SalesforceとERPはどう違う?業務効率化を実現する連携パターンと選び方を紹介

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SalesforceとERPはどう違う?業務効率化を実現する連携パターンと選び方を紹介

この記事でわかること

  • SalesforceとERPの基本的な違いと、それぞれの役割を理解できる
  • SalesforceとERPを連携することで得られる3つのメリットを把握できる
  • Rootstock・Certinia・SAPなど主要なERPツールの特徴を比較できる
  • Salesforce×ERP連携による実際の導入事例と効果を知ることができる

執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀

Salesforceの導入や活用のお困りごとはプロにご相談ください

  • SalesforceとERPを連携させ、営業・会計・在庫など部門間の情報をシームレスに共有したい
  • Salesforce導入後もバックオフィス業務との分断が残り、データの二重入力や確認作業が発生している
  • 自社の業務フローに合わせて、SalesforceとERPを最適な方法で連携・カスタマイズしたい
このようなお困りごとがありましたら、ぜひとも私たちStrhにご相談ください。Salesforceや営業・マーケティングに精通したコンサルタントが、御社に最適なソリューションをご提案させていただきます。まずはお気軽にお問合せください。 Salesforce活用についてまずは相談する

Salesforceを導入しているものの、「在庫管理や会計システムと連携できない」「営業部門とバックオフィスの情報が分断されている」といった課題を感じていませんか?

それはSalesforceがERPではなく、CRM(顧客管理)に特化したツールであるためです。営業活動には強みを発揮しますが、会計・在庫・購買といった基幹業務には標準では対応していません。そこで重要になるのがERPとの連携です。

本記事ではSalesforceとERPの違いを明確にしたうえで、連携のメリットや主なERPツール(Rootstock、Certinia、SAPなど)の特徴、導入事例を交えてわかりやすく解説します。

Salesforceをもっと有効に活用したい企業担当者の方にとって、必読の内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。

まずSalesforceの基本的な使い方から知りたい方は、以下の記事をご参照ください。

参照:Salesforce(セールスフォース)とは?製品群や機能、メリット・デメリットを簡単に解説! | Strh株式会社(ストラ)

参照:【完全ガイド】Salesforceの使い方|初心者向け基本操作から応用テクニックまで解説 | Strh株式会社(ストラ)

SalesforceとERPは違う!CRM・SCM・SFAとの違いもわかりやすく整理

勘違いされやすいERP、SRM、SCM、SFAとSalesforceの関係

SalesforceとERPの違いを理解するにはERPの基本機能や目的、他の業務系システム(CRM・SCM・SFA)との違いを整理することが重要です。

例えば「顧客管理はSalesforceでできているが、在庫や会計の情報が見られない」「営業とバックオフィスの連携が取れていない」といった課題は、システムの役割を正しく把握できていないことが原因の一つです。

こうした分断を解消するためには各システムの得意領域を理解した上で、適切に連携させる視点が不可欠です。まずはERPの基本的な役割から確認し、他の業務システムとの違いを明確にしていきましょう。

ERP(Enterprise Resource Planning)とは?

ERPは会計・購買・在庫・生産といった基幹業務を統合管理する仕組みで、部門間の情報を一元化して効率化を図ります。一方SalesforceはCRMに特化しており、顧客データや営業活動の管理に強みがあります。

ERPが社内業務を横断的に統合するのに対し、Salesforceは顧客接点を中心に活用される点が大きな違いです。両者を連携させることで、受注から請求や出荷までの流れをシームレスにつなげられるようになります。

ERPと混同しやすい3つのシステムとその違い

項目対象領域主な役割
CRM顧客情報顧客対応の最適化
SCMサプライチェーン調達〜出荷の最適化
SFA営業活動商談管理・自動化

ERPは企業全体の業務を管理するシステムですが、他にも似たような目的を持ったシステムが存在します。中でも混同されやすいのが顧客管理を担うCRM、サプライチェーンを管理するSCM、営業活動を支援するSFAです。それぞれが担う範囲は異なるため、違いを把握しておくことが重要です。

CRM(Customer Relationship Management)

CRMは顧客情報を管理し、営業・サポート・マーケティング活動を通じて顧客との関係を深めるための仕組みです。問い合わせ履歴や購買履歴を活用することで、一人ひとりに合わせた対応が可能になります。

SalesforceはこのCRM領域を強みとしており、顧客体験の向上に直結する施策を支援できます。CRMを正しく活用すれば、新規顧客の獲得だけでなく既存顧客のリピート率向上も期待できます。

参照:CRMとは?導入メリットや機能、選び方やおすすめツールまで解説

SCM(Supply Chain Management)

SCMは原材料の調達から生産、出荷、在庫管理に至るまでモノの流れを最適化する仕組みです。需要予測と供給計画を一致させることで、コスト削減と納期遵守を両立できます。

ERPと密接に関わる領域であり、販売情報を取り込むことで需給バランスを調整できます。Salesforceと連携させれば受注情報をリアルタイムで反映し、在庫切れや過剰在庫を防ぐ取り組みが可能です。

SFA(Sales Force Automation)

SFA(Sales Force Automation)は営業プロセスを標準化・自動化して効率化する仕組みであり、SalesforceのSales CloudはそのSFA機能を中核に据えた営業支援ツールとして提供されています。

SFAを導入することで営業活動に関するデータを一元的に管理でき、担当者ごとの属人化を防ぎながら再現性のある営業プロセスの構築が可能です。

また過去の商談履歴を活用することで、営業活動におけるボトルネックの発見や成約率の向上にもつなげることができます。

参考:【徹底比較】SFAとCRMの違いとは?営業・マーケ・導入担当者向けの選び方ガイド

SalesforceはERPなのか?

SalesforceはCRMに分類されるツールであり、ERPとは役割が異なります。顧客情報の管理や営業活動の支援に特化しているため、在庫・会計・生産などの基幹業務を扱う機能は標準では備えていません。

しかしSalesforceは柔軟な拡張性を持っており、ERPとAPIなどで連携することで業務全体をつなげたシステムとして活用できます。営業部門の情報をERPの会計・在庫データと連携することで、受注から請求・出荷までのプロセスがスムーズに流れるようになります。

SalesforceとERPを連携する3つのメリット

SalesforceとERPを連携する3つのメリット

Salesforceは顧客情報や営業活動の管理に強みを持つCRMであり、ERPは在庫や会計などの基幹業務を担うシステムです。両者を連携することで部門横断の情報共有が可能となり、業務効率化や意思決定の迅速化につながります。

本章ではSalesforceとERPを組み合わせることで得られる代表的な効果について解説します。

業務の一元化による効率化

Salesforceに蓄積された営業情報とERPで管理される在庫や会計データを結びつけることで、営業からバックオフィスまでの業務フローを一元化できます。これにより部門間の情報伝達がスムーズになり、入力の二重化も解消されるでしょう。

例えば営業担当者が在庫情報を即時に確認できればその場で受注可否を判断でき、顧客対応のスピードと精度が向上します。

SalesforceとERPのリアルタイム連携で得られる情報共有の強み

SalesforceとERPをリアルタイムに連携することで、組織全体の意思決定のスピードと精度が大幅に向上します。営業で登録された情報が即座に会計・調達部門へ共有され、売上予測や仕入計画の見直しを即時に行えるためです。

これにより、従来の月次・週次集計では難しかったタイムリーな判断が可能です。生産や販売などの各プロセスも素早く調整でき、全社の連携が強化されます。このように、リアルタイムな情報共有は組織の判断力と対応力を支える重要な基盤となります。

在庫・会計・購買情報の統合による業務最適化

SalesforceとERPを連携し在庫・会計・購買データを統合することで、業務の無駄やリスクを大幅に削減できます。

営業と基幹業務のデータが分断されていると、過剰発注や在庫不足が起きやすくなりますが、連携により受注から出荷までを一元管理できるようになります。二重入力が不要になり、在庫数の精度も向上します。属人化していた作業も標準化され業務全体の効率が高まる効果も期待できます。

Salesforceと連携できる代表的なERPとは?

ERPといっても企業規模や業種によって適したツールは異なります。Salesforceと連携させることで効果を発揮しやすいERPを把握することで、自社に合った選定が進めやすくなります。本章では主要な3つのERPを取り上げます。

Rootstock

Rootstockホームページの画面

RootstockはSalesforceプラットフォーム上で動作するクラウドERPであり、特に製造業やサプライチェーン管理に強みを持つ点が特徴です。例えば製造業における複雑なプロセスの在庫管理や購買、MRP(資材所要量計画)、生産管理などをSalesforce上で一元化できるため、システム間連携の手間を削減しつつ、リアルタイム性の高いデータ活用が可能です。

UIもSalesforceに準拠しており、既存ユーザーにとっては学習コストが低く運用の定着もしやすい点も評価されています。中堅から大手の製造業に特に適しており、「Salesforce×製造業ERP」を実現したい企業にとっては有力な選択肢です。

参考:Rootstock

Certinia(旧FinancialForce)

certiniaホームページの画面

Certiniaは旧名をFinancialForceとするSalesforceネイティブなERPツールで、サービス業やプロジェクト型ビジネスに特化した機能群を備えています。会計管理や収益認識、人事管理、プロフェッショナルサービスオートメーション(PSA)など非製造系の業務プロセスに強く、サブスクリプションモデルやBtoBのサービス提供企業との相性が良好です。

Salesforceとのシームレスなデータ連携により、顧客情報から収益管理・請求処理・人員リソース配分まで一気通貫で管理可能です。プロジェクト単位での収益分析や納品管理を強化したい企業にとって、柔軟かつ拡張性の高いERPとして位置付けられています。

参考:Certinia(旧FinancialForce)

SAP

SAPは世界的なシェアを誇る業界標準のERPであり、大企業やグローバル企業での導入実績が豊富です。Salesforceとの親和性は他のツールと比較すると高くはありませんが、既存SAP環境との連携実績やデータ連携基盤を活用したSalesforceとの統合構築が可能になります。

特に複雑な業務要件や多国籍での会計処理、法規制対応が求められる企業においては、SAPの頑健性とカスタマイズ性が高く評価されています。すでにSAPを導入している企業ではSalesforceをフロント(顧客接点)、SAPをバックエンド(基幹業務)として使い分けるケースが一般的です。

参考:SAP

SalesforceとSAPを連携するには?

連携するための代表的な4つの方法

SAPはERPの中でも特にエンタープライズ企業での導入が多く、複雑な業務フローに対応できる高機能なプラットフォームです。一方でSalesforceと直接的な連携性は高くないため、目的や開発体制に応じて適切な連携手段を選ぶことが重要です。

本章ではSAPとSalesforceをつなぐ代表的な4つの手段を紹介します。それぞれの特徴を理解し、自社の環境に合った方法を見つけましょう。

Overcast

Overcastは、SalesforceのネイティブUI上でSAPとの連携を完結させられる直感的なミドルウェアです。技術的な開発が不要な操作設計がされており、ノーコード・ローコードでの画面連携やデータ更新が可能です。

特に業務部門主体で運用したい企業や開発リソースが限られている中堅企業にとっては、手軽に導入できる現実的な選択肢でしょう。開発コストを抑えながら、SAPとSalesforceの基本的なデータ連携を素早く立ち上げたい場合に適しています。

参考:Overcast

MuleSoft

MuleSoftはSalesforceが提供するiPaaS(Integration Platform as a Service)で、SAP連携においても非常に高い拡張性と柔軟性を備えています。SAPの公式コネクタを利用した双方向通信やAPIの階層設計により、複雑な業務フローや大規模データ連携にも対応可能です。

またマイクロサービスアーキテクチャとの親和性も高く、全社的なIT統合を見据えた企業や開発体制が整っている大手企業に適しています。

参考:MuleSoft

Salesforce Platform

Salesforce Platformを活用することで、自社内でSalesforceオブジェクトを設計し、SAPとの連携を含むカスタムアプリケーションを構築することが可能です。ApexコードやFlow、外部サービス連携機能を組み合わせることで、ローコード環境でも柔軟な開発が行えます。

「Salesforce内で完結したい」「自社要件に合わせて細かく設計したい」というニーズを持つ企業にとっては、自由度の高い開発環境として有力な選択肢です。

参考:Salesforce Platformとは?他ライセンスとの違いや活用・設定方法について解説

DataSpider

SAPとSalesforceをノーコードで連携できる国産のデータ連携ツールとして「DataSpider」が注目されています。GUIベースの操作で複雑な開発を必要とせず、現場主導でのシステム連携が可能な点が大きな特長です。

DataSpiderではSAP側のBAPIやIDoc、Salesforce側のAPIに対応しており、双方向かつリアルタイムな連携を実現できます。例えばSAPに登録された在庫情報をSalesforceの商談レコードと連携させることで、営業担当者が最新の在庫状況を確認しながら顧客対応を行うことが可能です。

またテンプレート機能が豊富に用意されているため、初期構築の負担も軽減され短期間での導入が可能です。特に日本国内では多くの導入実績を持つ製造業や商社を中心に支持されており、既存のSAP環境とSalesforceを繋ぐ方法として注目されています。

参考:DataSpider

部門別ユースケースで見る活用例

部門別のシステム連携効果

SalesforceとERPの連携は企業全体の業務最適化に貢献しますが、実際にどのように活用されているのかはイメージしにくいかもしれません。

本章では2社の導入事例から、導入背景や具体的な改善効果を紹介します。自社の部門や業務課題に近い事例を参考に導入イメージをつかみましょう。

SalesforceとERP導入で業務の属人化と煩雑さを一掃

株式会社泉宣宏社では、複数ツールにまたがる非効率な業務や紙ベースでの勤怠・経費管理、承認フローの属人化など、業務全体の生産性を阻む課題を抱えていました。

こうした課題に対し、thomas株式会社の支援のもとSalesforceへの切り替えとERPの新規導入を実施。操作性の高い一元管理体制を実現したことで、リアルタイムでの予算確認やモバイル承認が可能になり業務進行スピードが大幅に向上しました。

出典:SalesforceとERPの導入で業務効率が大幅に向上!株式会社泉宣宏社の導入事例を公開!

数値入力の一括化とシステム連携で商談管理の無駄を一掃

トランスコスモス株式会社は営業効率化を目的にSalesforceを導入しましたが、標準仕様では月別の数値管理が困難で、商談の重複登録が課題でした。

そこで「SkyVisualEditor」で柔軟に画面をカスタマイズし、「DataSpider Cloud」で基幹システムと連携。商談ごとの見込み数値や実績を一括管理できる仕組みを構築しました。

その結果商談登録数は60〜70%削減され、修正工数も大幅に減少しました。開発期間も半減し、バージョンアップ対応の負担も軽減されました。

出典:営業のデータ管理にかかる手間を大幅削減!SkyVisualEditorで商談データのメンテナンス工数を抑制

まとめ

本記事ではSalesforceとERPの違いを明確にしたうえで、両者を連携させることで得られる業務改善効果や、導入事例・連携ツールを紹介しました。

Salesforceは顧客情報や営業活動に強みを持つCRMであり、ERPは在庫・会計・生産などの基幹業務を担います。両者を適切に連携させることで情報の分断を解消し、業務の一元管理やリアルタイムな意思決定が可能になります。

またRootstockやCertiniaのようなSalesforceネイティブERPをはじめ、既存SAPとの連携パターンも多様に存在します。自社の業務課題に合わせてSalesforce×ERP連携を検討することで、より強固で柔軟な経営基盤の構築が実現できるでしょう。

ストラでは、Salesforceの導入や外部システム連携などはもちろん、現場への定着化支援やチェンジマネジメントまで一貫したSalesforce活用をご支援します。

具体的な支援内容や価格についてご興味・ご関心がある方は、ぜひストラへお問い合わせください。

Salesforce、Sales Cloud、及びその他はSalesforce, Inc.の商標であり、許可のもとで使用しています

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執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀

大学卒業後、株式会社TBI JAPANに入社。株式会社Paykeに取締役として出向し訪日旅行者向けモバイルアプリ及び製造小売り向けSaaSプロダクトの立ち上げを行う。
アクセンチュア株式会社では大手メディア・総合人材企業のセールス・マーケティング領域の戦略策定や業務改革、SFA・MAツール等の導入及び活用支援業務に従事。
株式会社Paykeに再入社し約10億円の資金調達を行いビジネスサイドを管掌した後、Strh株式会社を設立し代表取締役に就任。

▼保有資格
Salesforce認定アドミニストレーター
Salesforce認定Marketing Cloudアドミニストレーター
Salesforce認定Marketing Cloud Account Engagementスペシャリスト
Salesforce認定Marketing Cloud Account Engagement コンサルタント
Salesforce認定Sales Cloudコンサルタント
Salesforce認定Data Cloudコンサルタント

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