この記事でわかること
- パイプライン管理を行うと何が可能になるのか
- パイプライン管理が必要になった背景
- パイプライン管理のメリット
- パイプライン管理を行う手順と実施する際の注意点
執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀
パイプライン管理とは、営業活動における業務フローを効率的に管理するための手法です。
そもそもパイプラインとは「石油や天然ガスを輸送するためのパイプ」を意味しており、営業で見込み客を獲得してから受注するまでの一連の流れをパイプに見たてて、パイプライン管理と呼んでいます。
本記事では、パイプラインが必要とされる背景から、メリット、手順までわかりやすく解説します。ぜひ最後までお読みください。
また、BtoBマーケティングの基本的な考え方や戦略策定のプロセスから知りたい方はこちらの記事も併せてご覧ください。
参照:BtoBマーケティングとは?戦略の立て方やそのプロセス、成功事例までプロが解説
目次
パイプライン管理とは
パイプライン管理とは、営業活動における一連の流れを可視化し、効率的に管理するための手法です。一般的に営業プロセスは以下のように進みます。
- 問い合わせ
- ヒアリング
- 初回訪問
- 提案
- クロージング
- 受注
この営業プロセスの各フェーズに対して定量的な目標を設定し、各フェーズの進行中の件数やフェーズ間の転換率を分析することで、どこのフェーズに無駄が発生しているのか明らかになります。そのため改善点を洗い出し、営業活動全体を効率的に管理することが可能になるのです。
パイプライン管理が必要とされる背景
近年では、国をあげて働き方改革が進み生産性の向上が求められています。
営業活動においても、限られた時間で売上目標を達成するために業務効率化が求められます。しかし従来の営業では属人的な管理が進んでおり、担当者以外は業務の進め方が分からず、どこに無駄があるのか判断できない状況でした。
そこでパイプライン管理を行うことで、チームで案件の情報を確認できる体制を構築し、ボトルネックとなっているフェーズを迅速に改善することが可能になったのです。
パイプライン管理のメリット
ここからは、パイプライン管理を行うことによる4つのメリットをご紹介します。
課題の発見が早くなる
パイプライン管理を行うことで、営業プロセスの各フェーズごとに定量的な指標で分析が可能になります。
フェーズごとに定量的な目標値を設定することで、各フェーズの目標達成率やフェーズ間の転換率を数値で確認することができるようになり、どこがボトルネックになっているかを明確にすることができます。
メンバーの指導が的確になる
パイプライン管理を実施することで、データに基づいた適切な指導を行うことができます。
パイプライン管理をしていないと営業担当ごとの成績を売上実績でしか振り返ることができず、管理者からの指導も「今回は成績が良かったから次もこの調子で」「次はもっと頑張ろう」といった精神論になりがちです。
しかしパイプライン管理を行うとフェーズごとの数字を正確に把握でき、ボトルネックとなっている部分を見つけ出すことができます。そのため、どう改善していけばよいかが明確な質の高いフィードバックを行うことができます。
マーケティング活動に活かせる
チャネル(流入経路)ごとにパイプラインを分析することで、受注に繋がりやすいチャネルとそうでないチャネルの傾向を把握できます。これにより、費用対効果の高い施策に注力することができるほか、効果の低い施策はアプローチ方法を変えるなどの施策を打つことができます。
売上予測を立てやすい
パイプライン管理を行うと、商談の受注率や各工程の歩留まり率などの実績数値を把握できます。これらのデータを活用すると、あらかじめ1カ月ごとや半年ごとにどの程度の売上が見込めるのかを算出できるようになります。また、売上見込みから設定した目標に対してどの程度の活動量が必要になるか計画を立てることができ、事前に適切なリソース予測・配置が可能となります。
パイプライン管理の手順
次にパイプライン管理の具体的な手順を紹介します。
1. 営業フローを整理する
まずは、自社の営業フローを整理します。ここでは社内の営業活動をすべて把握し、フェーズを細分化していきます。営業フェーズを細分化する際のポイントは「顧客の行動を軸にすること」です。顧客が商品やサービスを利用する過程の道のりをまとめた「カスタマージャーニー」をもとに細分化していくことをおすすめします。
参照:カスタマージャーニー作成の教科書【テンプレート無料公開】
2. 各業務の定義や目標を明確化する
その後は、細分化した業務フローに対してそれぞれの定義づけを行います。お問合せはどのチャネルか、ヒアリングはどのように実施されるかなど、詳細に定義しておきます。
また、各業務ごとに明確な目標を設定し、進捗状況を把握できるようにします。例えば、ヒアリングから訪問までの転換率(CVR)を5%上げる、といった具体的な数値目標を設定することが重要です。
3. 各フェーズの顧客数とCVRを可視化する
定義やゴールを整理したら、各フェーズごとのデータを可視化します。それぞれのフェーズごとに顧客数やCVRを出しましょう。
4. 効果検証を行う
パイプライン管理を導入した後は、分析や改善を継続的に行います。どの程度の効果があったのかを定期的に分析し、更なる改善を進めていくことが大切です。
たとえ目標が達成できたとしても、必ず分析を実施しましょう。「仮説を立ててから効果検証を行う流れ」が自社のノウハウとして蓄積されることで、営業活動のさらなる改善に繋がります。
パイプライン管理を実施する際のポイント
ポイント1:リアルタイムな情報共有を行う
パイプライン管理を行う上では、リアルタイムで正確なデータを蓄積することが大切です。
営業担当者は情報共有を徹底し、必須入力となる情報を統一しましょう。営業にとってデータ入力は面倒な作業になりがちですが、入力の手間がかからないようフォームを簡略化したり、入力する目的を組織内で共有するなど、メンバーが入力しやすい環境づくりを心がけることも大切です。
ポイント2:パイプライン管理の認識をすり合わせる
フェーズの定義や管理の目的が人によって異なっていると適切な運用を行えなくなります。何の条件を満たしたら次のフェーズに進むのか、パイプラインを行う目的は何なのか、チーム全体で共通認識をもつことが重要です。担当者全員が最適な管理を行えるように、業務フローの理解などの教育を定期的に実施し認識を合わせましょう。
ポイント3:ツールを導入して運用体制を整える
CRMやSFAなどのツールを導入し、データ管理の仕組みを整えましょう。
パイプライン管理では、先述した通りチーム全員がリアルタイムかつ正確なデータを共有することが重要です。しかし、データの入力や集計に時間がかかりすぎては運用を行うことが難しくなります。そのため、データ入力が容易で専門知識がなくでも簡単に分析が行えるCRMやSFAなどのツールを導入することがおすすめです。
これらのツールを導入することで、データ入力が簡単になることに加え、データの可視化やデータに基づいた売上の予測、改善などがしやすくなります。また、一元管理できるため、担当者が変わっても統一されたフォーマットで入力でき、情報が分散することがありません。
参照:CRMとは?導入メリットや機能、選び方やおすすめツールまで解説
参照:SFAとは?基礎知識からCRMやMAとの違いや導入ポイントをわかりやすく解説
まとめ
今回は、営業の一連の業務フローをパイプに見たてて管理する「パイプライン管理」についてご紹介しましたが、いかがでしたか。
パイプライン管理を行うことで、どこのフェーズで無駄が発生しているのか、ボトルネックは何なのかが明確になり効率的に管理を行うことができます。パイプライン管理を行う際は、チームメンバー全員の認識を揃えた上で、リアルタイムでの情報共有が可能になるような運用体制を整えることが重要です。
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