Salesforceの承認プロセスとは?設定方法や活用方法について具体的に解説
この記事でわかること
- Salesforceの承認プロセスの概念についての理解
- Salesforceの承認プロセスを設定する前に確認すべきこと
- Salesforceの承認プロセス設定方法
- Salesforceの承認プロセス活用時の注意
執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀
社内業務のDX化を目的としてSalesforceを導入されている企業では、Salesforceを活用することで、自社に蓄積されたデータ資産を活用し、これまでと異なる新しいアプローチや戦略の検討を期待されていらっしゃることも多いかと思います。
一方で、弊社にご相談いただくお客様の中には、まずは社内の煩雑な業務を減らし、営業やマーケティング活動に専念できる環境を作りたいという企業様からのお問い合わせも多くあります。
そういった業務を効率化するためにも、ぜひ活用いただきたいSalesforceの機能が「承認プロセス」です。
承認プロセスは、社内における承認申請業務をSalesforce上で自動化し、承認先の選定や承認・却下などフローを効率的にするための機能です。
そこで本記事では、Salesforceの承認プロセスの概要や活用メリット、設定方法についてご紹介します。
自社のSalesforceを最大限活用するためにも、まずはユーザーの煩雑な業務を減らすことも重要な取り組みの一つですので、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
Salesforceの基本的な機能全般について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
参照:Salesforce(セールスフォース)とは?製品群や機能、メリット・デメリットを簡単に解説!
目次
Salesforceの承認プロセスとは
Sslesforceの承認プロセスとは、Salesforceの標準機能の一つであり、社内業務において承認が必要な社内申請のプロセスをSalesforce上で自動化するための機能です。
例えば、営業部門では見積り作成時に上長の承認を得る必要があるといった社内の申請プロセスがある場合にも、Salesforceの承認プロセス機能を活用することで、従来の申請用紙を回して上長印をもらうといった業務が不要になります。
また、承認者自身もSalesforceで自身が未承認の申請案件や過去の承認内容の一元管理ができるなど、社内の業務を効率化する上で様々なメリットがあります。
Salesforceの承認プロセスを活用するメリット
それでは、Salesforceの承認プロセスを活用することでどのようなメリットがあるのかについてもう少し具体的に見ていきましょう。
Salesforceの承認プロセスは社内の業務DX化にも有効な機能の一つです。
自社の承認プロセス業務においても課題感などあれば、ぜひSalesforceの承認プロセス機能の活用をご検討ください。
社内申請プロセスの効率化
まず一番のメリットは、Salesforceの承認プロセスを活用することで、社内の申請プロセスが効率化されることです。
Salesforceの承認プロセスでは、申請する内容に応じて、申請先を自動で変更する設定が可能です。
また、承認ステップを条件別に分けて複数設定できるため、自社の社内ルールに則った申請プロセスを構築することもできます。
Salesforceの承認プロセス機能では、承認プロセスが自動化され、Salesforceユーザーはボタン操作で承認申請ができるようになり、これまで紙で申請業務を行っていた企業では、従業員の社内承認申請にかかる業務負荷を軽減させることにつながっていくでしょう。
他にも、承認者が申請内容を却下する際に、申請者に対してSalesforce上で通知や修正の依頼ができるため、申請者もすぐに次のアクションを起こすことができるなど、顧客対応の観点でも大きなメリットをもたらします。
申請業務の抜け漏れ防止
次に、Salesforceの承認プロセスを活用するメリットは、申請者や承認者の申請業務の抜け漏れ防止につながることです。
申請者にとっては、Salesforceの承認プロセスによって承認をとらない限り、商談の進行や見積りの作成ができないため、そもそもの承認申請を失念するというケースを削減できます。
また承認者にとっては、誰からどんな内容の申請が来ているのかを一元管理し、レポート化することで、どの申請がどのようなステータスにあるのか、進行中の申請や完了済みの申請をすぐに把握することができます。
これにより、申請者と承認者の双方にとって、業務を進めるための承認作業が効率的になり、結果的にチームや部署全体の生産性向上につながります。
コーポレートガバナンスの強化
Salesforceの承認プロセスを活用する3つ目のメリットは、承認プロセスの管理がコーポレートガバナンスの強化につながることです。
Salesforceの承認プロセス機能では、適切な承認権限者の設定や申請内容による承認先の選定・ステップを自動化し、仕組化しておくことが可能です。
これにより、重要な案件の把握や確認は、権限者を必ず通過するフローが構築されるので、社内の不正な申請や承認を防ぐことができます。
何か大きな問題が発覚した際に、後から社内の承認プロセスが未整備だったとなると、企業として不利益を被ってしまうことになりかねません。
コーポレートガバナンスの強化は中長期的な会社の成長を支え、社員一人ひとりが能力を発揮することにつながるため、取り組むべき大きな課題の一つと言えます。
Salesforceの承認プロセスを設定する前に確認すべきこと
それでは、Salesforceの承認プロセスを実際に設定する前に、事前に検討すべきことについて解説します。
いきなり承認プロセスの設定をしてしまうと、現場のメンバーや承認者も申請プロセスが変わってしまい、混乱を招いてしまいます。
スムーズに社内申請業務の効率化をするためにも、ぜひ本記事を参考に、自社に必要な承認プロセスの構築をご検討ください。
承認プロセスの条件を検討する
まずは、Salesforceの承認プロセスが必要な条件について、検討しましょう。
例えば、受注金額が1,000万円を超える案件については、商談作成時に上長の承認を必要とするといった条件を検討します。
ただし、ユーザーのアクションに対してあまりに細かく承認プロセスを設定してしまうと、ユーザーの負荷が高まり、Salesforceの活用が促進されなくなってしまうため、まずは最低限必要な社内申請プロセスから置き換えることを検討していきましょう。
承認プロセスのフローを検討する
次に、承認プロセスにおける承認者を決めておく必要があります。
Salesforceの承認プロセスは申請内容により、条件を設けて申請先を分岐させることもできます。
社内の権限ルールに則り、誰に対してどのような承認をとる必要があるのか、申請内容毎の承認者を設定しましょう。
また、承認者が不在の場合の検討も必要です。
承認プロセスが進まず、業務が滞ってしまってはチーム全体の業務効率に影響を及ぼしてしまうため、承認者が不在の場合の代理承認者の有無も合わせて設定することができます。
承認プロセスの却下時アクションを検討する
また、Salesforceの承認プロセスは申請内容を却下する場合のアクションを設定することもできます。
ここでは、承認者が申請を却下した場合に、メッセージの送信や再申請のToDoレコードを作成するなど申請者に対して必要なアクションを促すためのルールを検討しておきましょう。
Salesforceの承認プロセス設定方法
それでは、実際にSalesforceの承認プロセスを設定する方法について、キャプチャを用いて具体的に解説します。
承認プロセスの設定は、システム管理者のみ可能です。
現場の要望などヒアリングを通して、ぜひ設定してみてください。
承認者宛のメールテンプレートの作成
始めに、Salesforceの承認プロセスの設定用に、「メールテンプレート」を作成します。
Salesforceのデフォルトのメールテンプレートを使用することもできますが、自社でカスタマイズしたい方はまずこちらを作成していきましょう。
1.Salesforceの「設定(右上の歯車アイコンから選択)」をクリック
2.左側にある「クイック検索」ボックスに「メールテンプレート」と入力し、表示される「Classic メールテンプレート」 を選択
3.「新規テンプレート」をクリック
4.作成したいメールテンプレートを選択して、「次へ」をクリック
5.メールテンプレートの必須項目と記載したい内容を入力の上、「保存」をクリックして完了
メールテンプレート作成画面の「差し込み項目ルックアップ」にて、テンプレート内に含めたい項目(例えば、商談作成者の名前や取引先など)を検索の上、「差し込み項目値」をコピーして、メール内容に記載することで、申請者や申請に係る取引先などを踏まえたメールテンプレートが作成できます。
同様の手順で、「申請承認時のメールテンプレート」や「申請却下時のメールテンプレート」も作成しましょう。
承認プロセスの作成
1.Salesforceの「設定(右上の歯車アイコンから選択)」をクリック
2.左側にある「クイック検索」ボックスに「承認プロセス」と入力し、表示される「承認プロセス」 を選択
3.「承認プロセスを管理するオブジェクト」にて承認プロセスを作成したいオブジェクトを選択の上、「承認プロセスの新規作成」をクリック
今回は「標準ウィザードを使用」を選択します。
4.商談プロセスの「プロセス名」と「一意の名前(システム用の名前)」を設定の上、「次へ」をクリック
5.承認プロセスのトリガーとなる条件を設定して、「次へ」をクリック
キャプチャでは、「商談金額が1,000万円を超える場合」を設定
6.「割当先のユーザー項目」および「編集権限のプロパティ」を設定して、「次へ」をクリック
基本的に承認申請中はレコードの内容が書き変わらない様、編集権限のプロパティは「管理者のみ、承認プロセス宙にレコードを編集できます。」に設定することを推奨します。
7.作成しておいたメールテンプレートを選択し、「次へ」をクリック
8.承認ページレイアウトに表示する任意の項目を選択し、「次へ」をクリック
9.申請可能なユーザーの種別を選択して、「保存」をクリック
基本的にはレコードの所有者が申請者となるケースが多いです。
また、誤った内容を申請してしまった場合に取り消しができるよう「申請者に承認申請の取り消しを許可」にもチェックを入れておきましょう。
Salesforceの承認プロセス活用時の注意
ここまでSalesforceの承認プロセスについて、概要や設定方法をご覧いただきましたが、活用する上でいくつかの注意点があります。
事前に検討していた承認フローや条件が設定できないとならないように、ぜひSalesforceの承認プロセスにおける制限事項に留意の上、自社のSalesforce環境でも設定してみてください。
承認プロセス数の上限
Salesforceにおいて作成・有効化できる承認プロセスの数には上限があります。
一つのSalesforce組織全体で作成可能な承認プロセス数は2,000件、有効化できるものはその内の1,000件です。
また各オブジェクトあたりでも上限があり、各オブジェクトで作成可能な承認プロセス数は500件、有効化できるものは300件となっています。
大企業で一つのSalesforce組織を活用している場合には、依頼された承認プロセスを構築するだけでなく、組織全体の承認プロセス機能に影響しないか、システム管理者による検討が必要です。
承認プロセスにおける各制限数については以下のリンクも参考にしてください。
Salesforce公式ヘルプ : 承認の制限|ヘルプページ
承認管理者の範囲
Salesforceにおいて次の権限のいずれかをもつユーザーは指定承認者でなくても、承認管理者として申請に対してアクションができてしまいます。
- 「すべてのデータの編集」の権限
- オブジェクトに対する「すべて変更」の権限
上記の権限を持つユーザーが申請を承認してしまうと、その承認プロセスにおいて、指定承認者に設定されていたユーザーがそのユーザーに置き換わってしまうため注意してください。
承認者へのアクセス権限付与
Salesforceの承認プロセスを検討する際、承認者には必ず申請対象となるレコードのアクセス権を付与しておきましょう。
例えば、特定のオブジェクトにアクセスできないユーザーへ該当オブジェクトにおける申請をしても、承認者は承認申請内容を表示することができません。
承認プロセスの検討とユーザーへの権限付与は合わせてご検討することをおすすめします。
承認プロセスの削除
作成した承認プロセスを削除する際にも注意が必要です。
承認プロセスを削除する場合には、以下の手順を参考にしてください。
①承認プロセスが「無効」になっていることを確認しましょう
②削除したい承認プロセスに紐づいている承認申請をすべて削除し、Salesforceの「ごみ箱」からも削除します
③承認プロセスの申請状況に関係なく、申請された取引先などすべてのレコードを削除する必要があります
また、「有効化または以前有効化された」承認プロセスの手順を追加または変更することはできません。
承認プロセスはデータが関連付けられていない承認プロセスしか削除できないため、作成時には、しっかりと検討した上で作成しましょう。
まとめ
本記事では、Salesforceの承認プロセス機能を用いた社内承認申請業務を効率的にする方法について解説してきました。
自社のSalesforce環境においても、承認プロセスを活用して効率化できる申請フローが見つかったでしょうか?
Salesforceの承認プロセスは、社内DX化だけでなく、今後会社が成長していく中で検討が必要なコーポレートガバナンスの強化などでも効果的です。
一方で、コーポレートガバナンスを強化しながら、社内のデータ資産を最大限活用していくためには、Salesforceの承認プロセスの構築だけでなく、他のSalesforce機能とも組み合わせて現場でデータを蓄積し、活用していく循環を作っていくことが重要です。
ストラでは、お客様が実現したい業務フローや体制をヒアリングした上で、管理者様と実務部門の双方にとってベストなSalesforce活用とは何か、一緒に検討を行い、支援をいたします。
本記事を読んで、自社のSalesforce活用について今一度見直してみたいと思われた担当者様は、ぜひこちらのお問い合わせフォームよりまずはお気軽にご相談してみてください。