【完全版】Account Engagement(旧 Pardot) とSalesforceのデータ連携仕様の徹底解説
この記事でわかること
- Account Engagement(旧 Pardot) とSalesforceが保持しているデータの違い
- Account Engagement(旧 Pardot) とSalesforceのデータ連携の仕組み
- Account Engagement(旧 Pardot) とSalesforceのデータ連携の順序とロジック
- Account Engagement(旧 Pardot)とSalesforceのデータ連携のポイント
執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀
Account Engagement(以下、Pardot) を利用している企業では、Salesforceとデータ連携をさせて、よりマーケティング・営業活動を効率・高度化したいと考えている方も多いと思います。
PardotとSalesforceの連携設定についてはコネクターの設定や権限・ページレイアウトの設定などいくつかの設定を行う必要がありますが、今回は特にシステム間の連携後、活用に向けて重要なトピックであるデータ連携について詳しく詳しく解説したいと思います。
参照:Account Engagement(旧 Pardot)とは?機能や特徴、他のMAツールとの比較も含めて徹底解説
目次
1.PardotとSalesforceの保持データ
まず最初にPardotとSalesforceのデータの連携について、システム間の連携概要と各システムでどのようなデータを保持しているかを確認しましょう。
■PardotとSalesforceのデータ連携概要
Pardotで保持しているデータ
Pardotはデフォルトで保持しているデータとして大きく以下の3つの種類のデータがあります。
①プロスペクト
Pardotでは「見込み客」や「リード」のことを「プロスペクト」と呼称し、Pardotを活用する上で中心的な役割を果たす「人」に関わるデータになります。具体的には姓・名・メールアドレスや電話番号、住所などのデータに加えて、独自のカスタム項目を作成することも可能です。
そしてプロスペクトデータはSalesforceのリードや取引先責任者オブジェクトと双方向に同期することができるので、PardotからSalesforceの項目を更新することもできますし、SalesforceからPardotのプロスペクト項目を更新することできます。
②プロスペクトアカウント
プロスペクトアカウントデータは「取引先」に関わるデータで、具体的には企業名や業種、従業員数、請求先住所などの情報を保持しており、こちらも独自のカスタム項目を作成することが可能です。
プロスペクトアカウントについてはSalesforceの取引先のデータを読み取ることができますが、双方向に同期はしていません。
③商談
商談データはSalesforceの「商談」に関わるデータで、Salesforceの商談オブジェクトで保持しているデータをPardotから読み取ることができます。
デフォルトでは項目が設定されていないので、利用の際は必要な項目をカスタムオブジェクトとして作成する必要があります。
Salesforceで保持しているデータ
Pardotにデフォルトで連携できるSalesforceのデータとしては大きく以下の4種類のデータがあります。
①リード
見込み客に関するデータで、顧客や見込み客から収集された情報を含んだ営業プロセスにおける重要なデータです。まだ正式な顧客にはなっていませんが、ある程度の興味を持っている人々のリストとも言えます。
リードデータとしては具体的に以下のようなデータがあります。
- 名前、会社名、電話番号、メールアドレスなどの基本情報
- 職種、役職、業界、会社の規模などの詳細情報
- 興味や関心、ニーズ、購買意欲などの情報
- どのようなチャネルでリードを獲得したか、どのようなキャンペーンが成功したかなどの情報
参照:Salesforceのリードとは?取引先責任者との違いや管理ステップ、使い方などを詳しく解説
②取引先責任者
取引先責任者データは企業が保有する顧客(取引先)の担当者情報を管理するための重要なデータで、取引先責任者データには取引先に関係する個人の情報が含まれます。これには、取引先に所属する人々の名前、役職、連絡先情報、関係性の情報などが含まれます。
取引先責任者データとしては具体的に以下のようなデータがあります。
- 名前、役職、連絡先情報、メールアドレス、電話番号などの基本情報
- 取引先との関係、担当業務、役割などの詳細情報
- 取引先との関係性の強度、その取引先との関係性がどのように始まったか、どのような取引先から紹介されたかなどの情報
- その取引先責任者がどのようなキャンペーンに反応しているか、どのようなマーケティング活動に関心を持っているかなどの情報
③取引先
取引先データは企業が保有する顧客(取引先)に関する情報を管理するためのデータです。
取引先データとしては具体的に以下のようなデータがあります。
- 取引先企業の名前、住所、電話番号、ウェブサイト、関係者の情報などの基本情報
- 取引先企業の詳細情報、業界、製品やサービス、財務情報などの情報
- 取引先企業との契約情報、注文情報、請求情報、支払い情報などの情報
- 取引先企業との関係性の強度、その取引先企業がどのように始まったか、どのような取引先から紹介されたかなどの情報
④商談
商談データは取引先企業からの収益を生み出すために営業チームが追いかける、見込み客や商談に関する情報を管理するためのデータです。商談の金額やステータス、担当者や期日などの情報を保持することができ、これらのデータは営業チームが将来的な収益を予測するための重要な情報にもなります。
商談データとしては具体的に以下のようなデータがあります。
- 商談の状態、進捗状況、予想クローズ日などの基本情報
- 商談に関する製品やサービス、見積もり、価格情報などの詳細情報
- 商談に関連する取引先企業や取引先責任者、商談の担当者などの関係者情報
- 商談の成功率、見込み客との関係性、商談の獲得に至る経緯などの情報
上記の「標準オブジェクト」データ以外にも企業独自に作成した「カスタムオブジェクト」もPardotと連携することができます。ただし、カスタムオブジェクトについてもPardotからは読み取り専用で連携することができるという点は注意が必要です。
参照:Account Engagement(旧 Pardot)とSalesforceの商談連携の仕組みと注意点をプロが徹底解説
2.PardotとSalesforceのデータ連携の仕組み
■プロスペクトとリード・取引先責任者間での連携仕様
1.Salesforce ID(リードID/取引先責任者ID)をキーに同期をする
PardotのプロスペクトとSalesforceのリード・取引先責任者データは先述の通り双方向に同期が行われます。
そしてSalesforce IDを一意のキーにレコードを識別し、連携対象を決定しています。また、二次的なキーとして「メールアドレス」を利用しており、Salesforce IDの不一致の場合はメールアドレスで連携対象を特定します。
2.PardotとSalesforceでマスタデータは項目単位で決定する
PardotのプロスペクトとSalesforceのリード・取引先責任者データは項目単位で以下の3つのパターンから、どこで保持しているデータをマスタとするかを決定します。
- Salesforceの値を優先
- Pardotの値を優先
- 最近更新したレコードを使用する
3.データ同期間隔は2-4分間隔
Pardotでは更新されたデータを2-4分ごとにSalesforceへ同期する処理が行われます。
4.PardotからSalesforceにもリードを作成するにはユーザーの割当を行う必要がある
こちらPardot導入企業でよく陥る罠ですが、Pardotで新しくプロスペクトを作成しただけでは自動的にSalesforceにもリードが作成されません。
Pardot側でプロスペクトに対してSalesforceユーザーを割当てることではじめてSalesforceにリードが作成されます。
5.デフォルトではSalesforceでリード/取引先責任者を新規作成しても自動的にPardotプロスペクトは作成されない。
上記の逆で、Salesforceでリードや取引先責任者データを新規作成した際に、Pardotにもプロスペクトを新規作成したい場合は、「コネクター設定」から「コネクター設定をカスタマイズ」セクションの、該当項目にチェックを入れることでPardotにもプロスペクトが自動で新規作成されます。
3.プロスペクトとリード・取引先責任者間での連携の順序
PardotとSalesforceのデータ連携を進めると、多くの人がどこかで引っかかるポイントの1つであろう、「フォームから獲得したプロスペクトは漏れなくリードに作成されるのか?取引先責任者に存在したら自動判定して同期されるのか?」などの同期ロジック・順序問題。
ここでは改めてPardotとSalesforceのデータ同期ロジック・順序を解説します。
まずSalesforce IDがリードまたは取引先責任者に存在するかを確認します。もし存在していた場合はリードまたは取引先責任者と同期されます。
次にSalesforce IDがリードまたは取引先責任者に存在しない場合は、「メールアドレス」が取引先責任者に存在するかを確認しにいきます。メールアドレスが取引先責任者に存在しない場合は、次にメールアドレスに同じリードが存在しないかを確認しにいきます。
そこでメールアドレスが同じリードにも存在しなかった場合に、プロスペクトにユーザーが割り当てられている場合は新規にリードを作成します。
以上のロジック・順序でPardotプロスペクトとSalesforceリード・取引先責任者が連携、同期されるので覚えておきましょう。
4.PardotとSalesforceのデータ連携のポイント
ここまで、PardotとSalesforceのデータ連携仕様やロジックを紹介してきましたが、その他に抑えておくべきポイントをいくつか紹介いたします。
PardotとSalesforceの連携設定が完了しただけでは、Pardotにプロスペクトデータは自動的に作成、連携されない
Pardot初期導入時にSalesforceリード・取引先責任者データをすべてPardotに作成し連携させるためには、Salesforce IDを含んだSalesforceデータをエクスポートし、Pardotにインポートする必要があります。
この初回同期以降は、どちらかのシステムのレコードが更新されると、その更新は自動的に同期されます。
一部のレコードの連携を停止したい
メールアドレスが一致する Salesforce レコードとのプロスペクトレコードの同期を停止するには、CRM 同期を無効にします。
個別のプロスペクトの CRM 同期を無効にするには、プロスペクトのレコードに移動して、[CRM 同期を無効化] をクリックします。
また、複数のプロスペクトの CRM 同期を無効にするには、プロスペクトを対象とするオートメーションルールを設定し、[CRM と同期しない] アクションを選択します。
プロスペクトのCRM同期が無効になっている場合、プロスペクトのレコードでそのプロスペクトの名前の横にグレーのアイコンが表示されます。
Pardotの契約プロスペクト数と連携対象レコード数を確認しておく
Salesforceを先行して利用しており、これからPardotを導入するケースでは、Salesforceに登録されているリード・取引先責任者の数がPardotの契約プロスペクト数を上回らないかを確認しましょう。もし上回りそうな場合は、「マーケティングデータ共有ルール」で特定の条件に合致するレコードのみをPardotに登録・連携するなどの検討が必要になります。
商談は取引先責任者ロールを指定しないと連携されない
取引先責任者のロールを指定しないとPardotから商談データを読み取ることができない
商談についてはSalesforceで商談を新規作成すればPardotに自動的に連携されると思わることが多いですが、Pardotへ商談データを連携するには、Salesforceの商談オブジェクトで「取引先責任者のロール」を指定する必要があります。
この点は見落としがちなポイントですので覚えておきましょう。
「取引先責任者のロール」が未指定な商談については、レポートにて一覧化して定期的に確認し、「取引先責任者のロール」の未指定がないようにすることも対策のひとつです。
5.まとめ
ここまでPardotとSalesforceのデータ連携の仕様やポイントをご紹介いたしました。読み進めていただいた方は担当者が気を付けたいポイントを含めて、データ連携仕様についてご理解いただけたかと思います。
効果的なマーケティング活動を展開するためには、必要なデータをいつでも利用可能な状態にしておくことが重要です。ただし、その状態を作り続けるためには、本日説明した内容以外のPardotやSalesforceの仕様や業務フローを把握し理解しておくことも必要です。
マーケティング担当者が日々の業務も行いながら1人で上記対応を行うのは現実的に難しく、別担当者や外部パートナーとともに推進していくことも必要になってくるでしょう。
ストラではPardotとSalesforceのデータ連携についてはもちろん、データ連携後の施策設計・実行、運用改善まで実績をもったコンサルタントが一貫してご支援することが可能です。
PardotやSalesforceの活用においてお困りごとがありましたら、是非お問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。