AgentforceとEinsteinの違いをわかりやすく解説!できることや使い分け、導入の注意点までを徹底解説
この記事でわかること
- AgentforceとEinsteinの定義と役割
- AgentforceとEinsteinの違いと共通点
- AgentforceとEinsteinを組み合わせることで得られる相乗効果
- AgentforceとEinsteinの費用
- Agentforce・Einstein導入失敗の原因
執筆者 取締役 / CTO 内山文裕
Agentforceの導入や活用のお困りごとはプロにご相談ください
- AgentforceとEinsteinの違いや使い分けがわからず、どちらを導入すべきか迷っている
- Salesforceを活用しているが、AIまで含めた全体最適な設計ができていない
- Salesforce上でAI活用を進めたいが、自社業務にどう組み込むべきか悩んでいる
AgentforceとEinsteinはどちらもSalesforceのAIとして語られますが、役割は同じではありません。どちらも業務効率化に役立つAIですが、得意とする領域や業務への関わり方には違いがあります。
名前や機能の説明だけを見ると似ているように感じやすく、「結局どちらを導入すべきなのか」「EinsteinとCopilotはどう違うのか」と迷う方も多いはずです。さらにAI導入そのものが目的になってしまうと本来解決したい業務課題が曖昧になり、自社に必要な活用方法が見えにくくなります。
本記事ではAgentforceとEinsteinの違いと共通点や併用による業務インパクト、費用の考え方、導入でつまずく原因と定着のコツまでを解説します。
また、Agentforceについて振り返りたい方はこちらの記事を参考にしてください。
【最新】SalesforceのAgentforceとは?機能や価格などを徹底解説
目次
AgentforceとEinsteinの定義と役割を正しく理解する
AgentforceとEinsteinの違いを理解するためには、まずそれぞれの定義と役割を分けて整理する必要があります。両者はどちらもSalesforce上で活用されるAI機能ですが、担う役割は根本的に異なります。この違いを曖昧なまま比較してしまうと、「どちらが優れているのか」という誤った議論になりやすく、自社にとって適切な選択ができません。
本章ではAgentforceを「業務を実行するAI」、Einsteinを「判断を高度化するAI基盤」という観点で整理します。また混同されやすいEinstein Copilotについても定義を明確にし、位置づけを分かりやすく説明します。
Agentforceの定義と役割|業務を自律的に代行するAIエージェント
Agentforceとはあらかじめ定義された業務プロセスや条件に基づいて、業務を自律的に実行するAIエージェントです。単なる分析や提案にとどまらず、実際の業務フローの中でタスクを進める役割を担います。
例えば問い合わせ内容を自動分類し、必要情報を取得し、適切な部門へエスカレーションするといった一連の処理を人の手を介さずに進めることが可能です。ここで重要なのは、「判断材料を出すAI」ではなく「業務を実行する主体」であるという点です。
つまりAgentforceは業務プロセスそのものに組み込まれ、作業を代行する存在として設計されます。そのため検討時の論点は、「どの業務を任せるか」「どこに人の承認を残すか」「例外処理をどう設計するか」といったプロセス設計になります。
Einsteinの定義と役割|人の判断を高度化するSalesforce AI基盤
EinsteinはSalesforceに組み込まれたAI基盤であり、主に予測・分析・レコメンドなどを通じて人の判断を高度化する役割を担います。
営業領域であれば成約確度の予測、優先すべき商談の提示、次のアクションの提案などが代表例です。カスタマーサポートでは問い合わせ傾向の分析や対応優先度の算出といった活用が挙げられます。
重要なのはEinstein自体が業務を実行するわけではないという点です。あくまで意思決定を支援するための情報や示唆を提供する存在であり、最終的な判断と実行は人が担う設計となっています。
そのためAgentforceが「実行を担うAI」だとすれば、Einsteinは「実行前の判断を支えるAI」と整理できます。この違いを押さえることで、両者の役割が明確になります。
AgentforceとEinsteinの違いと共通点の整理
AgentforceとEinsteinはいずれもSalesforceが提供するAI機能ですが、その立ち位置は大きく異なります。一方を理解したつもりでも、もう一方を同じ枠組みで捉えてしまうと機能の重複や選定ミスにつながります。
本章ではまずAgentforceとEinsteinの違いを「役割」「関与範囲」「利用シーン」「併用時の関係」という4つの観点から整理します。これにより、「何ができるか」ではなく「業務のどこを担うのか」という視点で両者を比較できるようになります。
AgentforceとEinsteinの違いとは

AgentforceとEinsteinはともにSalesforceが提供するAIですが、担う役割は根本的に異なります。Agentforceは業務を実行するAIであり、Einsteinは判断を支援するAI基盤です。
この違いを曖昧にすると「機能が似ているのではないか」「どちらを選べばよいのか」という混乱が生じます。ここでは業務への関与範囲や利用シーン、併用時の関係という3つの観点で整理します。
AgentforceとEinsteinの業務への関与範囲の違い
業務フローの流れに沿って見ると、両者の関与範囲の違いがより明確になります。
一般的な業務は情報収集や分析、判断、実行という順序で進みます。Einsteinは主に分析と判断の段階に関与し、優先順位や次のアクション候補を提示します。ここでの役割は意思決定の質を高めることです。
対してAgentforceは、判断後の実行フェーズに深く関与します。例えば優先度が高いと判断された顧客に対して自動でフォローアップを実施する、適切な担当者へ案件を割り当てるなど、タスクを自律的に遂行します。
どこまで業務に踏み込むかという観点では、Agentforceのほうがプロセスの後工程まで入り込みます。Einsteinは判断の精度を高め、Agentforceは実行の効率を高めるという役割分担になります。
AgentforceとEinsteinの利用シーンの違い
利用シーンを具体的にイメージすると、選定基準が明確になります。
営業支援の領域では、成約確度の予測や案件優先順位の算出など判断の質が成果に直結する場面でEinsteinが活用されます。データドリブンな意思決定を実現したい場合に適しています。
カスタマーサービスやバックオフィス業務では、問い合わせの自動分類や定型処理の自動実行などルールベースで処理できる業務においてAgentforceが効果を発揮します。処理件数が多く、再現性が高い業務ほど導入効果が出やすくなります。
まとめると判断の高度化が求められる業務にはEinstein、定型処理や実行の効率化が求められる業務にはAgentforceが向いています。
AgentforceとEinsteinを併用した場合の関係性
重要なのは両者が競合する関係ではないという点です。
Einsteinがデータから最適な判断を導き、その結果をもとにAgentforceが自動でアクションを実行するという流れを構築すれば、意思決定から実行までが一気通貫で最適化されます。
例えばEinsteinが離脱リスクの高い顧客を特定し、その情報をもとにAgentforceが自動フォローを開始するという連携が考えられます。この構造が実現すると、人は例外対応や高度な判断に集中できるようになります。両者は選択肢ではなく、協調関係にある機能です。
AgentforceとEinsteinの共通点とは

違いが強調されがちな両者ですが、共通点を理解することも大切です。なぜなら違いだけに注目してしまうとAgentforceとEinsteinを別々の機能として捉えてしまい、Salesforce全体のAI活用の中でどのように位置づけるべきかが見えにくくなるためです。
実際にはどちらもSalesforce上で業務の効率化や生産性向上を支えるAIであり、その前提を押さえることでそれぞれの役割もより整理しやすくなります。
ここでは技術基盤や目的、連携性という観点から共通点を整理します。
AgentforceとEinsteinはどちらもSalesforce上で動作するAI機能
外部のAIツールを個別に接続するのではなく、CRMデータと直接連携した状態で動作します。顧客情報や商談データ、サポート履歴などを横断的に活用できる点が共通しています。
外部システムのデータを活用する場合は、別途データ連携の設計・実装が必要になります。一方で、AgentforceやEinsteinはSalesforceのUIやデータ構造とネイティブに統合された標準機能であり、CRMと一体で利用できる点が大きな特徴です。
AgentforceとEinsteinは人の判断・業務を支援・代行するAI
役割は異なりますが、両者の目的は共通しています。それは人の業務を効率化し、高度化することです。
Einsteinは判断の精度を高めることで業務の質を向上させます。Agentforceは実行を自動化することで業務のスピードと効率を高めます。アプローチは違いますが、どちらも業務改革を実現するための手段です。
AI導入の目的が「業務改善」である限り、両者は同じ方向を向いています。
AgentforceとEinsteinは組み合わせて使うことで相互に補完
両者は単体でも価値を発揮しますが、組み合わせることで真価を発揮します。Einsteinが分析と予測を行い、その結果をもとにAgentforceが実行するという構造を作ることで、判断と行動が分断されません。これにより業務フロー全体が最適化されます。
併用は必ずしも高コスト化を意味するものではなく、適切に設計すれば業務負荷を削減し、ROIを高める手段になります。両者を対立軸で捉えるのではなく、補完関係として捉えることが重要です。
AgentforceとEinsteinを組み合わせることで得られる相乗効果
AgentforceとEinsteinの強みは、それぞれを単体で使うことよりも連携させることでより発揮されます。Einsteinがデータをもとに判断や予測を行い、その結果を受けてAgentforceが業務を実行することで、判断と実行が分断されずにつながります。この状態が実現して初めて、個別の業務を効率化するだけではなく、業務全体を最適化しやすくなります。
本章ではこうした連携が実際の業務でどのような効果を生むのかを具体的なシーンに沿ってわかりやすく整理します。
AgentforceとEinsteinの連動が形成する業務フロー
AIは単体で完結するものではありません。分析だけでは現場は変わらず、実行だけでは精度が担保されません。重要なのは分析と実行が連動することです。
業務フローに当てはめるとまずEinsteinがデータを分析し、優先度やリスク、次の打ち手を導き出します。その結果をもとにAgentforceが動き、タスクの生成やアクションの実行を行います。これにより分析から実行までが自動でつながります。
従来は「分析結果を確認する」「担当者が判断する」「手作業でタスクを作成する」といった分断が発生していました。しかし連動設計を行うことで、思考と実行が一体化します。これが両者を組み合わせる最大の価値です。
商談管理におけるAgentforceとEinsteinの連携例
「SalesforceでAIを使うと何が変わるのか」という疑問を持つ営業担当者は少なくありません。日々の商談管理は経験や勘、過去の成功体験に基づいて優先順位を決めることが多く、判断の質にばらつきが生まれやすい領域です。
ここにAgentforceとEinsteinを組み合わせると、商談管理は属人的な運用からデータと自動実行に支えられた再現性のあるプロセスへと変わります。Einsteinが状況を分析し、Agentforceがその判断をもとに動きます。この流れが構築されることで、商談対応のスピードと質が同時に向上します。
Einsteinが商談の成約確度をスコアリング
Einsteinは過去の商談データや活動履歴、顧客属性などをもとに、各商談の成約確度をスコアとして可視化します。これにより、営業担当者は「感覚的に良さそうな案件」ではなく「データ上、確度が高い案件」を優先できるようになります。
例えば似た条件の商談が過去にどの程度成約しているか、接触頻度や提案内容が成果にどう影響しているかといった傾向を踏まえた判断が可能になります。経験豊富な営業だけでなく、若手メンバーでも一定水準の意思決定ができる環境が整います。
AIが意思決定に介在することで営業活動は勘頼みから脱却し、再現性のある戦略を組織全体に適用させることができます。
Agentforceが「次の最適アクション」をレコメンド
Einsteinによるスコアリング結果を受けて、Agentforceが具体的なアクションに繋げます。例えば成約確度が高い商談に対して即時フォローのタスクを自動生成する、停滞している案件にはリマインドを設定する、といった対応を実行します。
ここで重要なのは判断と行動が分断されないことです。従来は分析結果を確認した後に担当者が手動でタスクを設定していましたが、Agentforceが介在することでそのプロセスが自動化されます。
その結果、営業担当者は「次に何をすべきか」を考える時間を減らし、顧客との対話や提案内容の質向上といった本質的な業務に集中できます。Einsteinが考え、Agentforceが動くというAI間連携によって営業活動はより速くより精度の高いものへと変わります。
カスタマーサポートにおけるAgentforceとEinsteinの活用例
AI活用は営業領域だけにとどまりません。問い合わせ対応やトラブル解決を担うカスタマーサポート部門でも、EinsteinとAgentforceの連携は大きな効果を発揮します。
サポート現場では問い合わせ件数の増加や対応品質のばらつき、属人化したナレッジといった課題が慢性的に発生しやすい傾向があります。ここで重要になるのが、判断を支援するEinsteinと実行を補助するAgentforceの組み合わせです。両者を連動させることで、対応スピードと品質の両立が現実的になります。
FAQ・ナレッジをEinsteinが自動生成
Einsteinは過去の問い合わせ履歴や解決事例、チャットログなどを分析し、FAQや回答候補を自動生成できます。これにより担当者が毎回ゼロから情報を探し、回答を組み立てる負担が軽減されます。
従来は経験豊富な担当者の頭の中にある知識に依存しがちでした。しかしEinsteinを活用することで問い合わせ傾向をもとにナレッジが体系的に整理され、組織として蓄積されていきます。
結果としてナレッジ蓄積型の業務プロセスへと再構築が進みます。対応履歴が次の対応を強くし、AIがそれを学習して精度を高めるという循環が生まれます。
Agentforceが対応案をオペレーターに提案
Einsteinが生成した回答候補や関連ナレッジをもとに、Agentforceが具体的な対応案をオペレーターに提示します。必要なテンプレートを自動で呼び出し、次に取るべきアクションを示すことで、対応までの時間を短縮します。
これによりオペレーターは判断に迷う時間を減らし、顧客とのコミュニケーションに集中できます。さらに、対応フローが一定の基準に沿って提示されるため、回答品質のばらつきが抑えられます。
新人オペレーターにとっても、Agentforceがナビゲーターの役割を果たします。経験差による対応品質の差が縮まり、教育コストの削減にもつながります。
Einsteinが知識を整理し、Agentforceがそれを現場で活かす。この連携によってサポート部門でも判断と実行が一体化した業務改革が実現します。
AgentforceとEinsteinの費用まとめ

Salesforce AIを導入する際、多くの企業が最初に直面するのが「結局いくらかかるのか」という問題です。機能の違いや活用イメージが描けても、費用構造が不明確なままでは意思決定はできません。
AgentforceとEinsteinは役割が異なるだけでなく、課金モデルそのものが違います。ここを正しく理解しないと「思ったより高い」「想定外の追加費用が発生した」といった事態になりやすくなります。本章ではライセンス費用や課金体系、併用時の追加コストまで含めて実務判断に必要なポイントを整理します。
Agentforceの費用
Agentforceは基本的に従量課金制です。
・1会話あたり約240円
・利用した分だけ費用が発生するコンサンプションモデル
Sales CloudやService Cloudを導入済みであれば利用基盤はありますが、Agentforce自体は専用ライセンス契約が必要になるケースが一般的です。エディションによっては利用可否や提供形態が異なるため、事前確認が必須です。
例えば月1,000件の会話が発生する場合、約24万円が目安になります。利用量が多い企業ほど費用インパクトは大きくなります。
Einsteinの費用
Einsteinはユーザー単位のライセンス課金が基本です。
・Einsteinアドオン:約6,000円〜/ユーザー/月
・Einstein 1 Sales:約60,000円/ユーザー/月(年間契約)
利用しているクラウドやエディションによって、標準機能として含まれる範囲と追加費用が発生する範囲が異なります。そのため「自社環境でどの機能が有料になるのか」を確認することが重要です。
ライセンスは全社員に付与する必要はなく、マネージャー層や一部部門だけに導入することでコストは抑えられます。
両方導入する場合の現実的なコスト
併用する場合、発生するのはライセンス費用だけではありません。
・Agentforceの従量課金
・Einsteinのユーザーライセンス費用
・初期設定や設計工数
・運用担当者の管理工数
・社内教育コスト
AIは入れて終わりではなく、運用しながら改善していく仕組みです。そのため社内リソースの確保も実質的なコストになります。
無駄な投資を防ぐポイントは、いきなり全社導入しないことです。まずは一部部門でスモールスタートし、効果を検証してから拡大する。この進め方が最も現実的です。
よくあるAgentforce・Einstein導入失敗の原因

AgentforceやEinsteinは強力なAI機能ですが、導入すれば自動的に成果が出るわけではありません。実際には「思ったより活用されない」「費用に見合う効果が出ない」といったケースも少なくありません。
失敗の多くは技術的な問題ではなく導入目的や設計、運用体制に起因します。本章ではAI導入でよくある4つの失敗パターンを整理し、事前に回避するための視点を示します。
AI導入自体が目的化してしまう
最も多い失敗は「AIを導入すること」自体が目的になってしまうケースです。経営層や現場から「AIを活用したい」という声が先行し、「何の業務課題を解決するのか」が曖昧なまま導入が進みます。その結果、現場では使い道が明確にならず、結局従来の運用に戻ってしまいます。
本来AIは業務課題を解決するための手段です。例えば「商談の取りこぼしを減らしたい」「問い合わせ対応時間を短縮したい」といった具体的な課題が起点であるべきです。目的が明確でないと、効果測定もできません。導入前に「何を改善したいのか」「成功と判断する基準は何か」を定義することが不可欠です。
業務フローとAI活用が噛み合っていない
次に多いのが既存の業務フローとAI設計が噛み合っていないケースです。例えばEinsteinが予測結果を出していても、それを確認するプロセスが業務に組み込まれていなければ活用されません。Agentforceがタスクを生成しても、承認フローや責任範囲が曖昧であれば混乱が生じます。
AIは既存業務の上に「乗せる」ものではなく、業務プロセスの中に「組み込む」ものです。そのためには、現行フローの可視化と再設計が必要になります。導入前に「どの工程でAIが介在するのか」「人の役割はどう変わるのか」を明確にしておくことで、形だけの導入を防げます。
初期設計をベンダー任せにしてしまう
導入プロジェクトを外部ベンダーに委託する企業は多いですが、設計を完全に任せきりにすることはリスクになります。ベンダーは製品知識には詳しくても、自社の業務特性や組織文化までは深く理解していない場合があります。その結果、理論上は正しいが現場では使いにくい設計になることがあります。
AI活用で成果を出すには、自社側も主体的に関与することが重要です。業務要件の整理、例外パターンの洗い出し、現場ヒアリングなどを十分に行い、自社に合った設計を作る必要があります。外部パートナーはあくまで支援役であり、最終的な設計責任は自社にあるという意識が重要です。
定着化・改善運用が行われない
AI導入はスタート地点に過ぎません。導入後の定着化と改善運用が成果を左右します。初期設定のまま放置すると、予測精度が下がったり、業務実態とズレが生じたりします。また利用状況をモニタリングしなければ、活用率の低下にも気づけません。
重要なのは定期的なレビューと改善サイクルを回すことです。利用データを分析し、ルールやプロンプトを見直し、現場のフィードバックを反映させる体制を構築します。AIは導入型のツールではなく、運用型の仕組みです。この前提を持つことが、投資を無駄にしない最大のポイントになります。
AgentforceとEinsteinを定着させるための4つのポイント

ここまででよくある失敗の原因を整理しました。では、どうすればAgentforceやEinsteinを「入れて終わり」にせず、実際の成果につなげられるのでしょうか。
AI活用の成否を分けるのは、製品スペックではなく導入と運用の設計です。本章では定着と成果創出のために押さえるべき4つの実践ポイントを解説します。
導入目的と業務課題を明確にする
最も重要なのは、導入目的を具体的な業務課題に落とし込むことです。「AIを活用したい」という抽象的な目標ではなく、「商談の失注率を下げたい」「問い合わせ一次対応時間を30%削減したい」といった定量的な課題を設定することが必要です。目的が明確であれば、どの機能を使うべきか、どこまで自動化すべきかが自然に決まります。
さらに成功の定義も事前に決めておくべきです。KPIを設定せずに導入すると、効果が出ているのか判断できません。Agentforceであれば対応件数や削減工数、Einsteinであれば予測精度や意思決定スピードなど、評価軸を明確にします。
AI導入は目的から逆算して設計することが、成果への最短ルートです。
小規模から段階的に導入する
いきなり全社展開するのではなく、小規模から始めることが現実的です。例えば営業部門の一部チームのみでEinsteinのスコアリングを導入し、効果を検証する。その後、成果が確認できた段階でAgentforceと連携させる、といった段階的な進め方が有効です。
スモールスタートには3つのメリットがあります。第一にリスクを抑えられること、第二に成功事例を社内で共有できること、第三に現場の納得感を醸成できることです。AIは現場が使わなければ意味がありません。小さな成功体験を積み重ねることが、定着への近道になります。
現場担当者への教育と支援体制を整える
AI導入後に活用が進まない理由の多くは、現場が使いこなせていないことにあります。新しい仕組みが入ると、操作方法や活用意図が十分に伝わらないまま現場に委ねられるケースがあります。その結果、従来のやり方に戻ってしまいます。
導入時には単なる操作説明ではなく、「なぜこのAIを使うのか」「どの業務がどう変わるのか」を丁寧に共有することが重要です。合わせて、質問や改善提案を受け付けるサポート体制も整える必要があります。現場の理解と納得があって初めて、AIは業務の一部として根付きます。
利用状況を可視化し改善を継続する
AI活用は一度設計して終わりではありません。継続的な改善が成果を左右します。利用率や生成タスクの実行率、予測精度、対応時間の変化などを定期的にモニタリングし、想定とのギャップを確認します。もし利用率が低ければ、UIの問題か、業務フローとの不整合かを検証します。
改善サイクルを回すことで、AIは現場に合わせて最適化されていきます。このPDCAが回らないと、初期の設計のまま形骸化してしまいます。AIは導入プロジェクトではなく、運用プロジェクトです。利用状況を可視化し続けることが、長期的な成果を生む鍵になります。
まとめ
AgentforceとEinsteinはどちらもSalesforceが提供するAIですが、役割は明確に異なります。Einsteinはデータを分析し、予測や示唆を通じて人の判断を高度化するAI基盤です。一方でAgentforceはその判断をもとに業務を自律的に実行するAIエージェントです。つまり両者は競合関係ではなく、思考と実行を分担する補完関係にあります。
営業ではEinsteinが商談の成約確度を可視化し、Agentforceが次のアクションを実行に移すことで属人的な判断から脱却できます。サポート部門ではEinsteinがナレッジを整理し、Agentforceが対応を支援することで対応品質とスピードを両立できます。
費用面ではAgentforceは従量課金型、Einsteinはユーザー課金型という違いがあるため、自社の課題と利用範囲に応じた設計が不可欠です。
導入を成功させるには目的の明確化や小規模からの段階導入、現場教育、継続的な改善が必要です。AIは導入することがゴールではなく、業務プロセスの中に組み込み、運用し続けることで初めて成果につながります。自社の課題起点で両者を正しく設計できれば、Salesforce AIは組織全体の生産性と意思決定力を大きく引き上げる武器になります。
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Agentforceの導入や活用のお困りごとはプロにご相談ください
- AgentforceとEinsteinの違いや使い分けがわからず、どちらを導入すべきか迷っている
- Salesforceを活用しているが、AIまで含めた全体最適な設計ができていない
- Salesforce上でAI活用を進めたいが、自社業務にどう組み込むべきか悩んでいる
執筆者 取締役 / CTO 内山文裕
青山学院大学卒業後、株式会社ユニバーサルコムピューターシステムに入社。
大手商社のB2B向けECサイトの構築にて会員登録、見積・注文機能、帳票出力などECにおける主要機能のフロント画面・バックエンドの開発に従事。 その後アクセンチュア株式会社に入社。デジタルコンサルタントとしてWebフロントエンド・モバイルアプリの開発やアーキ構築を主に、アパレル・メディア・小売など業界横断的にシステム開発を支援。また、ビッグデータを活用したマーケティング施策の策定やMAツールの導入・運用支援にも従事。
2022年2月にStrh株式会社の取締役CTOに就任。デジタルプロダクト開発の支援やMAツール導入・運用支援を行っている。
▼保有資格
Salesforce認定アドミニストレーター
Salesforce認定Java Scriptデベロッパー
Salesforce 認定Data Cloudコンサルタント
