Salesforceパートナーとは?分類・選び方・おすすめ企業まで徹底解説

この記事でわかること
- Salesforceパートナーとは何か?役割と分類を徹底解説
- Salesforceパートナーの選定基準と評価軸の整理
- Salesforceパートナーを選ぶ際に見落としがちな本質的視点
- 目的別・業種別に見る最適なSalesforceパートナーの選び方

執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀
Salesforceの導入や活用のお困りごとはプロにご相談ください
- Salesforceパートナーが多すぎて、どの企業に相談すべきか分からない
- 導入後の定着や業務改善まで支援してくれるパートナーを探している
- 自社の業務や課題に本当に寄り添ってくれる支援先を見極めたい
Salesforce導入や運用をする上で欠かせない存在が「Salesforceパートナー」です。しかし実際に導入や運用を検討する段階になると、「どのSalesforceパートナーに依頼すべきか」「自社の目的に合った支援をしてくれる企業はどこか」といった悩みを抱える担当者は少なくありません。
本記事ではSalesforceパートナーについての基本的な定義や役割から、その分類と特徴、選定時に確認すべき評価ポイントまでを体系的に解説します。さらに注目すべきおすすめパートナー企業もタイプ別に紹介し、読者が自社に最適な支援先を見つけられるよう具体的な選定視点を提示します。Salesforce導入の成功に不可欠な「パートナー選定」の最初の一歩としてご活用ください。
なおSalesforceそのものの特徴やできることについて基礎から知りたい方は、まずはこちらの記事をご参照ください。
参照:【完全ガイド】Salesforceの使い方|初心者向け基本操作から応用テクニックまで解説
目次
Salesforceパートナーとは何か?その役割と分類を徹底解説
SalesforceパートナーとはSalesforce社が認定する支援企業であり、導入・運用・開発・業務改善などのサポートを行う存在です。Salesforceパートナーは多数存在しますがそれぞれ得意分野が違い、その役割を明確に理解している方は少ないと思います。
ここではSalesforceパートナーの定義とSalesforceパートナーが提供する支援内容の違いについて紹介します。
Salesforceパートナーの定義と役割
SalesforceパートナーとはSalesforce社が認定する「パートナープログラム」に参加し、Salesforceの導入・運用・開発・業務改善などを専門的に提供する企業を指します。これらのパートナー企業はSalesforce製品の販売代理にとどまらず、クライアントの業務課題を分析し、最適な活用方法を提案・実装・支援する役割を果たします。
Salesforceパートナーの分類と特徴
Salesforceパートナーには提供する支援内容や機能に応じていくつかのタイプが存在します。主に「コンサルティングパートナー」「AppExchangeパートナー」「再販パートナー」の3つに区別され、それぞれの得意領域や活用シーンは異なります。
ここではSalesforceパートナーが提供している支援内容の分類と特徴を詳しく見ていきましょう。
コンサルティングパートナーの特徴と支援内容
コンサルティングパートナーはSalesforce導入の企画段階から、要件定義・設計・構築、さらには運用・定着までを一貫して支援するパートナーです。
支援内容は現状業務のヒアリングと整理、最適な活用方法の設計、Salesforceの標準機能やカスタマイズの実装、導入後の教育・定着支援など多岐にわたります。会社全体でのDXや複数部門への展開を見据えた中長期の支援に強みを持つ点が、他のパートナーとの大きな違いです。
AppExchangeパートナーとは?アプリ提供者の役割
AppExchangeパートナーはSalesforceの公式アプリマーケットである「AppExchange」において、業務に特化したアプリケーションを開発・提供する企業です。Salesforceの標準機能では対応しきれないニーズに応えるソリューションを多数持っている点が特徴です。
支援内容としては必要なアプリの導入支援や設定、既存システムとの連携調整、機能追加のカスタマイズなどが挙げられます。コストや導入スピードを抑えつつ業務を拡張したい企業にとって、最適な解決策を提供するパートナーです。
AppExchangeについて詳しく知りたいかたはこちらの記事も合わせてご覧ください。
参考:SalesforceのAppExchangeとは?活用メリットやおすすめのアプリを一覧で紹介
再販パートナーの特徴と支援内容
再販パートナーはSalesforce製品のライセンス販売や契約手続きに関する支援を主な役割とするパートナーです。ライセンス体系や契約フローに精通しており、初めて導入する企業でもスムーズに立ち上げられるようサポートしてくれる点が特徴です。
支援内容には最適な製品プランの提案、見積取得や契約支援、初期設定の代行、簡易的な操作説明や導入サポートが含まれます。特にIT部門を持たない中小企業にとって初期フェーズを安心して任せられる存在です。
Salesforceパートナー選定時に確認すべきポイント
Salesforceパートナーは多数存在しますが、どの企業を選ぶかによって導入効果は大きく変わります。認定資格や実績といった表面的な指標だけでなく、支援領域の広さや業務理解度さらには将来的な運用までを見据えた選定が重要です。
この章ではSalesforceパートナーを選定する際にチェックすべき客観的な評価軸と、本質的に見極めるべき視点の両面から解説します。また選定を進めるにあたっての質問リストも紹介し、失敗しないパートナー選びの具体的な方法を解説します。
認定資格・導入実績・顧客満足度での比較方法
Salesforceパートナーを選定する際には信頼性をどう見極めるかが大きなポイントになります。なぜなら導入後の構築品質や業務への定着、さらには継続的な改善支援までを左右するのがパートナーの実力だからです。
一度契約してしまうと途中での切り替えは容易ではなく、成果にも大きな差が生まれます。しかし候補企業が多数ある中で、どのような基準で比較すればよいのか迷う方も少なくありません。
このセクションでは客観的に比較可能な評価軸として有効な「Salesforce認定資格の保有状況」「導入実績の数と内容」「顧客満足度」に注目し、それぞれがなぜ信頼性を測るうえで重要な指標となるのかを解説していきます。
Salesforce認定資格の種類と価値
Salesforceには管理者、開発者、アーキテクト、コンサルタントなど複数の資格カテゴリが存在し、それぞれの資格で求められるスキルや知識は異なります。これらの資格は単に個人の能力を証明するものではなく、企業全体の実行力や品質の高さを裏付ける重要な指標でもあります。
なぜならSalesforceのプロジェクトでは要件定義・設計・開発・運用保守に至るまで、多岐にわたる専門知識と実務経験が求められるからです。たとえば「アドミニストレーター」の資格は運用管理の理解を、「Platform Developer」の資格はアプリ開発スキルを、「アーキテクト」や「コンサルタント」の資格はシステム全体の設計や業務要件への対応力を示します。
これらの資格を社内で網羅的に保有しているということは、プロジェクトの各フェーズで専門性の高い対応が可能であり、属人化を避けた安定した体制を整えている証拠の1つとなります。
さらに難易度の高い資格や複数分野にまたがる資格を持つ人材が在籍している企業は、複雑な課題や新たな要件に対しても柔軟かつスピーディに対応できる力を備えていると判断する材料にもなります。これは単なる知識の証明ではなく「再現性ある技術力の担保」「標準化されたプロセスの実践」「継続的なスキルアップと学習文化」の存在を示すものです。
したがって資格の保有数やカバレッジの広さを見ることは、その企業がSalesforce導入・運用をどのレベルで支援できるのかを測るうえで非常に有効です。導入を検討する際には単に保有数だけでなく、「どの資格を持ち、どの領域に強いのか」を確認することが重要です。
参考:Salesforce認定資格とは?おすすめの資格や勉強方法について紹介
実績から導入スキルや業界知見を推測する視点を紹介
導入実績はプロジェクト規模や業種、Salesforce製品の種類に注目して確認することが重要です。例えば自社と同じ業界での構築実績があるパートナーであれば、業務特性への理解があるため要件定義や改善提案の質も高まります。
またSalesforce単体だけでなく他の業務システムとの連携やカスタマイズの柔軟性を求める場合には、技術力や開発体制も実績から読み取るべきポイントです。単に「件数が多い」ではなく、「自社に近い条件で成功させているか」を軸に判断しましょう。
顧客満足度・サポート体制の確認項目
顧客満足度やサポート体制の質はプロジェクトの運用フェーズに大きく影響します。例えば構築がスムーズでもその後の対応が遅い、質問に答えられないなどの問題があれば結果的に業務への定着が進みません。
確認すべき項目としては、契約後の定例サポートの有無、問い合わせへのレスポンス速度、トラブル発生時の対応方針などがあります。可能であれば他社事例やヒアリングを通じて、実際に対応した担当者のスキルや柔軟性についても把握しておきましょう。
本当に見極めるべきポイント
Salesforceパートナーを選定するうえで「認定資格の保有状況」「導入実績の数と内容」「顧客満足度」といった客観的な評価軸は、信頼性を見極めるうえで非常に有効です。
しかしこれらはあくまで表面的な指標にすぎず、本当に自社に合ったパートナーかどうかを判断するには「支援体制の実効性」や「業務理解の深さ」「デリバリースキルと経験」といった導入の成否を左右する重要な要素であり、定量的なデータだけでは見抜くことができない点にも注目する必要があります。
このセクションでは見落とされがちではあるものの、パートナー選定で本当に重視すべき視点として「パートナー企業の支援可能な業務領域」と「自社理解と業務知識の有無」の2つに注目し、なぜそれらが重要な判断材料となるのかを詳しく解説していきます。
パートナー企業の支援可能な業務領域
パートナー企業がどのような業務領域に対応可能なのかを確認することは非常に重要です。Salesforceは単なるシステム構築ツールではなく、営業・マーケティング・カスタマーサポートなど、業務そのものに直結するプラットフォームです。そのためパートナーがどのフェーズまで支援できるかを明確にしておかないと、プロジェクトが途中で頓挫するリスクがあります。
例えば開発領域に特化したパートナーはシステム構築には強くても、業務設計や定着支援には対応できないことがあります。一方業務支援に特化したパートナーは、業務改善には精通していても高度な開発には対応できないケースもあります。
システム開発と業務支援の両方を一貫して対応できるハイブリッド型のパートナーを選ぶことが、長期的な成果につながる選定のポイントとなります。
自社理解と業務知識・経験の有無
もう一つの重要な判断軸が、パートナーが自社の業務やビジネスモデルをどれだけ理解してくれるかという点です。Salesforceは「誰でも同じように使える」ものではなく、自社の業務特性や組織構造に合わせたカスタマイズが必要です。そのためドメイン知識を持たないパートナーでは、見当違いな要件定義や非効率な構築が発生する可能性があります。
特に営業プロセスやマーケティング施策、カスタマーサポート体制など、自社の強みに直結する領域においてはどのように支援を受けたいのかを事前に整理し、それに応じた知見を持つパートナーかどうかを見極めることが重要です。過去の事例を確認したり、初回相談時のヒアリングの深さなどからも判断できる場合があります。
自社に合ったパートナーを見極めるための質問リスト
Salesforceパートナーを選定する際には候補企業に対して直接質問を投げかけることで、その企業の実力や自社との相性をより正確に見極めることができます。ホームページや資料に記載された実績や資格だけでは、本当に信頼できるかどうかは判断できません。実際の支援力や業務理解の深さ、柔軟な対応姿勢などは対話の中でしか見えてこないものです。
ここでは初回のヒアリングや提案依頼時に確認しておきたい質問内容を厳選してご紹介します。これらの質問を通じて形式的なスペックではなく、「どれだけ自社に寄り添ってくれるか」を見極めましょう。
①自社と同業種・同規模のSalesforce導入実績はありますか?その際に直面した課題や解決方法も教えてください。
②要件定義から構築、導入後の運用支援まで、一貫して対応できる体制がありますか?
③担当予定のメンバーはSalesforce認定資格を保有していますか?また、その担当者の経験プロジェクトや得意分野はどこですか?
④自社の現状課題を踏まえ、標準機能とカスタム開発のどちらを軸にすべきと考えますか?
⑤他のシステムとSalesforceを連携した経験があれば、具体的な方法や工夫を教えてください。
⑥導入後のサポートは、どのような体制・頻度・対応範囲で提供されますか?
⑦導入プロジェクトを成功に導く上で、御社が特に重視している姿勢やポリシーがあれば教えてください。
Salesforceパートナー企業の選び方
Salesforceパートナーを比較・検討する際には、自社の課題や導入目的に合致する支援内容を提供できるかどうかを軸に評価することが重要です。ただし単に「技術力が高い」や「価格が安い」といった視点だけでは、本当に成果につながるパートナーを見極めるのは困難です。
この章ではSalesforceパートナーを選ぶうえでの評価軸を整理したうえで、目的別に選ぶべきタイプとそれに該当するおすすめの企業を紹介します。
選定基準のポイント
Salesforceパートナーを比較する際は、次の4つの観点を軸に評価するのが有効です。
専門性(技術・業種)
Salesforce導入の成否を分けるのは単なる開発スキルではなく、業務への深い理解と適切な適用力です。
技術的に構築ができるだけでなく、自社が属する業界に対する知見を持っているかどうかや、業務への理解度は要件定義の精度や運用設計の現実性に直結します。たとえば医療や金融など、規制や商習慣に独自性のある業界では、その分野でのプロジェクト実績や業界固有の業務理解があるかを確認することが重要です。
過去の支援事例や保有ノウハウにおいてどのような課題にどのように対応したかを具体的に聞くことで、専門性の高さを判断できます。
対応範囲
Salesforceの導入は「構築して終わり」ではなく「構築してからがスタート」です。導入前の業務整理や要件の抽出、定着化支援、導入後の保守・改善提案まで、継続的に伴走できる体制があるかがポイントです。
初期構築に特化した企業もある一方で、現場の運用を見据えてトレーニングやマニュアル整備、データの活用提案やチェンジマネジメント、業務改善まで包括的に支援できるパートナーは、導入後の成果を安定的に生み出しやすくなります。
継続支援を前提とした契約体系や運用フェーズにおける対応範囲を明確にしているかなども確認すべき要素のひとつです。
柔軟性・提案力
Salesforceの特性を活かすには、自社に合った構成や設定を行う柔軟性と、課題に対して先回りして提案できる思考力が求められます。
パートナーの中には標準的な構成に固執するあまり自社の業務とのギャップを放置するケースもありますが、本当に信頼できる支援企業はヒアリングから課題を引き出し、要望に応じた調整や改善案を能動的に提示してくれます。
RFP(提案依頼書)や商談時に「この会社は考えて動いてくれるか」を見極めることが、プロジェクト成功の鍵となります。
信頼性
パートナーの信頼性は外部から客観的に確認できる指標を通じて把握することも可能ですが、それだけでは危険です。
例えばSalesforce認定資格の保有数やその内訳(管理者・開発者・コンサルタントなど)、過去の導入実績、長期的な支援関係を築いている顧客の有無などが客観的に確認できる指標として考えられますが、実際に相対する担当者やプロジェクトに関わるパートナー企業担当者のスキルセットや経験によっても大きくプロジェクトの成否は分かれます。
したがって、打ち合わせを通して支援を担当する関係者についてより深く理解し見極めることがとても重要です。
また同様に単なる導入件数よりも自社と同業種・同規模の企業において、どのような課題解決を行ったかという「支援の中身」こそが重要です。導入実績の紹介ページや顧客インタビューの有無なども信頼性を測る手がかりになりますが、実際の打ち合わせ・やり取りを通して信頼に足りうるかを見極めましょう。
タイプ別おすすめSalesforceパートナー企業4種

Salesforceパートナーの比較検討を進める上では、自社の導入目的や社内体制に応じてどのタイプのパートナーが最適なのかを見極めることが重要です。たとえば「業務改善を重視したいのか」「技術力を求めるのか」によって、選ぶべき企業像は大きく変わります。
このセクションでは評価軸で整理した観点をもとに、よくある導入目的や特徴ごとにおすすめできるパートナータイプを4つに分類しました。まだ候補が決まっていない方にとっても、比較検討の出発点として活用できる内容になっています。
開発支援に強いパートナー
開発系パートナーはSalesforceの構築やカスタマイズに強みを持ち、要件通りにシステムを設計・実装する力に長けた企業です。Apex開発や外部APIとの連携、複雑な業務ロジックの再現など技術的難易度の高いプロジェクトを確実に遂行する体制が整っています。
このタイプのパートナーは社内に要件を定義できる体制があり、システム構築を委託したい企業に適しています。特にIT部門主導でプロジェクトを進める中堅〜大手企業、あるいはすでにSalesforceを導入済みで追加開発を行いたい企業にとって有力です。
一方業務設計や活用支援のフェーズは自社側で主導する必要がある可能性もあり、業務の現状やあるべき姿、業務要件がある程度固まっている状態での依頼が前提となります。
業務改善・BPOに強いパートナー
このタイプのパートナーはSalesforce導入に伴う業務整理やBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)支援に強みを持ちます。システム導入自体ではなく業務の見直しや最適化を中心に据えたコンサルティングを行い、そのうえでSalesforceを活用するスタイルが特徴です。
特に営業やカスタマーサポートなど現場業務が属人化している企業や、マニュアル対応が多く非効率な業務を改善したい小規模〜中堅企業に最適です。BPO業務の一部を請け負いつつSalesforce上で管理体制を整備するといった支援も対応できるため、リソース不足に悩む企業にとって心強いパートナーとなります。
業務改善の視点から現場を巻き込み、成果に直結する仕組みづくりを推進したい場合に有効です。
業務×開発支援の両軸に強いハイブリッド型パートナー
ハイブリッド型パートナーは業務設計力とSalesforce開発力の両方を兼ね備えたパートナーです。単なる開発ベンダーでもなく、業務コンサルティングだけでもない立ち位置で構想策定から要件定義・構築・定着支援・運用改善まで一貫して対応可能です。
このタイプはSalesforce導入が全社改革の一環であり、部門を横断して取り組みたいプロジェクトに最も適しています。とくにDX推進を掲げる中堅〜大手企業にとっては、ビジネス目標とテクノロジーの両面を理解してくれるパートナーの存在は非常に重要です。
例えば弊社ストラはこのハイブリッド型に位置付けられます。システム導入前の業務現状の整理及びTo-Be像の検討から、Salesforceの構築はもちろん、Salesforceを活用した業務改善、外部システムとの連携開発、現場定着まで、プロジェクトの上流から下流にわたる包括的な支援を提供しています。
また特定の部門だけでなく営業・マーケティング・カスタマーサポートなど、組織全体を巻き込んだ活用支援に強みを持っています。
参考:ストラ サービス紹介Salesforce導入支援
参考:ストラ サービス紹介Salesforce定着化・活用支援
参考:ストラ サービス紹介Salesforce開発・システム連携支援
特定業界に特化したパートナー
特定業界に強みを持つパートナーはその業界特有の業務プロセスや商習慣、規制対応に対する深い理解とノウハウを有しており、医療・製造・金融・教育・不動産など、業界ごとの業務フローに最適化されたSalesforceの設計・導入を得意とし、スムーズな立ち上げと活用定着を実現します。
業界標準のテンプレートや業界特化型AppExchange製品の提案も可能なため、業界内での競争優位性を確立したい企業に向いています。
特にレガシーシステムからのリプレイスを進めている業界やガバナンス・セキュリティ要件が厳しい業界では、こうした専門性があるパートナーを選ぶことが成功の鍵になります。
ただし業界特化型パートナーの中には技術領域全般のカバーが弱い場合もあるため、要件の幅に応じた補完体制の確認が必要です。
目的別・業種別に見る最適なSalesforceパートナーの選び方
Salesforceパートナーの選定は単に企業の実績や知名度で決めるのではなく、自社の導入目的や業界特性に照らして最適な支援内容を提供できるかどうかで判断すべきです。例えば営業強化を目的とするのか、カスタマーサポートの改善か、あるいは全社的な業務改革(DX)を見据えた取り組みなのかによって選ぶべきパートナーのタイプや得意分野は異なります。
また業界ごとに業務プロセスや商習慣、規制が異なるため、業種に応じたパートナー選定の視点も重要です。この章では導入目的別・業種別に最適なパートナーの特徴や、選定時に注目すべき具体的なポイントを整理し、読者自身がより的確に自社に合うパートナー像を描けるようサポートします。
導入目的別に見るパートナータイプの最適解
Salesforce導入を検討する企業は「営業支援」「マーケティング強化」「顧客対応力の向上」「全社的なDX推進」など、目的によって機能も支援内容も大きく変わります。だからこそパートナー選定において「何を解決したいのか」を明確にしたうえで、それに最も適したタイプの支援企業を選ぶことが重要です。ここでは目的別にどのようなパートナーが最適かを解説していきます。
営業活動を効率化・可視化したい企業に適したパートナーの特徴
営業活動の可視化や進捗管理を目的とする場合、Sales Cloudを中心としたSFA(営業支援システム)の導入支援に強いパートナーが適しています。商談フェーズ管理、KPI設計、パイプラインのダッシュボード化など営業現場の実務とシステムをつなぐ設計力が必要です。
この分野に強いパートナーは営業プロセスへの理解に加えて、リード・商談・活動履歴といった標準オブジェクトの活用経験が豊富で、営業担当者が使いたくなるUI・設計を提案できる点が特徴です。営業現場との橋渡しができるコンサルティング力を持つ企業を選ぶと導入後の定着率が高まります。
マーケティングオートメーション導入を成功させるパートナーの条件
マーケティング部門がSalesforce導入を検討するケースではAccount Engagement(旧 Pardot)やMarketing Cloudの導入に対応し、マーケティングオートメーション(MA)のシナリオ設計・運用実績があるパートナーが理想的です。
効果的なパートナーは単にツールを設定するだけでなく、リードのスコアリング設計やメールシナリオの最適化、キャンペーン評価の仕組み構築などマーケ施策の全体設計まで支援します。マーケティング部門との協業体制を組める企業かどうか、また営業部門とのデータ連携を視野に入れた提案ができるかを見極めることがポイントです。
カスタマーサポート体制強化に必要な支援スキルと対応力
顧客対応業務を効率化・高度化したい場合はService Cloudを活用した問い合わせ管理やナレッジベース運用に強みを持つパートナーが求められます。ケース管理やエスカレーションルールの設計、チャットボットやFAQの活用など、サポート現場特有の運用要件に精通しているかが判断基準になります。
またカスタマーサポート領域では業務プロセスの改善提案も重要となるため、単なるシステム導入ではなく「対応の抜け漏れ防止」「一次対応の自動化」など業務目線での支援ができるパートナーが理想です。対応スピードと正確性の両立を図るための設計に長けた企業を選ぶことが重要です。
全社的な業務改革(DX)を推進するための伴走型パートナー像
全社横断のDXプロジェクトとしてSalesforceを導入する場合、単なる構築支援ではなく業務要件の整理から運用・定着・改善まで一気通貫で対応できる「伴走型パートナー」が欠かせません。このタイプの支援企業は、複数部門を巻き込みながら段階的に導入を進めるためのプロジェクトマネジメント力や業務設計力が強みです。
また社内での業務変革を進めるにはシステム面だけでなくユーザーへの活用定着、教育、リーダー層との合意形成など非技術領域の支援も求められます。そうした多面的な支援に対応できるパートナーは経営層・現場・IT部門をつなぎながら、真の業務改革を実現する力を持っています。
業種別に見るSalesforceパートナーの選び方と注意点
Salesforceを導入する際にパートナー選定の判断基準として見落とされがちなのが、業種との相性です。営業支援やマーケティングの基本機能は共通でも業務フローや情報管理の構造、遵守すべき規制は業界ごとに大きく異なります。
こうした違いに対応できるパートナーを選ばなければ、導入後に現場に合わない、運用が定着しないといった課題が顕在化するリスクが高まります。
本章では医療、製造、金融、教育、不動産の業界を例にそれぞれの業界においてSalesforce導入時にどのような視点でパートナーを選ぶべきか、選定時に見落とされがちな注意点についてご紹介します。
医療業界
医療業界でSalesforceを導入する際にまず見るべきなのは、パートナーが医療業界特有の複雑な業務や法規制への理解を持っているかどうかです。
患者の個人情報を取り扱う業務では、個人情報保護法や医療関連のガイドラインに準拠したシステム設計が求められます。また医師・看護師・医事課といった多職種の連携を前提とした情報共有体制を設計できるかどうかも、活用段階での成否を左右します。
一方で注意したいのは「過去に医療機関を支援した実績がある」という点を過信しすぎないことです。医療業界は制度改正やガイドラインの見直しが頻繁に行われる分野であり、古い知識や構成のまま提案されると現場とのズレが生じるリスクがあります。
そのためパートナー選定の際には、最近支援した医療プロジェクトでどのような制度変更に対応したか、直近の業界動向にどう対応しているかといった実務知識に基づく支援ができるかを確認することが重要です。
また他院で利用されたテンプレートをそのまま流用するのではなく、自院の業務や体制に合わせた柔軟な設計提案が行えるかどうかも見極めるべきポイントとなります。
製造業
製造業では既にERPや生産管理システムを導入していることが多いため、これら外部システムとSalesforceの連携を前提に構築できるパートナーかどうかが、導入の成否を大きく左右します。
特に営業と現場の間で情報が分断されがちな製造業では、部門横断の連携設計や運用を見据えたUI提案の実績もパートナー選定の鍵となります。
一方で注意したいのは「製造業に対応したテンプレート」があるという理由で、パートナーが過去の構成をそのまま適用しようとするケースです。
製造業の業務フローは企業ごとに大きく異なり、例えば見積から受注、生産指示までの流れにおいて標準化されたテンプレートが自社のプロセスと齟齬を起こすことは少なくありません。こうしたズレが後になって発覚すると、追加の開発コストや運用負荷が発生するだけでなく現場の定着にも悪影響を与える恐れがあります。
そのため製造業向けパートナーを選ぶ際には業界経験だけでなく、自社の業務特性を深くヒアリングし、フローに合わせて柔軟に設計を調整できるかを必ず確認すべきです。
金融業界
金融業界ではセキュリティやコンプライアンス対応を含めた高度な要件を満たす設計が求められるため、パートナー選定の段階で慎重な判断が必要です。パートナーは単に開発スキルが高いだけでなく、個人情報保護法や金融庁ガイドラインなどの法規制に精通し、これらを設計レベルで具体化できる必要があります。
さらに業務の特性上「業務の透明性」を確保できる設計力も選定の鍵となります。トラブル発生時や内部監査の際に「誰が・いつ・何を行ったか」が明確に記録されている状態を前提としており、パートナーはこうした監査視点を持っていることが欠かせません。
こうした要求に対して、要件定義の段階でどこまで具体的に設計に落とし込む提案ができるかが確認すべきポイントです。
ただし注意すべきは「セキュリティ対策の実績がある」といった表面的な実績だけで判断してしまうことです。過去のプロジェクト数や保有資格なども一つの指標にはなりますが、それが現在の自社の業務要件や法規制に即した提案につながっているとは限りません。
またテンプレート的な対応ではなく、自社の業務内容や体制に沿った柔軟な提案が可能かどうかを見極めることが、導入後の運用定着と成果創出に大きく影響します。
教育業界
教育業界では一般的なCRM導入とは異なる視点が必要です。様々な教育機関では、入学前の問い合わせや出願情報から始まり、在学中の出欠管理、成績、授業履歴、さらには卒業後のフォローまで対象者のライフサイクル全体の情報管理が求められます。
また学籍管理システムやLMS(学習管理システム)、財務会計システムなど複数の外部システムと連携するケースが多く、単独でSalesforceを構築するだけでなく、他システムとのデータ統合や運用設計までを含めた包括的な提案力も必要です。
しかし注意したいのは教育業界への理解があっても、導入後の運用フェーズまでしっかり支援できるパートナーは意外と少ないという点です。特に教職員や職員にITリテラシーのばらつきがある場合、丁寧なトレーニング支援や日常業務に即したUI設計、定着に向けた改善提案の有無が成果を左右します。
不動産業界
不動産業界では一つの物件に複数の顧客が関与することもあれば、一人の顧客が複数の物件を同時に扱うケースもあります。さらに契約が自社を介さず媒介業者経由で発生する場合なども多く、こうした複雑な関係性を正確にシステム上で設計・管理できるかどうかが導入後の運用に直結します。
このような不動産特有のデータ構造を正しく理解し、柔軟にモデル化できるパートナーを選ぶことが何より重要です。特に物件情報と顧客・契約データを適切に紐づけ、営業担当者が直感的に案件の進捗を把握できる画面設計や情報の流れを設計できるかが、現場での定着を左右します。
しかし注意すべきは業界実績を掲げるパートナーであっても、実際には他業界向けの汎用テンプレートをそのまま流用し、業務に適さない構成になってしまうケースがあるという点です。その結果現場のオペレーションとシステム設計がかみ合わず、情報の二重管理や属人化が発生し、最終的にシステムが形骸化してしまう恐れがあります。
不動産業界において業務の実態に即したゼロベースでの提案ができるパートナーかどうか、また現場の流れを理解し、柔軟な調整に対応できる体制を持っているかが選定のポイントとなります。
Salesforceパートナーを探すためのリソースと活用法
Salesforceパートナーを選定する際には、比較検討のための情報源をいかに活用するかもポイントになります。信頼できるパートナーを見つけるためには、Salesforce社が提供する公式プラットフォームや目的別に最適なソリューションが見つかる検索ツールの使い方を理解することが重要です。
この章ではSalesforceパートナー選定時に活用できるソースである「Salesforce公式パートナーサイト」と「AppExchange」「各パートナーのWebサイト」について、それぞれの使い方と注意点を詳しく解説します。
Salesforce公式パートナーサイトの使い方
Salesforce社が提供する公式パートナーサイトは、信頼性の高い情報に基づいてパートナーを探すことができる最も有効な検索手段の一つです。地域・製品カテゴリ・業種・導入実績・認定資格の有無など、複数の条件でフィルタリングを行い自社に合致したパートナー候補を抽出することができます。
サイト上には各パートナーの詳細ページが用意されており、提供サービスの概要や実績、受賞歴、公式資格保有状況などが掲載されています。
ここで確認すべきポイントは「資格保有数が多いこと」よりも「どの領域に強みがあるか」「業界実績があるか」といった自社ニーズとのマッチ度です。また企業によっては導入事例やクライアント一覧も掲載されているため、具体的なイメージを持って検討することが可能です。
一方で情報の更新頻度や深さには企業間でばらつきがあるため、最終的には直接問い合わせて確認する前提で活用するのが良いでしょう。
AppExchangeを活用したソリューション検索
Salesforceが運営するAppExchangeは本来Salesforce上で利用できるアプリや拡張機能を検索・導入できるマーケットプレイスですが、ここにもパートナー企業の紹介が掲載されています。特にAppExchange経由でアプリを提供している企業については、その開発力や専門性、業務特化度を読み取る材料として活用できます。
AppExchangeでは「カテゴリ(営業・マーケティング・業務管理など)」「評価(レビュー)」「価格帯」「業種別ソリューション」といった複数の条件で絞り込みが可能です。また実際にアプリを導入したユーザーからのレビューも掲載されており、導入後の満足度やサポート対応など、公式情報だけでは得られない実態を確認できる点も大きなメリットです。
ただしすべてのSalesforceパートナーがAppExchangeでアプリを展開しているわけではないため、ここに掲載されている情報はあくまで「アプリ提供企業の一部」であるという前提を理解しておく必要があります。
パートナーのWebサイト情報
パートナー選定にあたっては、そのパートナー企業のWebサイトを調査することもとても重要です。そのパートナーがどういったサービスを提供していて、どういったメンバーがいるのか、どれだけ積極的にSalesforceや周辺業務のナレッジを公開・発信しているのかなどもポイントです。
これらの情報から外観的な情報を把握した上で、実際の選定においては前述の通り、打ち合わせを通して担当者やプロジェクト関係者のスキルセットや経験、事業や方針理解、スタンスなどを総合的に見極めることが重要なポイントです。
まとめ
Salesforceを導入し業務改革や顧客体験の向上を実現するうえで、最適なパートナーと出会えるかどうかは成功の明暗を分ける決定的な要因です。ツールの機能を最大限に引き出すには単なるエンジニアではなく、自社の課題や目的に寄り添い継続的に支援してくれる伴走者としてのパートナーが必要です。
本記事ではSalesforceパートナーには「どのようなタイプがあるのか」「何を基準に信頼性を見極めるべきか」さらに「表面的な評価だけでは見えない本質的な選定視点」を紹介しました。ぜひ自社に合う最適なパートナーを選定する際の参考にしてみてください。
ストラはSalesforceを活用した業務改善から、外部システムとの連携開発、現場定着まで、プロジェクトの上流から下流にわたる包括的な支援を提供しています。また特定の部門だけでなく営業・マーケティング・カスタマーサポートなど、組織全体を巻き込んだ活用支援に強みを持っています。詳しく知りたい方はこちらのページで紹介しています。
Salesforceの導入や活用のお困りごとはプロにご相談ください
- Salesforceパートナーが多すぎて、どの企業に相談すべきか分からない
- 導入後の定着や業務改善まで支援してくれるパートナーを探している
- 自社の業務や課題に本当に寄り添ってくれる支援先を見極めたい


執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀
大学卒業後、株式会社TBI JAPANに入社。株式会社Paykeに取締役として出向し訪日旅行者向けモバイルアプリ及び製造小売り向けSaaSプロダクトの立ち上げを行う。
アクセンチュア株式会社では大手メディア・総合人材企業のセールス・マーケティング領域の戦略策定や業務改革、SFA・MAツール等の導入及び活用支援業務に従事。
株式会社Paykeに再入社し約10億円の資金調達を行いビジネスサイドを管掌した後、Strh株式会社を設立し代表取締役に就任。
▼保有資格
Salesforce認定アドミニストレーター
Salesforce認定Marketing Cloudアドミニストレーター
Salesforce認定Marketing Cloud Account Engagementスペシャリスト
Salesforce認定Marketing Cloud Account Engagement コンサルタント
Salesforce認定Sales Cloudコンサルタント
Salesforce認定Data Cloudコンサルタント