Email in Lightningとは?作成方法やAccount Engagementメールテンプレートとの違い・利用注意点などを徹底解説

この記事でわかること
- Email in Lightningの概要とAccount Engagementメールとの違いがわかる
- Salesforceオブジェクトとの連携といったEmail in Lightningの導入メリットが理解できる
- Email in LightningとAccount Engagementメールの機能比較と、営業・マーケティング・管理者別の使い分け基準が把握できる
- Email in Lightning導入に必要な事前準備(権限設定、HML化、オブジェクト整理など)の手順がわかる
- メール配信までの操作フローと、よくある失敗とその対処法、導入判断に役立つチェックリストが理解できる

執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀
Salesforceの導入や活用のお困りごとはプロにご相談ください
- Salesforceのメール機能が多すぎて、Email in LightningとAccount Engagementメールの違いが分からない
- Email in Lightningを導入したいが、権限設定や配信準備、オブジェクト連携など設定手順が複雑で不安
- 営業向け・マーケ向けなど、自社の役割ごとに最適なメール配信方法を整理したいが判断が難しい
Salesforceのメール配信機能は年々進化を続けており、従来のClassicテンプレートやAccount Engagementメールに加えて「Email in Lightning」という新たな選択肢が登場しています。
これはAccount Engagementからリリースされた比較的新しい機能であり、ノーコードで直感的にメールを作成できる点から多くの企業で注目を集めています。
しかしその一方で、「LightningやClassicとは何が違うのか?」「Account Engagementメールとの使い分けはどうすればよいのか?」といった疑問も多く寄せられています。複数のメール機能が存在する中で自社に最適なものを選びきれない担当者も少なくありません。
本記事ではEmail in Lightningの概要から導入メリット、Account Engagementメールとの違いや具体的な設定方法まで丁寧に解説します。
これからSalesforceメール機能の導入や見直しを検討している方にとって、判断材料としてもご活用いただける内容になっていますのでぜひ最後までご覧ください。
まずはAccount Engagementについて詳しく知りたいという方は、以下の記事も合わせてご覧ください。
参照:Account Engagement(旧 Pardot)とは?機能や特徴・機能・費用・導入メリットまで徹底解説
目次
Email in Lightningとは?
Email in LightningはAccount Engagementで提供されるLightningメールビルダーを活用した、メール作成機能です。
従来のClassicメールテンプレートに比べてHTMLの知識がなくてもドラッグ&ドロップで直感的に操作でき、簡単にデザイン性の高いプロフェッショナルなメールを作成できます。SalesforceのLightning UIに統合されており、操作性や拡張性の面でも進化しています。
特にHTML不要・ドラッグ&ドロップによるUI・テンプレート管理の簡素化といった点が支持されており、プログラミング経験のないマーケティング担当者や営業担当者が自らメールを構築できる柔軟性を持っています。
本章ではEmail in Lightningが提供する具体的な利点や注目を集めている背景について、詳しく解説します。
Email in Lightningを導入する4つメリット
Email in Lightningは直感的な操作性とSalesforceとの高い親和性を兼ね備えた非常に実用的なメール作成機能です。ここでは主な導入メリットを4つに分けて解説します。

ノーコードでのメール作成が可能
Email in Lightning最大の特徴はHTMLやCSSの知識がなくても誰でも簡単にメールテンプレートを作成できる点にあります。ドラッグ&ドロップ操作でテキスト・画像・ボタンなどのコンポーネントを配置し、見た目の調整も画面上で完結するため、現場の担当者がIT部門に頼らずに運用できます。
また画面プレビュー機能によりレイアウトや差し込み項目の表示内容を事前に確認できるため、誤送信リスクの軽減にもつながります。
テンプレート再利用で工数削減
Email in Lightningでは一度作成したテンプレートを複製・編集・保存して再利用できるため、繰り返しの配信業務において大幅な作業効率化が図れます。
テンプレートは「下書き」「公開」などのステータスで管理され、編集履歴や差し込み項目の設定もテンプレート単位で保持されるため、複数の担当者での共同運用にも適しています。
継続的なメール施策において、テンプレートの再利用は工数・品質の両面でメリットを生み出します。
Salesforceオブジェクトとの高い連携性
Email in LightningはSalesforceの標準オブジェクト(キャンペーン、取引先責任者、リードなど)と連携しており、各オブジェクトのレコード単位でメールを配信することが可能です。
これにより商談進捗に合わせたフォローアップや特定条件にマッチしたセグメント配信などが、Salesforceのデータベースと連動して実現できます。
例えば「あるフェーズに到達した商談に対してのみアプローチする」といった高度な施策も、メールテンプレートとオブジェクト連携を通じて実現可能です。
柔軟な権限管理で安全運用
Email in Lightningはプロファイルではなく権限セットを使って利用ユーザーを制御できるため、部署ごと・役職ごとの細かなアクセス制御が行えます。これにより一部ユーザーのみ作成可能や編集権限は管理者のみに限定など、運用に応じた柔軟な権限設計が可能です。
またSalesforceの設定と統一して管理できるため、システム運用全体の複雑化を防ぐ設計にも適しています。
Salesforceの権限セットについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
参照:Salesforceの権限セットとは?設定方法やプロファイルとの違いについても事例で解説
Email in Lightningが注目される背景
Email in Lightningが注目を集めている背景には、従来のメール作成機能における使い勝手の悪さや運用上の課題が深く関係しています。
以前のClassicメールテンプレートではHTMLやCSSの記述が前提とされており、専門的な知識を持つユーザーにしか扱えないという壁が存在していました。
またレイアウトの自由度が低く、ブランドデザインに沿った表現が難しい点やテンプレート編集のたびに、プレビューを都度確認しなければならない手間も実運用における非効率さを招いていた要因です。
こうした課題を解決するために登場したのがEmail in Lightningです。操作性に優れたインターフェースが採用されており、ブロック単位でコンテンツを追加・編集できる構造によってHTMLを知らない担当者でも簡単にメールの構築が可能になりました。
特にドラッグ&ドロップ操作やリアルタイムのプレビュー確認といったユーザー体験の向上は、現場から高く評価されています。
Email in lightningとAccount Engagement(旧 Pardot)メールの違いと使い分け方
Salesforceには複数のメール配信機能が存在しており、中でもEmail in LightningとAccount Engagementメールの使い分けに悩む企業は少なくありません。
両者はメール作成機能としての外観は似ているものの、対象とする業務や得意とするシナリオには明確な違いがあります。
本章ではそれぞれの機能の違いを比較したうえで、利用者の立場別にどちらを選ぶべきかの判断基準を解説します。
Email in LightningとAccount Engagement(旧 Pardot)メールの比較
Email in LightningとAccount Engagementメールはどちらもドラッグ&ドロップでテンプレートを作成できるUIを備えており、見た目だけでは区別がつきにくいかもしれません。しかし実際の用途や操作性、連携範囲には以下のような違いがあります。
項目 | Email in Lightning | Accoount Engagementメール |
主な用途 | 個別営業対応・簡易な一斉送信 | マーケティング施策・キャンペーン配信 |
対象ユーザー | 営業担当者・業務ユーザー | マーケティング担当者 |
UI | Lightningメールビルダー | Pardotメールビルダー |
HTML操作 | 不要 | 不要 |
配信対象 | Salesforceオブジェクトのレコード(リード・取引先責任者など) | Pardotのプロスペクト |
自動化機能 | なし(手動送信が基本) | トリガーメール・スコアリング・シナリオ配信など多数 |
リンク設定 | 差し込みバーでURL入力、Unsubscribeタグは {{{Unsubscribe}}} を手動登録 | リッチテキストから「Unsubscribe Link」を直接選択可能 |
プリヘッダー設定 | ビルダー画面で視覚的に設定可能 | Classic寄りの編集画面のため別操作で設定が必要 |
プレビュー操作性 | 編集画面とプレビューが同一画面内で表示され、即時確認が可能 | 編集とプレビューを切り替える必要があり、手間がかかる |
権限管理 | Salesforceの権限セット・プロファイルで制御 | Pardot側での権限制御 |
向いている配信シーン | 商談フォロー・個別案内・簡易告知 | キャンペーン・メルマガ・ナーチャリング施策 |
このように見た目や基本機能は似ていても、目的や規模感によって最適なツールは異なります。
Email in lightningとAccount Engagement(旧 Pardot)メールの選び方
Email in LightningとAccount Engagementメールは、それぞれの特徴に応じて使い分けることが重要です。導入の際には誰が・どのような目的で・どの規模でメール配信を行うのかを明確にすることで、適切なツールを選択できます。
ここでは営業担当者、マーケティング担当者、システム管理者という3つの立場から、目的に応じた最適な選択の基準を解説します。
営業担当者向け
営業活動の一環として商談の進行に応じた個別メールをスピーディーに送信したい場合は、Email in Lightningの利用が適しています。
例えば商談成立直後のフォローアップや製品紹介資料の案内など、1対1または少数宛のパーソナライズされた対応を求められるシーンでは、Salesforceオブジェクトと連携したLightningメールの方が効率的です。
UIも直感的で複雑な設定が不要なため日常的にメールを扱う営業担当者にとって操作のハードルが低く、すぐに業務へ取り入れられます。
マーケティング担当者向け
多数のリードに対して一斉に情報を届けたいまたはカスタマージャーニーに沿った自動配信を行いたい場合には、Account Engagementメールが適しています。
特にセグメントごとに内容を変えるダイナミックコンテンツや開封・クリックなどの行動データを活用したスコアリング、自動トリガーメールなどの高度な施策を実施するには、Account Engagementの機能が不可欠です。
さらにキャンペーンごとの効果測定も充実しており、配信結果をレポートとして可視化できるためPDCAサイクルを回すマーケティング施策に最適です。
システム管理者向け
システム管理者は管理のしやすさと安全な運用が選定基準となります。Email in LightningはSalesforce本体と同一環境で運用されるため、既存の権限セットやプロファイル設計と連携しやすく、ユーザー管理の一貫性が保てます。
反対にAccount Engagementメールは独立した設定体系を持つため、権限設計やユーザー管理に一定の慣れが必要です。
また利用エディションやライセンスの違いも重要な検討材料になります。Email in LightningはSalesforceの対応エディションであれば比較的スムーズに利用開始できる一方で、Account Engagementメールは専用ライセンスの取得と環境準備が必要となるため、導入ハードルはやや高めです。
Email in Lightningの導入に向けた準備

Email in Lightningを活用するには単にUIを有効にするだけでなく、SalesforceやAccount Engagementの設定、ライセンス確認、権限の割り当てなど複数のステップを踏む必要があります。
本章では導入前に必ず確認・準備すべきポイントを解説します。初期設定を誤ると機能が正しく表示されないため、事前準備を抜け漏れなく実施することが重要です。
Account Engagement(旧Pardot)Lightningアプリケーションの有効化
Email in Lightningの設定を行うには、Lightningアプリケーションが有効化されている必要があります。このアプリケーションを有効化することで、SalesforceのUI上からAccount Engagement関連機能にアクセスできるようになります。
SalesforceとEngagementt間で十分な連携が行われていないと、メール送信やテンプレート利用時にエラーが出る場合があります。
Account Engagement(旧Pardot)Lightningアプリケーションの有効化の手順
- Account Engagementに入る
- Salesforce管理者ユーザにて、右上の歯車アイコンより [設定] に入る
- [ホーム] タブ→[Account Engagement] メニュー→ [設定アシスタント] メニューを開く
- 高度な設定から[Account Engagement Lightning アプリケーションの有効化] のスイッチを [オン] にします

Account Engagement(旧Pardot)とSalesforceのキャンペーン接続
Account Engagementで作成したメールテンプレートをEmail in Lightningで使用するにはSalesforceキャンペーンとの接続設定が欠かせません。
これを設定すると配信対象の管理とメールのトラッキングが正確に行えるようになります。接続がされていない状態ではメール送信先のオブジェクトとテンプレートが正しく紐付かず、配信が実行できない場合があります。
Account Engagement(旧Pardot)とSalesforceキャンペーンの接続方法
1.[Account Engagement設定] → [コネクター] → [設定を編集]をクリック
![[Account Engagement設定] → [コネクター] → [設定を編集]をクリック](https://www.strh.co.jp/wp-content/uploads/2025/08/image-3-1024x576.png)
2.[キャンペーン]タブを開き、「接続済みキャンペーンおよびEngagemen Historyを有効化」にチェックが入っていることを確認。マスタレコードタイプにチェックを入れ、 [保存] をクリック。
Salesforceのキャンペーンについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
参照:Salesforceのキャンペーンとは?基本機能や効果的な活用・設定方法まで解説
またSalesforceとPardotのデータ連携の仕様について知りたい方はこちらをご覧ください。
参照:【完全版】Account Engagement(旧 Pardot) とSalesforceのデータ連携仕様の徹底解説
HMLタグ(Handlebars Merge Language)へのアップグレード
Email in Lightningで差し込み項目を活用するには従来のタグ形式ではなくHML(Handlebars Merge Language)への移行が必要です。
HMLはAccount Engagementで推奨されている新しい差し込みタグ形式で、より柔軟かつ正確なメールパーソナライズを可能にします。
旧来のタグ形式を使い続けている場合、一部の項目が正しく差し込まれない、プレビュー時に空白表示されるといった不具合が起こる可能性があります。
HMLでは条件分岐による代替値の設定やフォーマット制御などが可能になり、誤送信リスクの低減にもつながります。トラブルを防ぐためにも早めに対応しておきましょう。
HMLタグへのアップグレード方法
1.Account Engagement設定画面から「HMLタグの有効化」を設定
2.既存テンプレートを新形式に置き換える
権限セットの割り当て
Email in Lightningをユーザが利用するためには、Salesforce側で専用の権限セットを正しく割り当てる必要があります。プロファイル単位で制御するのではなく権限セットを割り当てることで、特定ユーザーに対して柔軟にアクセス権限を与えることができます。
主な権限には「メールテンプレートの作成」「Lightningビルダーの利用」「送信オブジェクトへのアクセス」などがあり、利用者の職務内容に応じて細かく設定を分けるのが理想的です。
プロファイルでの一括制御に比べ部門間での役割の違いを反映しやすく、運用管理のミスも防げます。
権限付与を誤ってしまうとテンプレート作成やメール送信の制限につながるため、導入時の設計段階での洗い出しが必要です。
メールコンテンツタブの操作権限設定
Salesforceのナビゲーションバーに「メールコンテンツ」タブを表示させるにはオブジェクトのタブ設定を変更し、かつ操作権限をユーザーに付与する必要があります。
タブが非表示のままではEmail in Lightningを使ったテンプレート作成画面にアクセスできず、機能が利用できません。
メールコンテンツタブを設定するとユーザがLightningメールビルダーにアクセスし、テンプレート作成・編集を行えるようになります。
メールコンテンツタブの設定手順
1.プロファイルまたは権限セットの中で「メールコンテンツオブジェクトへのアクセス」を有効にする
2.ナビゲーション項目にタブを追加する
利用可能オブジェクトと対象レコードの整理
Email in Lightningでメールを配信する際は、対象とするSalesforceオブジェクトを事前に明確にしておくことが重要です。
対応しているオブジェクトにはリード、取引先責任者、キャンペーンメンバーなどがありますが、すべてのオブジェクトが対象となるわけではありません。
そのため配信前にはどのオブジェクトのどの項目(氏名やメールアドレスなど)を使うかを整理しておく必要があります。
またテンプレートに差し込む項目が、そのオブジェクトに対応しているかどうかも確認が必要です。これらが不十分だと、差し込みが空欄になるかエラーが発生する原因になります。
Email in Lightningの基本的な操作

Email in Lightningはノーコードで誰でも使えるLightningメールビルダーを活用し、直感的にメールコンテンツを作成できる点が最大の特長です。
ここではメールテンプレートの作成や差し込み設定、画像挿入、条件付き表示などの基本的な操作方法をわかりやすく解説します。
メールテンプレートの新規作成
Email in Lightningでは専用のビルダー画面からメールテンプレートを直感的に作成できます。テンプレートはテーマを選んでベースレイアウトを決定した後、テキストや画像、ボタンなどのコンポーネントをドラッグ&ドロップで配置していきます。編集作業はリアルタイムにプレビューされるため、完成イメージを確認しながら進めることができます。
作成したテンプレートは「下書き」「保存済み」「公開済み」という3つのステータスで管理されます。まず下書きとして保存しておき後日改めて編集を加えた上で公開する、という柔軟なワークフローにも対応できます。公開済みテンプレートは他のユーザーとも共有でき、実際のメール配信に活用できる状態となります。
テンプレートの編集後には複製や削除といった管理操作も可能であり、用途やターゲット別に使い分ける際にも役立ちます。
LightningメールテンプレートとClassicメールテンプレートの違い
Lightningメールテンプレートと混合しやすい機能として、Classicメールテンプレートがあります。ここでは、2つのテンプレートの違いを表にまとめました。
現在のSalesforceではClassicテンプレートよりもLightningテンプレートの利用が推奨されています。どちらを選べば良いか分からないという方は、まずはLightningテンプレートの実行をおすすめします。
比較項目 | Lightningテンプレート | Classicテンプレート |
作成方法 | ノーコード(ビルダー使用) | HTMLの手入力が前提 |
画像挿入方法 | ドラッグ&ドロップ、ファイル直接選択 | URL指定、HTML編集が必要 |
対応機能 | 差し込み、テーマ、条件表示など豊富 | 一部機能は非対応または限定的 |
推奨状況 | 新規作成ではこちらが推奨 | 廃止予定機能として段階的に縮小中 |
コンポーネント(テキスト・画像・ボタンなど)の追加
Email in Lightningではテンプレート内にテキストや画像、ボタンなどのコンポーネントを自由に追加でき、直感的に魅力的なレイアウトを構築できます。
カラム構成や区切り線なども用意されており、柔軟な段組みや装飾が可能です。例えば画像、本文、CTAボタンという構成のキャンペーンメールも簡単に作成できます。各コンポーネントはサイズ・色・余白などを細かく調整でき、ブランドに合ったデザインを実現できます。
一方で自由度が高い分、スマホ表示での崩れには注意が必要です。特に複数カラムはモバイルで縦並びになるため、構成の自然な流れを意識することが大切です。視認性とデザイン性を両立させるためにはレスポンシブな視点での設計が求められます。
差し込み項目の設定
差し込み項目は取引先責任者の氏名や会社名など、対象レコードの情報をメール本文に自動挿入できる便利な機能です。
Email in Lightningではオブジェクトに応じた差し込み項目をエディタ上から簡単に選択でき、コードの知識がなくても扱えます。また対象フィールドが空の場合に備えて「お客様」などの代替テキスト(フォールバック値)も設定可能です。
例えば「{{Recipient.FirstName | default: “お客様”}}」と書けば、名前が未入力でも表示が成立します。配信前にはプレビュー機能を活用し、特定レコードで差し込み内容が正しく表示されるか確認しましょう。
こうした確認により、タグの誤りや空白表示によるミスを防げます。便利な一方で設定ミスは誤配信の原因にもなるため、慎重な設計とチェックが求められます。
画像・リンク・レコードリンクの挿入
Email in Lightningではメール本文に画像やリンクを柔軟に挿入でき、視認性やユーザー体験を高めることが可能です。
画像はSalesforce Filesから選択するか外部URL指定のどちらでも利用でき、挿入後にはAltテキストやリンクの設定も行えます。
リンクはテキスト形式とボタン形式の両方に対応しており、任意のURLを指定可能です。また差し込みタグを活用すれば受信者ごとに異なるリンクを生成でき、クリック率やエンゲージメント向上が期待できます。
さらにSalesforceのオブジェクトと連携し、関連レコードへの直接リンクも挿入できます。これにより取引先責任者や商談ページへのアクセスを即座に促せ、営業活動がよりスムーズになります。
条件付き表示・テーマ設定・プリヘッダーの活用
Email in Lightningは視覚的に訴求しながら、顧客ごとのパーソナライズも両立できる高機能なメール作成ツールです。
中でも「条件付き表示」機能を活用すれば、顧客の属性に応じて表示コンテンツを柔軟に切り替えることが可能です。
さらに「テーマ設定」によって、背景色やフォント、ボタンカラーなど全体のデザインを統一でき、ブランドイメージを短時間で反映できます。これによりメールの視認性が高まり、クリック率の向上にもつながります。
また、「プリヘッダー編集」機能を使えば、件名に続く短い文を自由に調整でき、受信者の興味を惹く工夫がしやすくなります。
このように複数の機能を組み合わせることで、Email in Lightningは単なる配信手段にとどまらず、成果を生み出すマーケティングの中核ツールとして活用できます。
Email in Lightningで作成したメールの配信手順
Email in Lightningで作成したテンプレートはSalesforce内のリストメール機能を通じて対象レコードに配信することが可能です。ここではテンプレート作成から配信後の確認・分析まで、一連のステップを解説します。
設定ミスや送信エラーを防ぐためにも、各工程を丁寧に確認しながら進めることが重要です。
①テンプレートの作成
Email in Lightningでメールを配信するためには、まずLightningメールビルダーを使ってテンプレートを作成することが必要です。
使用するテンプレートは「公開済み」のステータスでなければ配信には利用できません。あらかじめ差し込み項目やコンポーネントの整合性を確認し、誤字脱字やレイアウト崩れがないかをプレビューでチェックしたうえで公開設定を行いましょう。
操作手順
1.Salesforce上部ナビゲーションバーで「メールテンプレート」タブをクリック
表示されていない場合は「タブの追加」から追加する。
2.右上の「新規メールテンプレート」ボタンをクリック

3.必要な項目を入力して保存する。
4.ビルダー画面でデザインテンプレートを選択し、ドラッグ&ドロップでコンテンツを配置

5.差し込み項目を挿入し、プレビューで表示内容を確認

6.上部の「保存」をクリックし、「公開する」を選択してテンプレートを公開状態に設定
②キャンペーンの作成と紐付け(任意)
配信したメールの効果測定を行う場合、Salesforceのキャンペーンと紐付けることでレポート化が可能になります。例えばあるテンプレートをA/Bテスト的に複数のリストへ送る際や他の施策との関連性を測りたい場合にはキャンペーン単位での紐付けが有効です。
なおこのステップは必須ではなく、目的に応じて柔軟に活用できます。
操作手順
1.「キャンペーン」タブをクリックし、「新規」ボタンを選択

2.キャンペーン名、ステータス、開始日・終了日など必要項目を入力し「保存」をクリック
3.リストメール作成時、配信対象キャンペーンとしてこのキャンペーンを選択することで紐付けが可能
※Pardot連携が有効な場合は、「キャンペーンとPardotキャンペーンの同期」を有効にしておく
③送信対象リストの選定
次に実際にメールを配信する対象レコードのリストを作成します。リード・取引先責任者・カスタムオブジェクトなどのテンプレートに紐づいたオブジェクトの中から条件を指定してリストを絞り込みます。
ここで注意すべきはメール送信先として指定できるのはメールアドレス項目が存在し、有効な値が登録されているレコードに限られるという点です。無効なアドレスや空欄があると送信時にエラーになりますので気を付けましょう。
操作手順
1.配信対象のオブジェクト(例:取引先責任者)のリストビューを開く
2.条件に合うレコードにチェックを入れる(最大200件まで)
3.チェックしたレコードに対して「リストメールを送信」アクションを選択(または一括処理ボタンをカスタマイズ)

Campaignにレコードを関連付けてからキャンペーンメンバーを対象に送信することも可能です。
④リストメールの作成と送信
対象リストが整ったらリストメール機能を使って配信を行います。メール作成画面でテンプレートを選択し、件名・プリヘッダー・送信者情報などを設定します。
またスケジュール送信を設定すれば指定日時に自動で配信されるため、業務の効率化にもつながります。送信前には必ず「プレビュー」と「テスト送信」を実施し、差し込み内容やリンク、レイアウトが正常に表示されるかを確認してください。
操作手順
1.「リストメール」タブ(またはLightningメールタブ)を開く
2.「新規リストメール作成」または「メール送信」をクリック

3.メールテンプレートを選択
※ステータスが「公開」になっているものに限る

4.件名、プリヘッダー、送信者名、送信元アドレスを入力
5.対象リスト(レコードやキャンペーンメンバー)を選択
6.「プレビュー」タブで差し込み値やレイアウトを確認
7.「テスト送信」で自分のアドレス宛に試し送信を実施
8.問題がなければ「今すぐ送信」または「日時指定送信」で配信設定
⑤メール送信後の確認と分析
配信が完了した後は送信結果の確認と効果分析を行います。開封率・クリック率・バウンス(エラー)件数・リンクのクリック先などをSalesforce内のレポートまたはキャンペーン機能で集計が可能です。
これらのデータを活用して次回以降の配信内容や対象リストの改善に活かしていくことが重要です。
操作手順
1.「リストメール」や「キャンペーン」タブから該当メールを選択
2.レポートタブまたは「関連」から開封率・クリック率・バウンス数などの配信結果を確認
3.Salesforceレポートを作成して、対象オブジェクト別のメール反応を集計可能
4.必要に応じて「キャンペーン影響度」などを活用し、商談・リードへの影響も分析
Email in Lightningでよくある失敗と対処法

Email in Lightningは非常に直感的で操作しやすい一方、設定や使い方を誤るとメールが送信できなかったり意図しない表示となるなどのトラブルが発生します。本章では導入初期や運用中に起こりやすい失敗とその解決策を解説します。
メールが送信できない・送信ボタンが表示されない
この問題は主にユーザの権限不足や設定ミスによって発生します。例えばLightningメールテンプレートやリストメール機能に対する操作権限がないと作成や送信のボタンが表示されません。また利用可能オブジェクトに対してのアクセス権が制限されている場合も同様です。
対処法としてはMarketing Userやメールテンプレート作成権限を含む権限セットを確認し、適切に割り当てることが求められます。またプロファイルやタブ設定でメールコンテンツタブやリストメールが表示されているかも確認しましょう。
差し込み項目が空白になる・正しく表示されない
差し込み項目が正しく機能しない場合、主な原因としては対象レコードに値が入力されていない、差し込みタグの構文が誤っている、または使用しているフィールドが対象オブジェクトに存在しないといった点が挙げられます。
これを防ぐためにはまずタグの構文が正しく記述されているかを確認し、さらにフィールドが存在し対応しているかを事前にチェックすることが必要です。
また差し込み対象の値が空欄となる可能性がある場合には、代替テキストを設定しておくことで空白表示を避けられます。例えば「{{Recipient.FirstName | default: “お客様”}}」と記述すれば、氏名が未入力でも「お客様」と表示されます。
テンプレートが表示されない・選択できない
メール送信時に作成済みのテンプレートが一覧に表示されない場合、その原因としてよくあるのがテンプレートが「下書き」や「保存」状態のままで「公開」になっていないことです。
テンプレートを使用可能にするには、作成後に必ず「公開」へステータスを変更する必要があります。加えてテンプレートが保存されているフォルダの共有設定が適切でない場合も、他のユーザーから参照できません。
フォルダは必要に応じて共有設定を見直し、対象ユーザーやグループと共有してください。またテンプレートに紐づけられたオブジェクトに対して、ユーザーがアクセス権限を持っているかも重要なポイントです。
対象オブジェクトとユーザーの権限範囲が一致していないと、テンプレートは表示されません。こうした設定を丁寧に見直すことで、テンプレートの表示トラブルを防ぐことができます。
画像やリンクが反映されない・エラーになる
画像やリンクがうまく表示されない場合はURLの形式ミスやSalesforceファイル設定に問題があることが多いです。例えば外部画像のURLにhttpを使っているとセキュリティ制限でブロックされるケースもあります。
対処法としては画像をSalesforceのファイルからアップロードし、公開リンクURLを取得して挿入することが推奨されます。またリンク設定時には必ず「完全なURL(https://〜)」を入力し、誤字やトラッキングミスがないか確認しましょう。
セキュリティリスクへの対応が弱い
メール運用には常にセキュリティリスクが伴い、特に誤操作による機密情報の漏洩や社内での誤配信は重大なトラブルにつながります。
例えば営業資料を誤って全社員に一斉送信してしまうような事例も起こり得ます。こうしたリスクを回避するにはまずテスト送信を行い、配信内容や対象の事前チェックを徹底することが重要です。
さらに送信前の確認フローをSalesforceのフロー機能などで設計し、運用に組み込むと効果的です。またテンプレートの編集や公開に関しては管理者が権限を制御し、不要な操作ができないようにすることも必要です。
これらの対策により、ヒューマンエラーを最小限に抑えることが可能になります。安全かつ確実な運用体制の構築がメール施策の成功には不可欠です。
Salesforceフローを設定したい方は、こちらの記事をご覧ください。
参照:Salesforceフローとは?基本機能からレコードトリガフローの使い方も具体例と一緒に徹底解説!
Email in Lightning導入の判断材料と活用チェックリスト
Email in Lightningは直感的なUIとSalesforceとの強固な連携を兼ね備えた非常に実用的なメール作成・配信機能ですが、すべての組織に適しているわけではありません。
本章では導入を検討するうえでの判断基準と活用時に確認すべき初期設定項目、さらには社内検討資料としてそのまま使える比較表や導入フローチャートをご紹介します。
自社にEmail in Lightningは本当に必要か?判断基準の整理
Salesforceではこれまで複数のメール作成・配信機能が提供されてきました。Email in LightningやAccount Engagementメールに加えて、前から使われているクラシックメールテンプレートもまだ利用可能です。
ただしそれぞれに特徴や制限があるため、自社の目的に合った選択が重要です。どの機能を選ぶべきかを判断するためにそれぞれの特徴を表にまとめましたので、導入を検討する際の参考にしてください。
比較項目 | Email in Lightning | Pardotメール | クラシックテンプレート |
主な利用者 | 営業担当者、管理者 | マーケティング担当者 | 管理者中心、営業担当者(一部) |
利用目的 | 商談中の顧客対応、通知 | キャンペーン、リード育成 | 社内通知、簡易連絡 |
作成方法 | ノーコード、ビルダー操作 | ビルダー+HTML編集 | HTML手打ちが前提、エディタ簡易版の可能 |
自動化機能 | なし(手動配信) | Engagement Studioなどで対応可能 | なし(ワークフロー経由利用も) |
対象レコード | Salesforceのオブジェクト全般 | Pardotプロスペクト | Salesforceレコード(限定的) |
分析機能 | 開封率・クリック率の基本指標 | 詳細なトラッキングとスコアリング | 分析なし、トラッキング困難 |
ユーザビリティ | 直感的、ノンプログラミングでも操作可能 | やや専門的(MAツール操作) | 開発知識が必要な場面が多い |
今後の推奨度 | 高(推奨) | 高(用途次第で併用) | 低(段階的に非推奨へ) |
このように即時対応や営業活動の一環としてメールを送りたい場合はEmail in Lightningが向いており、マーケティング活動としての計画的な一斉配信やステップ配信を行いたい場合にはPardotが適しています。
導入検討時に使える導入フローチャート
また、導入検討フローチャートもあわせて設けておくと便利です。以下に判断例を記載しますので、参考にしてください。
①メールを作るのは誰ですか?
- 営業担当者:Email in Lightning
- マーケティング担当者:Pardotメール
②メールを自動で配信したいですか?
- はい:Pardotメール
- いいえ:Email in Lightning
③HTMLを書かずに直感的にメールを作りたいですか?
- はい:Email in Lightning
- いいえ(HTML前提でもOK):クラシックテンプレート
④メール配信後の反応(開封率・クリック率など)を分析したいですか?
- はい:Pardotメール、(Email in Lightning)
- いいえ:クラシックテンプレートでも可
このように基準を整理しておけばツール選定に迷うことはありません。自社のメール配信の目的や対象に合わせて選定することが業務効率と成果の最大化に繋がります。
まとめ
Email in LightningはSalesforceユーザーにとって非常に実用性の高いメール作成・配信機能です。従来のクラシックテンプレートが抱えていたHTMLが必要、UIが直感的でないといった課題を解消し、誰でも簡単に美しいメールを作成できる環境を提供しています。
一方でマーケティング施策として大量のリードに対して自動でメールを配信したい、複雑なステップ配信を構築したいというニーズには、Account Engagemenの方が適しています。
自社の業務目的や担当者のスキルセットに応じて、適切な機能を選定することが、業務効率化や成果向上のカギとなります。
導入時には権限設定やテンプレートの公開状況などの事前に整備すべき項目も多いため、本記事で紹介したチェックリストや比較表を活用しながら段階的に導入を進めていくことをおすすめします。
目的と機能が正しく一致すればEmail in Lightningは現場の生産性を大きく高める強力なツールとなるはずです。
また、ストラのSalesforce導入支援や定着化支援、開発支援について、さらに詳しく知りたい方はこちらのページで紹介しています。
Salesforceの導入や活用のお困りごとはプロにご相談ください
- Salesforceのメール機能が多すぎて、Email in LightningとAccount Engagementメールの違いが分からない
- Email in Lightningを導入したいが、権限設定や配信準備、オブジェクト連携など設定手順が複雑で不安
- 営業向け・マーケ向けなど、自社の役割ごとに最適なメール配信方法を整理したいが判断が難しい


執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀
大学卒業後、株式会社TBI JAPANに入社。株式会社Paykeに取締役として出向し訪日旅行者向けモバイルアプリ及び製造小売り向けSaaSプロダクトの立ち上げを行う。
アクセンチュア株式会社では大手メディア・総合人材企業のセールス・マーケティング領域の戦略策定や業務改革、SFA・MAツール等の導入及び活用支援業務に従事。
株式会社Paykeに再入社し約10億円の資金調達を行いビジネスサイドを管掌した後、Strh株式会社を設立し代表取締役に就任。
▼保有資格
Salesforce認定アドミニストレーター
Salesforce認定Marketing Cloudアドミニストレーター
Salesforce認定Marketing Cloud Account Engagementスペシャリスト
Salesforce認定Marketing Cloud Account Engagement コンサルタント
Salesforce認定Sales Cloudコンサルタント
Salesforce認定Data Cloudコンサルタント