Salesforce関連リストとは?設定方法から拡張関連リスト、設定注意点まで徹底解説
この記事でわかること
- Salesforce関連リストとは何か
- Salesforce関連リストの設定方法
- 拡張関連リストの概要と設定方法
- Salesforce関連リストを設定する上での注意点
執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀
Salesforceを利用するにあたって、「関連リスト」という用語を耳にしたことはありませんか?
聞いたことはあっても具体的にどれを指すのか分からなかったり、もっと自分に合った関連リストを表示したいとお悩みの方もいらっしゃるかと思います。
本記事ではそのような方に向けて、Salesforce関連リストの概要から設定方法、活用例まで具体的に説明いたします。関連リストを設定する際の注意点やよくある問題点と解決策なども丁寧にご紹介しますので、本記事を参考に実践していただけますと幸いです。
参照:Salesforce(セールスフォース)とは?製品群や機能、メリット・デメリットを簡単に解説!
目次
Salesforce関連リストとは
Salesforceにおける「関連リスト」とは、特定のレコードに関連(参照関係)付けられた他のレコードを一覧で表示する機能です。
例えば、取引先レコードに関連付けられた商談や取引先責任者など、異なるオブジェクト間で関係のあるレコードを、ページを切り替えることなく確認することができます。
参照:Salesforceのオブジェクトとは?オブジェクトの種類や作成方法、リレーションなどをわかりやすく解説
なぜ関連リストが重要なのか
関連リストを使用することで、ユーザーは一つのレコードに紐付けられた他のレコードの情報を同じ画面で視覚的に確認できます。
これにより、別のオブジェクトで保存されているデータであっても、データ間の関係が明確になり、そのレコードについての理解を正しく深めることができます。
また、散在している情報を一元的に表示できるため、そのレコードに必要な情報をすぐに確認できます。それにより、別のページやデータにアクセスする時間が削減でき、業務の効率を向上させると共に、迅速な意思決定や顧客対応を行うことができるようになります。
Salesforce関連リストの設定方法
関連リストは通常、レコードの詳細ページの下部にタブとして配置され、ユーザーが関連するデータに素早くアクセスできるようになっています。表示される情報は設定によってカスタマイズが可能であり、例えば表示する列や表示順序、フィルタ条件などを自由に設定することができます。
関連リストは、以下の2つの方法で設定できます。
- レコードページの関連タブに表示させる場合
→オブジェクトのページレイアウトから設定 - レコードページの詳細タブに表示させる場合
→Lightningレコードページから設定
オブジェクトのページレイアウトから関連リストを設定する方法
まずは、オブジェクトのページレイアウトから関連リストを設定する方法について、ご説明します。この方法ではレコードページの関連タブに関連リストを表示させます。
ここでは取引先を例に、取引先レコードに対して関連リストとして商談オブジェクトのレコードを表示させていきます。
設定画面を表示
Salesforceホーム画面から画面右上の設定ボタンをクリックします。
オブジェクトマネージャーから取引先を選択
設定画面に遷移するので、オブジェクトマネージャー>取引先を選択します。
ページレイアウトの編集
取引先オブジェクトの詳細を開けたら、ページレイアウトをクリックし、編集するページレイアウト名を選択します。
関連リストの追加
画面上部のメニューから関連リストタブを選択し、追加する関連リストをドラック&ドロップします。
関連リスト内の項目やレイアウトをカスタム
追加した関連リスト横にある工具マークをクリックし、項目の追加や項目の表示順をカスタマイズします。
OK>保存の順にクリックしたら設定完了です。
Lightningレコードページから関連リストを設定する方法
次に、Lightningレコードページから関連リストを設定する方法をご紹介します。この方法では、レコードページの詳細タブに関連リストを表示させます。
こちらも取引先を例に、取引先レコードの詳細タブの表示画面右側に取引先責任者の関連リストを表示させていきます。
Lightningレコードページの編集ページを選択
取引先レコードのページで画面右上の歯車マークをクリックし、編集ページを選択します。
関連リストのコンポーネントを表示させたい場所に追加
画面左側のコンポーネントの一覧から「関連リスト – 1つ」を選択し、表示させたい場所へドラッグ&ドロップします。
表示させる関連リストを選択
追加したコンポーネントをクリックし、画面右側にある設定画面の関連リストから「取引先責任者」を選択します。
最後に画面右上にある保存をクリックしたら、設定完了です。
拡張関連リストを利用した関連リスト表示項目の拡張
関連リストに項目を6個以上追加すると、+6のように表示されてしまい、項目が全て表示されません。
この事象を回避するために拡張関連リストという機能があり、これを使うと10項目まで表示させることができるようになります。
拡張関連リストの設定方法も確認しておきましょう。
拡張関連リストの設定方法
前述したLightningレコードページを開きます。
画面右側にある関連リスト種別から「拡張リスト」を選択すると、表示する項目を一度に最大10列まで表示できるようになります。
Salesforce関連リストを活用する際の注意点
次に、Salesforce関連リストを活用する上で、注意すべき3点を具体的に解説します。
表示できるのは参照関係にあるオブジェクトのみ
関連リストとして表示できるのは、そのレコードと参照関係にあるオブジェクトのみとなります。
例えば、取引先オブジェクトのレコードに商談オブジェクトの関連リストを表示する場合、商談オブジェクトに取引先オブジェクトの参照項目が既に作成されていることが必要となります。
すべてのオブジェクトで関連リストが作成できるわけではないため、作成したい関連リストがそのレコードとどのような関係になっているのか確認しておきましょう。
表示項目を最適化する
関連リストに表示される項目を最適化することで、ユーザーの作業効率とデータの有用性を大幅に向上させることができます。表示項目を最適化するためには、以下の3点に注意しましょう。
■重要な情報の識別
ユーザーが最も頻繁にアクセスし、業務を遂行するのに必要な情報を識別します。例えば、営業チームにとっては顧客の連絡先情報や商談の進捗が重要です。
■不要な項目の削除
関連リストから不必要な項目を削除することで、ページの乱雑さを改善し、必要な情報にすぐにアクセスできるようになります。
■順序の整理
最も重要な情報が最初に来るように項目の順序を調整します。これにより、ユーザーが情報の把握をしやすくなり、迅速な意思決定を行いやすくなります。
アクセス権限とセキュリティの確認
関連リストに表示される情報へのアクセスを適切に管理することは、セキュリティの維持とデータの整合性を保持するために不可欠です。さまざまな機密ランクの情報を扱うことが想定されるため、その情報に合ったユーザーのアクセス権限を設定する必要があります。また、定期的にアクセスログをチェックし、不正なアクセスや不適切なデータ閲覧がないかの確認を行うことも、データのセキュリティを保つ上で重要です。
Salesforceの関連リスト設定にあたってよくある問題と解決策
Salesforceの関連リストは業務を効率化させる上で強力な機能ですが、設定やカスタマイズの過程で問題が発生することがあります。
ここでは、起こりやすい問題と解決策をいくつかご紹介します。
関連リストが表示されない
ユーザーが最も遭遇しやすい問題が、関連リストが表示されないことです。
この問題の原因は、ページレイアウト設定の見落としによるものです。オブジェクトマネージャーから対象のレイアウトの編集モードに入り、表示したい関連リストがページに追加されていることを確認してください。
また、ユーザーのプロファイル設定によるアクセス権限が、関連リストの表示を制限していないかの確認も必要です。
フィールドが関連リストに表示されない
この問題は、フィールドレベルのセキュリティ設定によって引き起こされます。システム管理者は、対象となるフィールドがすべての関連ユーザーに対して「表示可能」に設定されているか確認する必要があります。この設定を行うには、セットアップメニューから「フィールドアクセシビリティ」を選択し、「該当フィールドのアクセス権限」を確認してください。
また、カスタムフィールドを追加した後にページレイアウトを更新していないことも原因の一つとして考えられます。
関連リストのカスタマイズが反映されない
カスタマイズが反映されない場合、ブラウザのキャッシュが原因の可能性があります。ブラウザのキャッシュをクリアにし、セッションを再起動してみてください。
また、変更が全ユーザーに適用されているかどうかも確認する必要があります。設定のプロファイルまたは権限セットによって異なる場合もあるので、合わせて確認しましょう。
Salesforceの関連リストを設定するにあたり押さえておきたいプロセス
ここでは、関連リストを設定するにあたって抑えたいプロセスをいくつかご紹介します。
設計書の作成
関連リストの設定やカスタマイズをする前に、各オブジェクトの関連やそのレコードに必要な情報などを纏めた設計書を作成しておきましょう。
どのオブジェクトがレコードに関連し、データの機密性はあるかなど、データ同士の関連性やユーザー権限などの情報を定義する設計書を作成することで、設定する上でのミスを未然に防ぐことができます。
ユーザーテストの実施
新しい設定や変更を本番環境に適用する前に、テスト環境で徹底的にユーザーテストを実施しておきましょう。実際に使用するユーザーもテストに参加することで、見落としていた問題や改善点を発見しやすくなります。
また、もし問題があった際にいきなり本番環境で設定してしまうと、元に戻せなくなってしまう可能性があります。
変更内容を明文化
Salesforceの環境に変更を加える際は、すべての変更を記録し、適切に管理することが重要です。関連リストを扱う際に出る影響を明文化することで、影響の範囲や処理のプロセスが明確になり、設定ミスを最小限に抑えることができます。
また、予期せぬエラーや問題が起きたとしても原因をたどりやすく、早く復旧できる可能性が高まります。
関連リストの活用例
Salesforceの関連リストは、異なる業務プロセスであっても多様に活用することが可能です。
特に影響力の大きい3つの領域における具体的な活用事例をご紹介します。
顧客管理
関連リストを使用することで、顧客ごとに以前の問い合わせや現在対応中の問題などを一元管理することができます。これにより、担当者は過去のデータから顧客のニーズを速やかに把握し、その顧客に合った対応を一貫して行うことが可能です。
例えば、活動の関連リストを活用することで過去にどのようなやり取りをし、現在どんな問題で詰まっているかなど、瞬時に顧客に関する情報を確認しそれに基づいて次の行動を計画することができます。
また、責任者や担当者などの関係者の連絡先もすぐに確認できるため、問題が起こった際や確認事項がある際にコミュニケーションが取りやすくなります。
営業管理
関連リストを活用することで、営業担当者はその取引先に関連する商談、連絡先、活動などのリアルタイムの情報を管理することができます。これにより、顧客とのコミュニケーションの履歴や商談の進捗状況を一目で確認でき、次の戦略を迅速に計画することが可能です。
電話や会議などのすべての活動を記録することで、取引先に対して包括的な視点を持つことができ、商談の進捗が確認しやすく、なにかミスがあった場合にも対応しやすくなります。商談の進捗状況や売上見込みも随時確認できるため、成約率の向上が見込めます。
プロジェクト管理
プロジェクトに関連する全てのタスクやマイルストーン(中間目標)、議事録、コミュニケーション履歴などを関連リストで管理することで、プロジェクトマネージャーはプロジェクトの進行状況を継続的に把握し、適宜調整を行うことができます。
また、関連リストにはプロジェクトに関連する各種リソースやステークホルダー(利害関係者)の情報も含めることができ、より効率的かつ透明性の高いプロジェクト管理が実現できます。
まとめ
ここまでSalesforceの関連リストについて、基本的なところから詳細までご説明してきましたが、いかがでしたでしょうか?
関連リストではそのレコードに必要な情報を1画面で確認できるだけでなく、自社に合わせてカスタマイズすることで、より効率的にデータを把握できるようになります。
ストラでは、お客様に合わせた関連リストのカスタマイズをはじめ、Salesforceの導入から活用まで一貫してご支援しております。Salesforceを活用する上でお困りごとがございましたら、ぜひお問い合わせフォームよりご相談ください。