Service Cloudとは?機能やSales Cloudとの違い・価格体系などをわかりやすく解説
この記事でわかること
- Service Cloudとは?Service Cloudの基本理念
- Service Cloudの特徴
- Service CloudとSales Cloudの違い
- Service Cloudの機能や価格体系
- Service Cloudを導入すべき企業
- Service Cloudの導入を成功させるポイント
執筆者 取締役 / CTO 内山文裕
顧客体験(CX)の向上が求められる昨今、ビジネスにおいて製品やサービス提供後のカスタマーサポートの重要性が高まっています。
「Service Cloud」は、Salesforce社が提供するカスタマーサポート分野の支援に特化したシステムで、カスタマーサポート業務の生産性を向上させたいというニーズに応えてくれます。
本記事では、Service Cloudの概要や特徴、主な機能、価格体系などを解説していきます。
導入のためのポイントやプロセスについても解説しているため、本記事読了後にはService Cloudの導入に向けて動き出すことも可能です。Service Cloudの導入を検討しようか悩んでいる人はぜひ参考にしてみてください。
目次
Service Cloudとは
Service Cloudとは、Salesforce社が提供するコールセンターなどのカスタマーサポート業務の効率化を促し、顧客満足度を高めてコスト削減効果が期待されるクラウドシステムです。
カスタマーサポート業務のプロセスを自動化させたり、AIを活用して顧客に合わせたサポートを提供したりすることで成果の最大化や顧客ロイヤリティの構築に役立ちます。こちらでは、そんなService Cloudの概要などについて解説していきます。
Service Cloudの基本理念とは?
Service Cloudは、コールセンターやカスタマーサポートサービスなどで得られた問い合わせ情報や顧客情報を一元化、活用、分析を行えるツールが集約したCRMツールです。充実した顧客サービスプラットフォームとして高いカスタマーサクセスを提供することで顧客満足度を向上させることを理念としています。
Service Cloudは、カスタマーサクセスを通して顧客満足度を高めるために、顧客とのやり取り情報や購入情報など顧客をあらゆる角度から分析できるように設計されています。またカスタマーサポートサービスの業務プロセスに合わせて簡単にカスタマイズできることも魅力です。AIやIotなどのイノベーションも活用できる設計となっており、常に変化する顧客の需要にも対応できます。
コールセンターの革命:Service Cloudの導入前後
Service Cloudを導入することで、カスタマーサポート業務の効率化や顧客満足度の向上を期待できます。
具体例としてService Cloud導入前後でコールセンター業務がどのように変化するのかを取り上げて解説します。
Service Cloud導入前
顧客から問い合わせを受けた場合、類似問い合わせの有無・顧客情報・顧客の購入した製品やサービスの情報の照会を行い問い合わせに対して回答していくことがコールセンターの基本的な業務プロセスです。情報が一元化されていないと照会するデータソースも多く、情報照会だけでも時間がかかります。顧客満足度を維持するためにも、コールセンターに割かれる人員が多くなりやすい状況が多く見られました。
Service Cloud導入後
Service Cloudを導入することで、お問い合わせ情報や顧客に関するあらゆる情報が一元化され、1つの画面で問い合わせに必要な情報を閲覧可能になりました。
また、情報が一元化されていることで、過去の類似問い合わせの履歴や問い合わせに関連したナレッジもすぐに調べることができ、1つの問い合わせにかかる時間を大幅に削減することにも繋がります。よりスムーズかつ正確に回答をすることで、業務効率化や顧客満足度の向上を実現することができます。
このように、社内の情報管理・データへのアクセス性の向上だけでなく、顧客へのサポート品質を高められる点がService Cloudを導入することの最大の利点と言えます。
Service Cloudの特徴
Service Cloudには、他類似サービスにはない独自性として、以下の5つの特徴があります。
- 統合された顧客ビュー
- 柔軟なカスタマイズと拡張性
- AIによるスマートなインサイトと自動化
- オムニチャネル・ルーティング
- スケーラブルなクラウドインフラストラクチャ
こちらでは、上記Service Cloudの独自性について詳しく見ていきましょう。
統合された顧客ビュー
Service Cloudは、顧客情報や顧客とのやり取り履歴などのあらゆる顧客に関する情報を一元管理することで顧客ビューを1画面に統合することができます。顧客の過去の購入履歴やサポートリクエスト、活用したナレッジ、問い合わせの記録を瞬時に把握することができ、サポート担当者が迅速に顧客情報にアクセスできることで、顧客一人ひとりに合わせたカスタマーサポートを提供できます。
柔軟なカスタマイズと拡張性
業務プロセスに合わせた複雑なカスタマイズを簡単に行えることも特徴の一つです。
プログラミング初心者の人でも扱いやすい直感的なツールやワークフロー、レポート、インターフェースを活用することで複雑な業務プロセスやニーズに合わせて柔軟にカスタマイズできます。例えば、Lightning App Builderはドラッグ&ドロップでコンポーネントや「ライブラリを設置できるため簡単なツールであれば初心者でも気軽に開発が可能です。
また、Salesforceパートナーが開発した数千に及ぶアプリケーションやコンポーネントを利用できるAppExchangeを活用することで、既に開発された便利な機能を有するコンポーネントをそのまま組み込むことができます。アプリケーションやコンポーネントを構築する必要がなく、AppExchange内から追加するだけで機能も拡張が可能です。
AIによるスマートなインサイトと自動化
Salesforce社が提供するAI機能である「Salesforce Einstein」をService Cloudに組み込むことができます。Salesforce EinsteinのEinstein Next Best Action機能を活用することで顧客の状況に合わせた最適なリコメンデーションを最適なタイミングで提供可能です。顧客データからインサイトを抽出して、担当者の次のアクションを提案してくれます。
またEinstein Botsを活用することで、問い合わせの状況確認や注文の変更などの処理、適切な担当者への引継ぎ、サポートケースの優先順位付けなどカスタマーサポート作業の自動化が可能です。従来の業務の一部をAIに代替させることができるため、カスタマーサポート担当者はより複雑な業務に集中できます。
参照:Salesforce Einstein GPTとは?生成AI機能を持った強力な営業・マーケティング支援ツールを紹介
オムニチャネル・ルーティング
オムニチャネル・ルーティング機能は、顧客からの問い合わせを最適な担当者に自動的に割り振るシステムです。この機能により、電話、メール、チャットなど様々なコミュニケーションチャネルからの問い合わせを、適切なスキルセットを持つエージェントに効率的に配分します。
例えば、顧客がメールで特定の製品に関する技術的な問題を報告した場合、オムニチャネル・ルーティングはこの問い合わせを、その製品の専門知識を持つエージェントに自動的に割り当てます。これにより、顧客はより迅速かつ的確なサポートを受けることができます。
さらに、エージェントの現在の作業量や利用可能なスキルに基づいて問い合わせを配分するため、エージェントは過度な負荷によるストレスを受けることなく、効率的に業務を行うことができます。これは、顧客満足度の向上に加えて、カスタマーサポートチームの生産性向上にも寄与します。Service Cloudのオムニチャネル・ルーティングは、顧客のニーズに迅速に対応し、同時にエージェントの業務負担を軽減することで、全体のサービス品質を向上させる効果的なツールです。
スケーラブルなクラウドインフラストラクチャ
Service Cloudを含むSalesforce社製品は、クラウドインフラストラクチャを用いてサービス提供をしています。この環境を用いることで、ビジネスの成長や変化に柔軟に対応したサービスを提供可能にしています。
クラウドインフラストラクチャの利点は、ビジネスの拡大やカスタマーサービスの需要の増加に合わせて、システムの容量や機能を容易に拡張できる(≒スケーラブル)点にあります。例えば、顧客基盤が拡大し、より多くの顧客サポートリクエストに対応する必要が生じた場合、Service Cloudは追加のリソースや機能を迅速に提供し、サービスの品質を維持しながら対応量の増加に対処できます。
また、最新のテクノロジーや定期的なアップデートにも対応しており、常に最先端の機能を利用することができます。これにより、ITインフラストラクチャへの投資を削減しつつ、顧客のニーズや市場の動向に迅速に対応できるというメリットがあります。
さらに、スケーラブルなクラウドインフラストラクチャは、顧客サービスの利用者数が急激に増加した場合でも安定したパフォーマンスを提供します。このように、Service Cloudのスケーラブルなクラウドインフラストラクチャは、ビジネスの成長と変化に柔軟に適応し、高品質な顧客サービスを維持する上で欠かせない要素です。
Service CloudとSales Cloudの違い
Salesforce社が提供する代表的な製品であるService CloudとSales Cloudは混同されやすいです。
Service CloudとSales Cloudのどちらも目的や機能が異なるため、その違いを理解することでどちらを導入するか検討しやすくなります。例えば、Service Cloudは前述の通りカスタマーサービスの強化を行い顧客満足度を高めることが目的なのに対して、Sales Cloudは営業支援の側面が強く、案件成約数の拡大や見込み顧客の顧客化など営業部門の抱える課題を解決することが目的です。
その他にも本サイトでは、Service CloudとSales Cloudの違いについてより詳しく解説しておりますので、そちらも合わせてご覧ください。
参照:Sales CloudとService Cloudの違いとは?目的や特徴・機能などからその違いを徹底解説
Service Cloudの主な機能
Service Cloudには、さまざまな機能が提供されています。その中でも以下の6つの機能はService Cloudの核心機能といえます。
- Lightning Service Console
- ケース管理
- ナレッジベース
- オムニチャネル・ルーティング
- ワークフロールール
- チャットボット
それぞれ詳しくみていきましょう。
Lightning Service Console
Lightning Service Consoleは、オペレーターのエクスペリエンスを統合して、顧客情報やケース履歴、ナレッジなどカスタマーサポート業務に必要な情報を1か所に集約して表示する機能です。1画面にサポート業務に必要な情報を集約するため単一画面で複数のケースにシームレスに対応ができます。
またサービスのニーズに合わせてレイアウトのカスタマイズや他ツールの組み込みが可能です。カスタマーサポート業務に必要な情報を探す手間が省けるだけでなく、適宜必要なナレッジなども表示させることができるためオペレーターのサポート業務の生産性を最大化させる効果が期待できます。
ケース管理
ケース管理機能では、顧客からの問い合わせを「ケース」として管理し、顧客対応の効率化と品質向上を目指す機能です。例えばケース管理機能には、Einstein AIが活用されており、AIによるルーティングを活用してケースをすばやく解決できる最適なエージェントに担当を割り当てることができます。
またケースに紐づくあらゆるチャネルで行われたやり取りや解決に繋がるナレッジ記事などをニュースフェード形式で確認も可能です。これまで手動で行ってきた担当割り当ても最適化され、ケースに関するやり取り履歴を迅速に確認できることで顧客対応の効率化や高品質な顧客エクスペリエンスの実現が図れます。
ナレッジベース
ナレッジベースは、業務プロセスに関連する記事や企業が販売する製品の記事、一般的なQAに関する記事などさまざまな情報を記載した記事を管理・共有する機能です。ナレッジベースに記事を集約し管理・共有することで、顧客自身による問題解決を促し、オペレーターには迅速に適切な回答を提供できます。
おすすめ記事の設定も可能で、また記事検索機能も最適化されるためケースの解決時間の短縮を行い、エージェントの生産性を高めてくれることがメリットです。
オムニチャネル・ルーティング
オムニチャネル・ルーティングは、あらゆるチャネルから寄せられたケースをエージェントのスキルと専門知識に基づいて自動的に割り当てる機能です。オムニチャネル設定で登録されたエージェントのスキルセットや稼働状況、処理能力、対応可能チャネルとキューベースやスキルベースなどで登録されたルーティング設定を機械的に判断してエージェントに自動割り当てを行う仕組みとなっています。
またケースの優先順位や作業ボリュームが定義された状態で割り当てられるため、エージェントは適切に作業の優先順位付けを行うことも可能です。これまでケース割り当てにかかっていた時間も削減でき、優先順位が明確につけやすくなったことでエージェントの作業効率向上が期待できます。
フロー
フローは、承認手続きなどの標準的な手続きや手入力による業務などのプロセスを自動化する機能です。Salesforceの「Flow Builder」にてフローの作成が可能で、視覚的なアイテムをドラッグアンドドロップで設定するなどマウス操作で簡単に自動化プロセスを組み立てることができます。
カスタマーサポート業務で毎回行われる手入力作業や社内承認手続きなどを自動化することのメリットは多いです。例えば、毎回のプロセスで時間を使っていた繰り返し作業の時間が大幅に削減されることで生産性の向上やコスト削減が見込めます。また、機械的に自動入力されるため手入力による人的ミスを防ぐことで品質管理の向上も可能です。
参考:Salesforceフローとは?基本機能からレコードトリガフローの使い方も具体例と一緒に徹底解説!
チャットボット
Service Cloudに備わっているチャットボット機能は、「Einstein Bot」と呼ばれるAI技術を搭載した24時間365日対応(Salesforce社のサービスメンテナンス時を除く)を可能にしたチャットボット機能です。Einstein BotにはCRMデータが連携されており、顧客からの問い合わせに自動応答で即座に対応できます。そこから顧客情報の収集と分別を行い、担当者にシームレスに引き継ぐことも可能です。
チャットボット機能による自動応答で簡単なケースは顧客自身ですぐに解決ができるため顧客エクスペリエンスの向上効果が期待できます。またチャットボットに入力した内容をCRMデータに直接反映させることも可能なため、エージェントのタスクを削減し生産性の向上も可能です。
Service Cloudの価格体系とエディション
こちらではService Cloudの価格体系や最適なエディションの選び方について解説していきます。
各エディションの特徴と価格
Service Cloudには、「Essentials」「Professional」「Enterprise」「Unlimited」の4つのエディションが用意されており、エディショングレードがあがるごとに利用できる機能が増えていきます。
それぞれの価格と特徴は以下の通りです。
エディ ション | 価格 | 特徴 |
---|---|---|
Starter | 3,000円(税抜)/ユーザー/月(年間契約) | ・Sales CloudとService Cloudの基本的な機能を一つにしたプラン。 ・ユーザー上限は10名で小規模チーム向け。 ・データ共有やケース管理、ナレッジ参照など顧客サポートに必要な機能が利用可能。 |
Professional | 9,600円(税抜)/ユーザー/月(年間契約) | ・ユーザー数に上限がなく、あらゆる規模のチームに対応した包括的なCRM。 ・レポート・ダッシュボード機能の利用が可能。 ・顧客ケースのトラッキングに対応。 |
Enterprise | 19,800円(税抜)/ユーザー/月(年間契約) | ・包括的なサービスのためのカスタマイズ可能なCRM。 ・Service Cloudのプランの中で最も利用されている。 ・APIを用いた高度な業務プロセスの自動化が可能。 |
Unlimited | 39,600円(税抜)/ユーザー/月(年間契約) | ・CRM機能が無制限に利用可能。 ・アプリケーションやカスタムタブも制限なく利用可能。 ・24時間年中無休のサポート・100種類以上のアドミンサービス |
※各エディションの価格は2023年11月時点のものです。各エディションの詳細な利用可能機能は公式サイトから確認できます。
Service Cloudエディションの選び方
Service Cloudの各エディションは、上位のエディションになるほど高度な機能やカスタマイズが可能です。
しかし、どれだけ高度な機能があっても使わなければその分のコストが無駄になってしまいます。コストと利益のバランスを考えて、そのエディションが投資に見合う価値があるか評価することが重要です。こちらでは、Service Cloudのエディションを選択する際に考慮すべきコストパフォーマンスの要素について解説していきます。
組織のニーズと機能に過不足は多くないか?
Service Cloud導入でコスト効果を高めるためには、組織のニーズとエディションに備わった機能に過不足が少ないことを確認しましょう。上位のエディションでなくても組織のニーズに応えられる場合があるため、組織のニーズの中でも優先順位を設けてエディションに照らし合わせることでよりニーズにマッチしたエディションを選択できます。
カスタマイズ性や拡張性の有無
Service Cloudを導入してもすぐに全ての業務がService Cloudに置き換わることは多くありません。
基本的には、組織のニーズに優先順位をつけて段階的に機能をリリースしていきます。そのためカスタマイズ性や拡張性の有無を確認してそれにあったエディションを選択することで余計なコストを削減することが可能です。
トライアルを活用してUI/UXや導入要件を満たすかを確かめる
Service Cloudの各エディションにはそれぞれ14日間から30日間の無料トライアルが提供されています。
実際使用することで使用感や組織のニーズとの親和性を確かめることが可能です。無料で確認を行えば、確認に必要なコストを削減できます。Service Cloudの導入検討を行う場合は、実際にトライアルを用いて検討に役立てましょう。
Service Cloudを導入すべき企業と導入事例
こちらでは、Service Cloudを導入すべき企業の特徴や導入によるメリットについて解説していきます。
導入すべき企業
Service Cloudは、業種や企業規模に関わらず、「カスタマーサービスの刷新や効率化」を考える企業が主なターゲットです。
カスタマーサービスは顧客に関わる業務のため顧客満足度に直接関わってきます。組織が成長して自社サービスや製品を利用する顧客が増えた影響でカスタマーサービス利用者が増えて業務に滞りが出るなどの課題が出ることは少なくありません。Service Cloudはそんなカスタマーサービスの業務の効率化に効果的です。例えば電話がメインのコールセンター業務もService Cloudを導入することで電話以外のメールやチャットなどの複数チャネル化やAIを活用した自動応答でコールセンター業務の削減、生産性の向上が期待できます。
そのため、カスタマーサービス業務の刷新や効率化を通して顧客満足度の向上を考える企業はService Cloudの導入を検討するとよいでしょう。
導入事例
Service Cloud導入のメリットは、顧客満足度の向上や業務効率の改善、情報の一元化があげられます。
こちらでは、実際にService Cloudを導入した企業の例をもとにメリットについて深ぼっていきましょう。
顧客満足度の向上|Formula 1®の導入事例
Service Cloudの導入メリットとして、顧客満足度の向上が見込めることが大きいです。
オープンホイールレースで有名な「Formula 1®」はService Cloudの導入で88%の顧客満足度を達成しました。ファンのニーズを予測できる体制を作るためにService CloudとSales Cloudを導入して、営業情報や顧客情報を一元化し自動チャットボットを生成し、コールセンターのエージェントの一貫性を保つことで初回コンタクトでの解決率86%、ファン満足度88%という実績をだしました。
Service CloudとSales Cloudを掛け合わせることで迅速かつ正確な対応が可能です。そのため顧客満足度を向上させたい場合はService Cloudの導入を検討しましょう。
業務効率の改善|三井住友カード株式会社の導入事例
カスタマーサービス業務などの業務効率が改善されることもメリットの1つです。
大手クレジットカード会社である「三井住友カード株式会社」では、自社や他社のコンタクトセンター業務を担っており、オペレーターの負荷が増大していることが課題でした。三井住友カード株式会社は、Service Cloudを導入しコールセンターシステムのリニューアルを行ったことで、オペレーターの作業効率が大きく向上できました。特にこれまで入電のたびにマニュアルを探していた時間が削減されたことで大きな業務効率の改善に繋がりました。
Service Cloudの導入でオペレーターの負担を減らし全体的な生産性を上げることにもつながります。そのため、業務効率の増加はService Cloud導入によるメリットといえるでしょう。
情報の一元化|ソニー銀行株式会社
顧客情報や問い合わせ履歴などの情報の一元化がされることもメリットの1つです。インターネット銀行として開業したソニー銀行では顧客エンゲージメントの強化のためにコールセンターの業務プロセスを検証した結果、顧客対応履歴以外の契約内容や取引履歴などの情報が分散されているという課題を発見しました。そこで、Service Cloudを導入することでSalesforce上で顧客対応履歴、契約内容、取引履歴などの情報を一元化することでエージェントが即座に確認できるようになり顧客対応業務の効率化が実現しました。
情報の一元化によってカスタマーサービス業務時に顧客情報の収集や参照、後処理に使った時間が削減できたため、情報の一元化もService Cloudのメリットといえるでしょう。
Service Cloudの導入を成功させるポイント
最後に、Service Cloudの導入を成功させるためのポイントについて解説していきます。
導入を成功させるために主に以下の3フェーズを経て準備を行います。
- 導入戦略
- KPIと効果測定
- 運用体制
各フェーズをそれぞれ詳しく見ていきましょう。
導入戦略
Service Cloudの導入を成功させるために、導入の明確な目的と達成させるための戦略をたてることは重要です。導入の目的を曖昧に設定してしまうと、後々組織ニーズとのズレが生まれて、導入戦略やKPI設定にまで影響が出てしまうため、導入目的を明確にしましょう。目的を明確にすることで目的に必要な機能を余さず導入することが可能です。
次に導入戦略を組み立てていきます。導入戦略では、明確化した目的を達成するためにService Cloudのどの機能を用いるかを検討することが重要です。戦略もなしに導入してしまうと目的の達成どころか利用ユーザーへの教育もままならないため、逆に業務プロセスの効率を落とす結果になる可能性があります。
導入を成功させるためにも目的と達成に必要なService Cloudの機能についてすり合わせて検討をおこないましょう。
参照:Salesforceを定着化させるには?活用課題や定着化に向けたハードル、取り組み事例を解説
KPIと効果測定
導入の目的や戦略が決まったら、Service Cloud導入後の評価を行うためのKPIとそのKPIのモニタリングプロセスを設定します。このときに設定するKPIはSMARTモデルに則って作成されたKPIを利用しましょう。SMARTモデルとは以下のKPI作成のポイントをまとめた目標設定方法です。
- Specific(具体的な)
- Measurable(計測可能な)
- Achievable(達成可能な)
- Relevant(関連した)
- Time-bounded(期限を定めた)
SMARTモデルに則って作成したKPIでService Cloud導入後の評価をモニタリングします。定期的なモニタリングが必要なため、期限を明確に設けてKPIを作成しましょう。
運用体制
KPIとモニタリングプロセスを定めたら、Service Cloud導入を長期的な成功にするための運用体制を構築する必要があります。まず利用ユーザーにService Cloudを用いた新システムの利用方法を定着させることが重要です。そのためのオンボーディングプログラムの設定や新しい業務プロセスの設計、マニュアルの完備、勉強会の開催、新システムに関してスキルや経験を持った人員を一時的に配置するなど利用ユーザーが新システムへの理解を深めやすい体制を構築していきます。
また新システムに関する照会応答体制を整えたり、新システムに関するナレッジ記事を作成するなども効果的です。利用ユーザーからの声をヒアリングできる体制を整えることで継続的に運用・改善が行える体制が整えられるでしょう。
上記は運用体制構築方法の一例のため、業務プロセスやService Cloudで開発した業務システムに合わせて適宜運用体制を見直して確立していくことがおすすめです。
まとめ
Service Cloudは、カスタマーサポート部門の課題や問題点を改善するための機能が備わっており、生産性の向上や顧客満足度を高める効果が期待できるシステムです。自社製品や自社サービス提供後のフォローを行い顧客体験の向上を考える企業にはピッタリのシステムといえるでしょう。
Service Cloudには、現在4つのプランが用意されておりそれぞれできることが異なります。組織のニーズやカスタマイズ性の有無などを確認して自社のビジネスに適したプランを選ぶことが重要です。またService Cloud導入を成功させるためには、導入目的を明確にするなど事前の検討が必要になります。
本記事を通して、Service Cloudへの移行を前向きに検討したいと考えた場合は、まずは導入目的から検討し始めるとよいでしょう。
弊社では本記事でご紹介したService Cloudの適したプラン選択のサポートから導入支援・高度利用化まで幅広くご支援可能です。Service Cloudの構築・運用にお困り事ございましたらこちらのお問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。