアクションを行うことができるのが特徴です。

以下は「資料ダウンロードを行ったプロスペクトに対してセミナーへの参加を案内する」シナリオの実際の実装イメージになります。

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参照:Account Engagement(旧 Pardot)のEngagement Studioとは?設定方法や具体的な利用事例、設定のポイントをプロが解説

オートメーションルール

PardotのオートメーションルールとはPardotの主要機能の1つで、Pardotの処理を自動化する際に用いる自動化機能です。特定の条件に基づいてリストに追加したり、スコアを加算減算したり、メールを送信することもできます。

更にSalesforceと連携していればSalesforceにToDoを作成できたり、特定のユーザに通知を送ることができたりと、プロスペクトに対して様々な処理を自動化できるため、使いこなすことで強力なマーケティングツールとなります。

オートメーションルールは「ルール」と「アクション」というシンプルな2つの構成要素でできており、この機能を活用することで様々な処理を自動化することができるため、マーケティング業務を大幅に効率化することが可能になります。

参照:Account Engagement(旧 Pardot)のオートメーションルールとは?使い方や注意点を実例を交えて徹底解説

ページアクション

Pardotのページアクションは見込客がトラッキングコードが埋め込まれているページを閲覧した行動を基点として様々なアクションを実施することができます。

例えば、価格ページを閲覧した見込客をリストに追加したり、メールで担当者に通知を送ることができます。ページアクションを効果的に利用することで、特定のページを閲覧した見込客にリアルタイムでアクションを実施することができ、タイミングを逃さず商談等に繋げることができる可能性があがります。

ただし、ページアクションはPardotのプロスペクトにのみ適用される機能で、プロスペクトになる前のビジター状態の見込客には適用されないので注意が必要です。

参照:Account Engagement(旧 Pardot)のページアクションとは?設定方法や実務での活用例などを徹底解説

ライフサイクルレポート

Pardotでは様々なレポートが用意されていますが、ライフサイクルレポートマーケティングレポートと売上レポートをまとめたもので、営業活動の健全性を把握するのに役立ちます。ファネルで表現されたレポートで、プロスペクトのステージ(パイプライン)ごとの数が可視化され、マーケティングが獲得したリードの受注までの歩留まりを把握することができます。

ただし、各ステージの定義はPardotが定義した内容から変更ができないので、自社のステージ定義に合わせたレポートを作成する際は工夫が必要なのでその点は注意が必要です。

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3. Account Engagement(旧 Pardot)を導入すべき企業

それでは、どういった企業がPardotの導入に向いているのでしょうか?ここからはPardotを導入すべき企業について具体的に見ていきましょう。

Salesforceを利用している企業

PardotはSalesforceと連携することでその効果が最大化されます。リード獲得や見込客育成のマーケティングフェーズから、商談活動や既存顧客フォローまでをPardotで収集した情報をSalesforceに集約し、一気通貫で可視化することができます。

また、両システムから取得したデータをそれぞれのシステムから利活用することもできるのも強みの一つです、例えばSalesforceに記録されている商談のデータをPardotで参照し、施策に活用することもできます。またそれ以外にもSalesforceで作成したカスタムオブジェクトのデータをPardotと連携させて、Pardotでコンテンツの出し分けやセグメンテーションに利用することができます。

リード数が最低5,000以上あり毎月新規リードを一定数確保できる企業

Pardotから定常的にホットリードを創出し、商談獲得・受注獲得に繋げるためには一定のリード数が必要になります。

例えば、メール施策においては仮に開封率が15%でCTRが3%、その先のCVRが0.5%だとしたときに、メール配信母数が5000件だと、開封数が750件、クリック数が15件、コンバージョン数は2.5件になります。

このように一定の母数がないと成果になかなか繋がりにくい可能性があります。また、同じリストに配信を続けていても反応は徐々に悪くなりリストが枯渇していくので、新規のリードが一定数安定的に入ってくる状態を作れているのが理想でしょう。

商談で失注した顧客のフォローができていない企業

商談まで進んだが失注してしまった顧客に対して、そのフォローが営業担当者に属人的になっていて、フォローができていないといった企業も多いのではないでしょうか。

Pardotを活用すれば、失注した顧客に対して自動的に再エンゲージを行うためのコミュニケーションを行うことも可能です。

例えば商談の失注日から〇ヵ月後に再エンゲージリストに追加して、あらかじめ作成しておいた再エンゲージメントシナリオを起動させるなどといったことも可能になり、営業の属人性を排除した失注顧客の再エンゲージメントを行うことができます。

アタックリストの優先順位が付けられていない企業

インサイドセールスや営業が多くのアタックリストを保有しているが、リストの上から順番にアタックしていてなかなか成果に繋がらない、効率的なアプローチはできないのかとお悩みを持たれている企業も多いのではないでしょうか。

Pardotを活用すれば、スコアやグレーディングによる優先順位付けはもちろん、最終アクティビティ日時やそのアクティビティ内容、興味関心のなるサービス・プロダクトをもとにアタックリストに優先順位を付けることが簡単にできます。

このようにPardotのデータを営業活動に活かすことで、営業活動をより効率化させることも可能になります。

4. Account Engagement(旧 Pardot)と他MAツールの比較

ここではPardotと比較されるMAツールをご紹介します。MAツールの比較検討を行う際に是非参考にしてください。

Adobe Marketo Engage

Marketoとは、10個のアプリケーションを搭載した、マーケティング活動を効率化させるMAツールです。MarketoはBtoCとBtoBの双方のマーケティングに対応しているため、より大規模な見込み顧客を対象とできます。

全世界で5,000社以上の導入事例を誇り、世界的なMA(マーケティングオートメーション)ツールとして有名です。2018年にはAdobeがMarketoを買収したことで大きな話題となりました。Marketoには以下の4つのプランがありますが、料金は明示されておらず問い合わせが必要です。

  • Select:デジタルマーケティングに必要な機能が利用可能
  • Prime:Selectの機能に加えて企業単位の管理(ABM)やカスタマージャーニーの分析、リターゲティング広告の配信などが可能
  • Ultimate:Primeの機能に加えてアトリビューション機能やマーケティングテスト環境の構築、メール配信到達率の強化が可能
  • Enterprise:Ultimateまでの機能はもちろん、マーケティング運用に応じた機能の相談が可能

Pardotと比較すると柔軟性・カスタマイズ性が高く、外部システムとの連携が豊富なため、より自社の運用に合わせてカスタマイズした運用を行いたい場合はおすすめです。

ただし、逆も然りでカスタマイズ性が高いがゆえに運用が煩雑になったり、豊富な機能を使いこなせなかったりすることに繋がる可能性もあるので、どのような運用を行いたいのかを導入前には検討しておくことが重要です。

参考:Adobe Marketo Engage

Hubspot

HubSpot(ハブスポット)とは、2005年にアメリカで開発されたインバウンドマーケティングのプラットフォームです。

無料のCRMを中核として、マーケティングやセールス、カスタマーサービスなどを支援する5つの製品で構成されており、必要に応じてアップグレードができるツールとなっています。低コストでツールを使い始めることができ、マーケティング施策の内容や規模に応じて拡張できるのが特長です。

Hubspotはエディションと機能の組み合わせで料金が変動します。具体的には以下のような組み合わせになります。また、初期費用は不要で支払いは年間払いになります。

  Starter Professional Enterprise
Marketing Hub ¥2,400 / 月~ ¥106,800 / 月~ ¥432,000 / 月~
Sales Hub ¥2,400 / 月~ ¥60,000 / 月~ ¥144,000 / 月~
Service Hub ¥2,400 / 月~ ¥60,000 / 月~ ¥144,000 / 月~
CMS Hub ¥3,000 / 月~ ¥48,000 / 月~ ¥144,000 / 月~
Operations Hub ¥2,400 / 月~ ¥96,000 / 月~ ¥240,000 / 月~

Hubspotは「インバウンドマーケティング」という思想を重要にしており、顧客から連絡してくることを念頭にプロダクトの設計がされています。この思想から、標準機能としてブログ記事作成やソーシャルメディア投稿・管理、動画のホスティングなど様々な「コンテンツ提供」の仕組みが提供されているのも特徴の1つです。

参考:Hubspot

5. Account Engagement(旧 Pardot)の活用事例

この章ではPardotを活用して事業成長を遂げている企業の事例をご紹介します。

株式会社ミスミグループ本社

ものづくりに関連した3,000 万点超を網羅するカタログ販売で知られるミスミグループ本社。同社では2016年に提供開始した機械部品のオーダーメイドを自動化し一気通貫で提供するサービス「meviy」事業にてSales CloudとPardotを活用し、営業・マーケティングプロセスの「標準化」「一元化」「自動化」に取組みました。

ミスミの基幹システムからmeviyのターゲット層を抽出し、meviy専用の顧客情報基盤をSales Cloud上に構築。サービス利用履歴、クレーム対応記録、ミスミの他部署からの接触状況などを、複数のシステムにアクセスしなくても全て分かるようにしました。同ツールのフル活用により、各チームの状況を共有し、認識を統一。同時に、顧客情報が集約されたことで、データを活用した自動化の基盤も形づくられるようになりました。

また、サービス未登録の見込み客からリピート利用のあるロイヤル顧客まで、リストに含まれる多様な顧客属性をもとに「初回利用の数日後に成功事例を紹介して継続利用を促進」といった状況別の「シナリオ」をそろえ、該当する顧客に適切なタイミングでメールを自動配信する仕組みが構築されました。

結果として、改革に着手した2019 年と翌20 年の比較で、meviyのプロモーションに携わる担当者1 人あたりの顧客獲得数は、4 倍にも増加。オンライン機械部品調達サービスの国内シェアでも55.5%※を握り、最大手の座を盤石なものとしつつあります。

*参考:https://www.salesforce.com/jp/customer-success-stories/misumi/

NECマネジメントパートナー株式会社

NECグループの働き方改革の推進母体として2014年4月に発足したNECマネジメントパートナーは、webマーケティングやブランディングを基軸に営業支援や展示会、デザイン、映像制作など複合的なソリューションをB2Bで提供しています。

Pardot導入後、その効果としてまずあらわれたのは、問い合わせフォームや資料ダウンロードページでプログレッシブプロファイリング機能を活用したことによる案件化率の向上でした。Pardot導入前と比較すると新規リードを1600件/年獲得できるようになり、案件数も約2倍に増加しました。

もうひとつ同社のMA戦略に重要な示唆を与えているのが、Pardotのスコアリング機能で、どういった属性や興味・関心事、行動履歴を有する見込み顧客が実際にセミナーに申し込むのかを判定する指標として同機能を活用しているといいます。

*参考:https://www.salesforce.com/jp/customer-success-stories/necmp/

株式会社フィードフォース

最新の技術を駆使し、企業のデジタルマーケティングを支援する各種サービスを展開している同社では、Sales CloudとPardotを活用してマーケティング・営業活動を効率化しています。

顧客や商談に関する情報をすべてSales Cloudに入力。それによって“点”として散在していた情報がつながりのある“線”として可視化され、商談のフェーズごとに効果の高い営業活動を効率的に行えるようになりました。

また同社は、既存のメール配信システムをPardotに置き換え、Sales Cloudと連携。従来はメルマガを一斉配信するたび、直近で営業接触のある顧客を配信リストから外すといった細かな条件定義が必要で、リスト作成に時間がかかり最適なタイミングを逸することがありました。その点Pardotでは、配信リストが常に最新の状態に更新され、メール配信の作業を自動化、簡略化できる。結果、担当者は、コンテンツの作成など、本来の業務に集中できるようになりました。

Salesforceの本格稼働から2年後、同社の受注数は、実に10倍にまで一気に跳ね上がりました。商談数自体は変わっていないのに、なぜこれほど受注数が増えたのか?理由のひとつは、確度の高い見込み客だけを営業に引き渡すようになったから。もうひとつは、マーケティング部門が商談の状況をチェックして必要なら営業に状況を確認するなど、商談の質が格段に向上したからということです。

*参考:https://www.salesforce.com/jp/customer-success-stories/feedforce/

5. まとめ

ここまで、Pardotの特徴や機能、成功事例などでできることをご紹介しました。Pardotを活用するには、機能を理解し操作方法などの理解はもちろんですが、導入目的を定めることや、ツールの特性を理解した専任の担当者を置いたり、マネジメントとの目標の認識合わせなども重要だと言えます。

StrhではPardotをはじめMAツールの設計から導入〜活用支援まで一貫して行っております。Pardotを導入する予定だけど上手く活用できるか自信が無いという方、既にMAツールを導入済みで、もっと効果的にマーケティングを行いたいという企業様は、是非お気軽にお問い合わせフォームよりご相談ください。

Salesforce、Sales Cloud、及びその他はSalesforce, Inc.の商標であり、許可のもとで使用しています

執筆者 杉山元紀

大学卒業後、株式会社TBI JAPANに入社。株式会社Paykeに取締役として出向し訪日旅行者向けモバイルアプリ及び製造小売り向けSaaSプロダクトの立ち上げを行う。
アクセンチュア株式会社では大手メディア・総合人材企業のセールス・マーケティング領域の戦略策定や業務改革、SFA・MAツール等の導入及び活用支援業務に従事。
株式会社Paykeに再入社し約10億円の資金調達を行いビジネスサイドを管掌した後、Strh株式会社を設立し代表取締役に就任。

▼保有資格
Salesforce認定アドミニストレーター
Salesforce認定Pardotスペシャリスト
Salesforce認定Pardotコンサルタント
Salesforce認定Sales Cloudコンサルタント

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