Salesforceで名刺管理はどうやって実現する?連携できる名刺管理ツールや導入手順と活用法を解説

この記事でわかること
- 名刺管理ツールの基本的な仕組みと活用メリット
- Salesforceと名刺管理ツールを連携するメリット・デメリット
- Salesforceと連携可能な主要名刺管理ツールの特徴と比較ポイント
- 名刺管理ツールとSalesforceを連携させる導入準備~設定手順の実践ガイド

執筆者 取締役 / CTO 内山文裕
Salesforceの導入や活用のお困りごとはプロにご相談ください
- 名刺管理ツールをSalesforceと連携させたいが、自社に最適なツールの選び方が分からない
- 営業・マーケ・サポートなど複数部門で名刺データを活用する際、運用ルールや権限設定はどうすべきか悩んでいる
- Salesforce連携後のデータの活用設計をどのようにすれば営業効果が高まるのか知りたい
名刺情報は営業活動や顧客管理の基礎となる重要な資産ですが、Salesforceには標準で名刺管理機能が用意されていません。そのため多くの企業では外部の名刺管理ツールとSalesforceを連携させることで、名刺データのデジタル化と営業活動の効率化を実現しています。
本記事では「Salesforceで名刺管理はどう実現できるのか?」という疑問に答える形で、名刺管理ツールの基本から、Salesforceとの連携メリットや注意点、導入ステップ、そして実際に成果を上げた企業事例までを網羅的に解説します。
名刺管理の最適化を検討している方にとって、導入のヒントとなる内容を具体的に紹介しますので、ぜひ最後までご一読ください。
参照:Salesforce(セールスフォース)とは?製品群や機能、メリット・デメリットを簡単に解説! | Strh株式会社(ストラ)
参照:【完全ガイド】Salesforceの使い方|初心者向け基本操作から応用テクニックまで解説 | Strh株式会社(ストラ)
目次
名刺管理ツールとは
名刺管理ツールとは名刺情報をスキャンや撮影によってデジタル化し、クラウド上で一元管理できるシステムです。スマートフォンや専用スキャナを使って名刺を読み取ることで、氏名、会社名、役職、電話番号などの情報がOCR技術によって自動的にデータ化され、蓄積されていきます。
これらの情報はクラウド上に保存されるためインターネット環境さえあれば、オフィスや出張先、在宅勤務中でも簡単にアクセスできます。また社内で名刺情報を共有することで、営業やマーケティング、カスタマーサポートといった複数の部門で顧客情報を有効活用できる点も大きな特徴です。
紙の名刺管理と比べたときの違い
従来の紙の名刺管理では担当者が個別に名刺ホルダーに保管していたため、他の社員がその情報にアクセスすることは困難でした。また名刺を探す手間や保管中の紛失、記載情報の見落としなど業務に支障をきたすリスクも少なくありませんでした。
一方、名刺管理ツールを活用するとスキャンや撮影によって名刺情報をすぐにデジタル化でき、クラウド上で共有・検索が可能になります。検索性が高まることで必要な情報に迅速にアクセスでき、営業活動のスピードが向上します。
また、名刺のデータがSalesforceなどのCRMに自動連携されることで、リードの育成や商談のフォローアップなど、次のアクションにつなげやすくなります。さらに紙の名刺では属人化しがちだった顧客情報もデジタル管理によって部門を超えた共有が可能となり、組織全体での顧客対応力が強化されます。
紛失や破損といった物理的なリスクもなくなり、情報セキュリティの観点からも安心して利用できる環境が整います。このように名刺管理を紙からデジタルへ移行することで、業務効率と情報資産の活用度が大きく改善されるのです。
Salesforceに名刺管理機能はないの?
Salesforceには標準機能として名刺をスキャン・管理する専用の仕組みは搭載されていません。以前は「Scan to Salesforce」という無償の名刺管理アプリが提供されていましたが、2023年をもって提供が終了しています。
そのため現在は外部の名刺管理ツールを活用して名刺情報をSalesforceと連携させる方法が主流となっています。名刺情報は営業活動の出発点であり、取引先との接点記録や商談履歴といったCRMの中核データと密接に関わります。
しかしSalesforce単体では名刺のデジタル化やOCR処理といった機能を備えていないため、情報を手動で入力・管理する必要があり業務の手間やミスの原因になることも少なくありません。
このような背景から多くの企業ではSansanやSmartViscaといった外部ツールを導入し、名刺データを自動的にSalesforceに取り込める体制を構築しています。これにより名刺情報の正確性と即時性を確保しつつ、営業現場での活用度を高めることが可能になります。
Salesforceと名刺管理ツールを連携するメリットとデメリット
Salesforceと名刺管理ツールを連携させることで、業務の効率化や顧客情報の一元管理といった大きなメリットが得られます。ただし、導入前には運用面や技術面での課題にも目を向けておくことが重要です。この章では連携による利点と注意点を解説していきます。
Salesforceと名刺管理ツールを連携するメリット
名刺管理ツールとSalesforceの連携により単なる名刺の保管にとどまらず、名刺情報を起点とした営業アプローチの質やスピードも格段に向上します。また名刺の情報をSalesforceの顧客データベースに統合することで、顧客理解の解像度が高まりパーソナライズされた提案や施策につなげることができます。
このような連携によるメリットについて以下の4つの観点で紹介していきます。
名刺情報をSalesforceに自動で取り込め、入力負荷が軽減される
名刺情報の入力を手作業ですれば入力に時間がかかり、ミスも発生しやすいです。ですが名刺管理ツールを利用すれば、名刺をスキャンするだけで情報がSalesforceに即時反映されるため、入力作業の負担を大きく軽減できます。
OCRによって読み取られた情報は、氏名、会社名、役職、メールアドレスなど項目ごとに正確に登録され、重複チェックも自動で行われます。これによりデータの品質が保たれ営業活動に必要な情報をスムーズに活用できる体制が整います。
また入力作業にかけていた時間を削減できることで、より戦略的な業務に集中できるようになる点も大きなメリットです。
営業活動の効率が上がる
名刺情報がSalesforceに紐づけられることで、過去の接点履歴や担当者の役職などをすぐに把握でき、次のアクションに迅速につなげられるようになります。顧客との関係性を深めるための材料が一元化されることで、営業の成功率も高まります。
例えば過去に誰がどのような接触をしたか、どんな話題が出たかといった情報が即座に確認できるため、無駄な確認作業や同じ内容の繰り返しを避けることができます。初回訪問時でも名刺データから得られる背景情報をもとに、信頼関係の構築に必要な準備ができ顧客対応の質を高めることが可能です。
顧客情報の一元管理ができる
名刺情報だけでなく、商談履歴や問い合わせ内容などの情報もSalesforce上に統合されることで、顧客に関するあらゆる情報を一つの画面で確認できます。これにより情報の抜け漏れや二重管理といったリスクを低減できます。
特に複数の部門が同じ顧客と関わる場合、情報が分散していると意思疎通に支障をきたすことがありますが、一元管理により社内の誰でも同じ情報にアクセス可能になります。これにより担当者の異動や退職などがあっても、情報の引き継ぎがスムーズに行われ、属人化のリスクを回避できます。
部門間の連携がしやすくなる
名刺情報をSalesforceで共有することで、営業部門に限らずマーケティング部門やカスタマーサポート部門とも同じ顧客情報を参照できます。結果として社内全体の顧客対応レベルが向上しスムーズな連携体制が構築されます。
例えば営業が取得した名刺情報をもとに、マーケティングチームがメール配信リストを作成したり、サポートチームが問い合わせ対応時に顧客の属性を即座に確認したりすることが可能になります。また名刺に含まれる属性情報を分析することで、部署を横断したターゲティングやセグメント戦略にも活用できます。
Salesforceと名刺管理ツールを連携するデメリット
名刺管理ツールとSalesforceの連携には多くの利点がありますが、導入にあたってはいくつかの懸念点や課題も存在します。特に中小企業やIT部門が限られている組織では、初期導入時の手間や運用後のコスト、データ運用ルールの整備などに注意が必要です。
以下では代表的な3つのデメリットについて具体的に説明します。
初期設定や連携の手間がかかる
Salesforceとの連携には専用の連携パッケージのインストールやAPI設定、アクセス権限の付与などが必要です。これらの作業はある程度のSalesforce運用知識を必要とするため、非IT系の部署や中小企業にとっては導入のハードルとなる場合があります。
またツールによっては英語ベースのドキュメントしか提供されていないこともあり、社内リソースだけでは対応が難しいケースもあります。
運用コストが発生する
名刺管理ツールそのものの利用料に加え、Salesforceとの連携に関する追加オプション費用が発生する場合もあります。さらに導入初期には社員への教育やマニュアル整備といった間接的なコストも見込んでおく必要があります。
規模の大きな企業では運用ルールの統一に時間を要することもあり、費用対効果を見極めた上で導入判断を行うことが重要です。
データ化に時間がかかる
名刺情報のデジタル化そのものはスムーズに行えるものの、誰がどのタイミングでデータを取り込むか、更新頻度はどうするかといった社内ルールを定めないと運用が属人的になりやすくなります。
結果として古い情報が残ったままになったり、同じ顧客が重複して登録されたりといった課題が発生する恐れがあります。継続的に活用するためには部門横断でのデータ活用方針と運用プロセスの設計が不可欠です。
Salesforceと連携できる名刺管理ツール
Salesforceと名刺管理ツールを連携させる際には、どのツールを選ぶかが非常に重要なポイントになります。連携可能な名刺管理ツールはいくつか存在しますが、それぞれに特徴や機能、得意とする導入規模や業務スタイルがあります。
自社に合ったツールを選定することで導入後の定着率や活用度が大きく変わるため、機能だけでなく使いやすさやサポート体制も含めた総合的な比較検討が欠かせません。
この章ではまず名刺管理ツールを選ぶ際に重視すべき観点を整理し、その後に代表的なSalesforce連携対応ツールの特徴を紹介します。
名刺管理ツールを選ぶときのポイント
名刺管理ツールを選定する際には単にSalesforceと連携できるかどうかだけでなく、自社の業務環境や運用体制に合っているかを確認することが大切です。営業部門が主体で使うのか、全社的な情報共有ツールとして活用するのかによって、必要な機能や求められるUIが異なります。
以下3つの観点に分けて、選定ポイントについてポイントを詳しく解説していきます。
自社の営業スタイルや業務フローに合っているか
名刺管理ツールを選ぶ際、最も重要な視点のひとつが「自社の営業スタイルとの親和性」です。例えば訪問営業が中心の企業であれば、モバイル端末からの名刺登録や閲覧がスムーズに行えるかが大切です。
一方、インサイドセールスやマーケティング部門が名刺データを起点に施策を展開する場合には、名刺情報のタグ付けや属性分類機能の有無が大きな差になります。
また、既存の業務フローに自然に組み込めるかどうかも、運用の定着に直結します。Salesforceとの自動連携のしやすさやリード作成、既存取引先とのマージ処理などが直感的に操作できるかを事前に確認することで、導入後の混乱や追加対応を防ぐことができます。
情報セキュリティや管理体制が信頼できるかを確認する
名刺には企業の代表者や担当者など、機密性の高い個人情報が多数含まれています。そのため名刺管理ツールを選定する際には、情報セキュリティの体制が整っているかを確認することが不可欠です。例えばISMSやプライバシーマークなどの認証取得状況は、信頼性を測る指標になります。
また、データセンターの所在地、バックアップ体制、アクセス制限の仕組みなど、インフラ面での安全性にも注目が必要です。さらに万が一の情報漏洩やシステムトラブル時の対応体制やサポート窓口の有無も安心して長期運用するうえで重要なポイントとなります。
無料トライアルやサポート体制が整っているかを確認する
ツールの選定にあたっては、機能性だけでなく「実際に運用できるかどうか」を事前に確かめる機会があるかどうかが重要です。
その点で無料トライアル期間の有無やデモ環境の提供は、導入判断において大きな助けになります。試用期間中にSalesforce連携を試したり、UIの使い勝手を検証することで、現場での定着可能性を事前に把握できます。
また、導入前後のサポート体制が整っているかどうかも見逃せません。問い合わせ対応のスピード、マニュアルやFAQの充実度、初期設定の支援有無などは、ITリテラシーが高くない部署でもスムーズに導入を進めるための鍵となります。
継続的に安心して利用できるサポート環境が整っているか、事前に確認しておきましょう。
Salesforceと連携できる主な名刺管理ツールの紹介
名刺管理ツールの中には、Salesforceとの連携に特化した製品がいくつか存在します。それぞれに強みや特徴が異なるため、自社のニーズや規模感に応じて適切なツールを選ぶことが重要です。
ここでは代表的な4つの名刺管理ツールについて、Salesforce連携時の機能や利便性を中心に解説します。
営業・マーケまで幅広く使える法人向け名刺管理の定番Sansan
Sansanは国内で圧倒的な導入実績を誇る法人向け名刺管理ツールです。単なる名刺のデジタル化にとどまらず、企業データベースの自動更新や人事異動通知、メール連携機能など営業やマーケティングに直結する多彩な機能を備えています。
Salesforceとの連携では専用パッケージ「Sansan for Salesforce」を介して、名刺を取り込むと同時にリードや取引先情報を自動作成できます。連携設定もガイドに沿って簡単に進められるようになっており、非エンジニアの現場担当者でも比較的スムーズに運用を開始できます。名刺情報を営業活動の出発点と捉え、組織的に活用したい企業にとって最適な選択肢です。
参照:Sansan株式会社
Salesforceユーザー向けに開発されたSmartVisca
SmartViscaはSalesforceユーザーのために開発された純正型の名刺管理ツールで、Salesforceネイティブアプリとして動作します。外部システムとの連携ではなく、Salesforceの内部機能として名刺情報を直接扱える点が大きな特長です。
名刺をスキャンすると即座にSalesforce上のデータとして反映され、リードや取引先、商談との紐づけもドラッグ操作で直感的に行えます。システム間連携のトラブルが少ないため、ITリテラシーに不安がある企業でも導入しやすく、Salesforce上で業務を完結させたい企業に非常に向いています。
AIによるデータ解析や自動タグ付け機能を備えている名刺ソナー
名刺ソナーはAI技術を活用して名刺情報をより戦略的に活かせる機能を備えた名刺管理ツールです。特に名刺に記載された肩書や企業名などの情報をもとに自動的にタグを付ける機能が特徴で、顧客の属性分類やターゲティングの精度を高めることができます。
Salesforceとの連携もスムーズに行え、名刺情報を自動でCRMに取り込むことで、過去の接点履歴をもとにしたアプローチ計画の立案や営業の優先順位づけがしやすくなります。データを営業戦略の武器として活用したい企業にとって、名刺ソナーは有力な選択肢となるでしょう。
参照:usonar株式会社
「人」情報を軸にした連携管理が特長のPHONE APPLI PEOPLE for Salesforce
PHONE APPLI PEOPLEは、名刺・社員・顧客といった「人」に関する情報を中心に、社内外のコミュニケーションを支援する名刺管理ツールです。Salesforceとの連携により、画面上から電話・メール・Microsoft Teamsなどの手段で直接コミュニケーションを取れる設計となっており、業務のスピードと質の向上に寄与します。
また、社内で誰がどの顧客と関係を持っているのかが可視化されるため、新規アプローチの際の担当割りや連携先の把握にも役立ちます。部門をまたいだ連携やナレッジ共有の促進を目的とした情報基盤として導入されるケースも多く、社内の連携体制を強化したい企業に適しています。
参照:PHONE APPLI
Salesforceと名刺管理ツールを連携する方法
名刺管理ツールとSalesforceを効果的に連携させるには、導入前に必要な準備や設定の流れをしっかり把握しておくことが重要です。連携をスムーズに進めるためには、事前に利用するツールの機能やSalesforceとの連携仕様を確認し、自社のSalesforce環境に適した設定を行う必要があります。
本章では名刺管理ツールとSalesforceの連携を成功させるための基本的なステップを解説します。特に導入事例が多いSansanを例に取り上げ、実際の画面構成や設定項目に沿った流れを想定して紹介していきます。
Salesforceと名刺管理ツールの連携に必要な準備
名刺管理ツールとSalesforceを連携させるには、いくつかの初期準備が必要です。まずはSalesforce上にツールとの連携用パッケージをインストールすることから始まります。このパッケージには名刺情報を取り扱うためのオブジェクトやフィールドが事前に設定されており、Salesforce側での受け入れ体制を整える役割を担います。
次に連携専用のSalesforceユーザーアカウントを用意し、名刺管理ツールと認証連携を行うことで名刺データの送受信が可能になります。アカウント設定には権限セットの割り当てやAPIアクセスの許可などが含まれるため、Salesforce管理者による初期対応が求められます。
Salesforceに連携用パッケージをインストールする
まずは使用する名刺管理ツール専用のパッケージをSalesforceの「AppExchange」からインストールします。Sansanの場合、「Sansan for Salesforce」というパッケージが提供されており、これをインストールすることで名刺や名刺設定などのカスタムオブジェクトが自動的にSalesforce環境に追加されます。
インストール後にはこれらのオブジェクトが正しく機能するように、画面レイアウトや表示権限の調整を行う必要があります。これにより名刺データを取り込むための受け皿が整い、後続の連携設定がスムーズに進行します。
連携アカウントの設定とユーザー紐づけを行う
次に必要なのが、名刺管理ツールとSalesforceを接続するための連携アカウントの作成です。このアカウントには名刺情報の読み書きができるよう、必要なオブジェクトへの参照・編集権限を付与します。さらにツールごとの仕様に応じて、API連携に関する設定を行う必要があります。
例えばSansanではツール管理画面からSalesforce接続のためのアクセストークンを発行し、それをSalesforce側に登録することで連携が有効になります。また複数のユーザーが名刺を登録する場合は、それぞれのユーザーをSalesforceユーザーと正しく紐づける設定が求められます。
名刺データを正しく表示・利用できるように設定する
名刺情報がSalesforceに連携された後、ユーザーがそのデータを有効活用できるようにするためには、表示項目や関連設定の調整が不可欠です。Salesforce上で名刺情報を視覚的に分かりやすく表示し、リードや取引先、取引先責任者などの既存データと連携して活用できる状態に整えることが目的です。
以下では具体的な設定内容を解説します。
名刺データの表示項目・タブをカスタマイズする
Salesforceの画面上に名刺情報を分かりやすく表示するには、レイアウトの調整が必要です。例えば「名刺」オブジェクトに表示する項目として、氏名・会社名・役職・電話番号・メールアドレスなどの基本情報に加え、取り込み日時や取り込み担当者などのメタ情報を追加することで、業務利用時の判断材料が増えます。
また、Salesforceのナビゲーションメニューに「名刺」タブを追加し、ユーザーがいつでも名刺情報へアクセスできるようにすることも推奨されます。これにより他の商談情報やリード情報と並行して名刺データを確認・更新できるようになり、業務フローの中での活用が自然に根付きます。
名刺を取引先やリードと結びつける設定を行う
名刺情報を単体で閲覧するだけでは活用範囲が限られてしまうため、Salesforce上の既存オブジェクトと関連付ける設定が重要です。具体的には「名刺」オブジェクトをリード、取引先、取引先責任者などと関連リストで接続し、名刺情報からワンクリックで他のデータにアクセスできるようにします。
例えば名刺から自動的にリードを作成したり、既存の取引先に名刺を紐づけたりすることで、顧客接点の履歴を一元的に管理できます。これにより「誰が、いつ、どのような接点を持ったか」を簡単に追跡できるため営業活動の精度が向上し、戦略的なアプローチが可能になります。
Sansanの詳細画面に遷移できるリンクを設置する
Salesforce内で名刺情報を確認するだけでなく、必要に応じてSansan側の詳細画面に遷移できるリンクを設置しておくと便利です。これにより名刺に関連する社内メモやタグ、連携された企業情報などSansan側で保持している付加情報にも即座にアクセスできます。
このリンクはカスタムボタンやURL項目としてレイアウトに追加することで実現できます。現場の担当者がSalesforceの画面から別ツールにスムーズに遷移できるようにすることで、ツール間のシームレスな連携と業務効率の向上が図れます。
Salesforceと名刺管理ツールの連携で成果を上げた企業事例の紹介
名刺管理ツールとSalesforceの連携は、業務効率化やデータ品質の向上、社内連携の強化において確かな成果をもたらしています。ここでは実際にSalesforceと名刺管理ツールを組み合わせて導入し、具体的な成果を上げた企業事例を3つ紹介します。
それぞれの企業が抱えている課題や活用方法、導入によって得られた効果を通じて、導入の現実的なイメージを持っていただけるはずです。
Sansanの全社導入によって、業務の効率化とSalesforceのデータ品質を向上させた例
ある大手IT企業では従来バラバラに管理されていた紙の名刺情報が各部門に散在しており、顧客対応や営業活動に支障をきたしていました。そこで名刺管理ツールとしてSansanを導入し、全社員が共通のプラットフォームで名刺情報を管理・共有できる体制を整備しました。
このツールをSalesforceと連携させることで、名刺データが即座にSalesforceへ自動登録され、重複入力や情報の抜け漏れが大幅に削減されました。結果として営業部門だけでなくサポート・マーケティング部門でも一貫性のあるデータを活用できるようになり、社内全体での業務効率と顧客理解が向上しました。
出典:Sansan Data Hubを活用することでSalesforceの情報鮮度が向上
データをSalesforceのデータと連携し、営業、サポート、マーケティングなどに生かす例
別の企業では名刺情報を部門ごとに管理していたため、顧客に対するアプローチ内容に重複や抜けが生じていました。SmartViscaを導入しSalesforceと連携させたことで、各部門が共通の名刺データをもとに業務を展開できるようになりました。
営業部門では過去の接触履歴から最適なアプローチ方法を検討し、サポート部門では問い合わせ前後の履歴を確認することで対応のスピードが向上します。マーケティング部門でも属性情報を基にターゲティング精度の高いキャンペーンを実施できるようになり、全社的な業務の質と連携体制が大きく改善されました。
出典:Sansan Data Hubで顧客データをリッチ化継続的な関係を紡ぐ活動の基盤を構築
社外で働くエンジニアとのコミュニケーションの活性化と営業業務の効率化した例
ある製造系企業では、営業担当と社外のエンジニアが協力して案件を進める体制がとられていましたが、名刺情報の共有不足により意思疎通に時間がかかるケースが多発していました。
そのためPHONE APPLI PEOPLE for Salesforceを導入し、Salesforce上で名刺情報と連絡先、関連する担当者の履歴を即座に確認できるようにしたことで、現場にいないエンジニアともリアルタイムで連携が可能になりました。
電話やメールだけでなくTeamsやチャットツールへの連携もワンクリックで実現できるようになり、顧客対応のスピードと質が向上。社内外の垣根を越えた協力体制が構築され、顧客満足度の向上にもつながる成果が得られました。
出典:Salesforceを活用し、社外で働くエンジニアとのコミュニケーションの活性化と営業業務の効率化を目指す
まとめ
Salesforceと名刺管理ツールの連携は名刺情報を単なる保管データにとどめず、営業活動や顧客管理の中核情報として有効活用するための重要な施策です。紙の名刺管理では対応が難しかった情報の検索性、共有性、活用性を飛躍的に高め、業務効率化や社内の連携強化を実現します。
本記事ではSalesforceに名刺管理機能が標準で搭載されていない背景から始まり、連携による具体的なメリットと注意点、主要なツールの選び方、導入手順、そして実際の導入事例までを幅広く紹介してきました。連携のハードルがある一方で、それを乗り越えることで得られる業務上の効果は大きく、営業DXや顧客中心の業務改革に直結します。
今後より高度な営業活動やマーケティング施策を展開していくためにも、名刺情報の戦略的な活用は欠かせません。まずは自社に適した名刺管理ツールを比較検討し、Salesforceとの連携を視野に入れた体制づくりを進めてみてはいかがでしょうか。
ストラでは、Salesforceの導入や外部システム連携などはもちろん、現場への定着化支援やチェンジマネジメントまで一貫したSalesforce活用をご支援します。
具体的な支援内容や価格についてご興味・ご関心がある方は、ぜひストラへお問い合わせください。
また、ストラのSalesforce導入支援や定着化支援、開発支援について、さらに詳しく知りたい方はこちらのページで紹介しています。
Salesforceの導入や活用のお困りごとはプロにご相談ください
- 名刺管理ツールをSalesforceと連携させたいが、自社に最適なツールの選び方が分からない
- 営業・マーケ・サポートなど複数部門で名刺データを活用する際、運用ルールや権限設定はどうすべきか悩んでいる
- Salesforce連携後のデータの活用設計をどのようにすれば営業効果が高まるのか知りたい


執筆者 取締役 / CTO 内山文裕
青山学院大学卒業後、株式会社ユニバーサルコムピューターシステムに入社。
大手商社のB2B向けECサイトの構築にて会員登録、見積・注文機能、帳票出力などECにおける主要機能のフロント画面・バックエンドの開発に従事。 その後アクセンチュア株式会社に入社。デジタルコンサルタントとしてWebフロントエンド・モバイルアプリの開発やアーキ構築を主に、アパレル・メディア・小売など業界横断的にシステム開発を支援。また、ビッグデータを活用したマーケティング施策の策定やMAツールの導入・運用支援にも従事。
2022年2月にStrh株式会社の取締役CTOに就任。デジタルプロダクト開発の支援やMAツール導入・運用支援を行っている。
▼保有資格
Salesforce認定アドミニストレーター
Salesforce認定Java Scriptデベロッパー
Salesforce 認定Data Cloudコンサルタント