【前編】Marketing Cloud Connect(MCコネクト)とは?Salesforce Marketing CloudとCRMを統合する方法

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【前編】Marketing Cloud Connect(MCコネクト)とは?Salesforce Marketing CloudとCRMを統合する方法

この記事でわかること

  • Marketing Cloud Connect(MCコネクト)とは?
  • MCコネクトの主な機能5つ
  • MCコネクトの活用事例
  • MCコネクトを導入する際の注意点

執筆者 杉山元紀

Salesforce Marketing Cloud(以下、MC)とSalesforce CRMを統合するためのコネクタ機能であるMarketing Cloud Connect(以下、MCコネクト)についてご紹介します。この統合により、SalesforceユーザーはSalesforce CRM内でMCにアクセスし、ターゲティングされたマーケティングキャンペーンを作成し、顧客とのエンゲージメントを向上させることができます。

今回は、前編と後編に分けてMCコネクトについて解説していきます。

1. Marketing Cloud Connect(MCコネクト)とは

MC Connectは、Salesforceのマーケティング自動化ソリューションであるMarketing Cloudと、Salesforce CRMを統合するためのコネクタ機能です。

Salesforce CRMとMarketing Cloudをシームレスに連携することで、CRMの顧客情報やキャンペーンデータ等を活用してデジタルマーケティングに活用することができます。Salesforce CRMとMarketing Cloudの同期頻度は最短15分間隔で継続的に同期されます。

2. Marketing Cloud Connect(MCコネクト)の主な機能

Salesforce CRMとMarketing Cloudのシームレスな連携を実現することができるMC Connectですが、様々な機能を有しています。そのなかで今回は主な機能を紹介させていただきます。

1.CRMオブジェクトの同期(Salesforce CRM→Marketing Cloud)

MC Connectを介してSalesforce CRMとMarketing Cloudを連携することで、Saelsforce CRMのオブジェクトをMCに同期することができます。連携するオブジェクトや項目はMC側から選択することができ、必要なデータのみをMCに同期することができます。

Salesforce CRM(Sales/Service Cloud)から同期されたオブジェクトは「Syncroized DE」としてMCに格納されます。この「Syncronized DE」は送信可能DEではないので、メール配信対象として利用することができない点は注意が必要です。

「Synchronized DE」内のデータに対してメールを配信したい場合は、「Synchronized DE」のデータからフィルターまたはクエリアクティビティを用いて「配信用DE」を作成する必要があります。

また、同期頻度は最短15分間隔であることも覚えておきましょう。

2.配信結果の連携(Marketing Cloud→Salesfroce CRM)

MCから配信したメールの配信結果を個人単位でSalesforce CRMに戻すことが可能です。配信結果として連携される主なデータは以下になります。

  • メール名
  • メール送信者名
  • 送信メールアドレス
  • メール送信日
  • 開封(チェックボックス)
  • 開封日
  • クリック(チェックボックス)
  • 配信されたメールサムネイル

これらのデータが個人単位で連携されるので、企業やブランドはメールの送信状況やアクションなどを確認した上で、顧客に対して最適なコミュニケーションを図ることができます。

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3.Journey Builderのシナリオの起動

Salesforce CRMにおいて新たにレコードが追加された場合や、情報の更新を行ったことをトリガーにシナリオを起動させることができます。

例えばJourney Builderで会員ステータスが「休会」になった人を対象にした、再エンゲージシナリオを組んでいたとして、Salesforce CRMで会員ステータスが「休会」になったタイミングで、該当会員をシナリオに自動的にエントリーさせることができます。

これ以外にも、Salesforce CRMで新たに会員情報が作成された際に、Journey Builderの「Welcomeシナリオ」にエントリーさせることなども可能で、マーケティング活動の自動化を実現することができます。

4.Salesforce CRMのレコードの新規作成/更新

Journey BuilderからSalesforce CRMのレコードの新規作成や更新を行うことができます。例えば、MCで作成したフォームを登録した人の会員レコードをSalesforce CRMに新規作成することや、会員レコードの値を更新することも可能になります。それ以外にもSalesforceキャンペーンのメンバーに追加することも可能です。

5.Salesforce CRMで作成したレポートにMCからメール送信

Salesforce CRMの標準機能であるレポートやキャンペーンで作成したセグメントをMCにインポート・DEの作成を行い、そのDEに対してメールを送信することが可能です。

この機能を利用することで、CRMのデータに対してメールを送信する場合、MCでクエリをかかずに配信対象者をレポートやキャンペーンで抽出することができるため、配信対象抽出工数を大幅に削減することができ、かつ配信対象者のメンテナンスも容易になります

ただし、以下の制約があることには注意しましょう。

  • 1送信で10のレポート/キャンペーンの送信が可能
  • リードと取引先が混在したキャンペーン/レポートは利用不可

3. Marketing Cloud Connect(MCコネクト)の活用例

MC Coonectを活用した施策例としては以下のような施策が可能です。

初回購入促進シナリオ

ECなどのビジネスを展開されている企業ですと、導線としてまず会員登録を設置されている企業も多いと思います。会員登録がされてから、初回の購入(または利用)を促すためのシナリオとして、会員登録後のユーザーに対してお礼メールや初回限定クーポンの案内等を行い初回購入を促すシナリオを構築することができます。

具体的にはCRM側で新規に会員レコードが作成された際に、新規会員レコード作成をトリガーにMC側であらかじめJourney Builderに用意しておいた、初回購入促進シナリオ(お礼メールや初回限定クーポン等のメールアクションが設定されている)にエントリーさせるといった流れになります。

会員ランクアップ促進シナリオ

自社で会員ステージ管理やロイヤリティプログラムを用意されている企業では、会員ステージのランクアップ間際の会員に対して、次ステージの特典を提示しながら購入を促すといったシナリオもMCコネクトを活用すれば簡単に構築可能です。

具体的にはCRM側で各会員ステージごとに、ランクアップ間際の会員をレポートにて抽出します。作成したレポートをMCに取り込むために、MCのEmail Studio内「インタラクション」からレポートのインポート設定を行います。

そうすることでSalesforce CRMのレポートで抽出したステージランクアップ間際の会員をMCに連携することができ、Journey Builderを用いてランクアップ特典の提示や限定クーポンなどの訴求を行うことが可能になります。

保有ポイントの通知シナリオ

ECビジネスを展開されている企業のなかには自社独自でポイントサービスを運用されている企業もあるかと思います。そういった企業では、ポイントを保有している会員に対して、定期的に保有ポイント数や有効期限を訴求したり、有効期限間際のユーザーに対してポイント利用を促すことが可能です。

Salesforce CRMでポイント数や有効期限のデータを保持していれば、それらのデータをMCに連携し、Automation Studioのクエリアクティビティを利用して、Syncronized DEから「有効期限当月を迎える会員と会員ごとの残ポイント数」などの条件を指定して配信用DEを作成します。

作成した配信用DEをJourney Builderのエントリーソースとして設定し、該当会員に対して有効期限の通知やポイント利用を促すコミュニケーションを実行することができます。

また、作成したクエリアクティビティは定期実行のオートメーションとして作成しておくと、例えば毎月条件に該当する会員を自動的に抽出・メール配信することが可能です。

4. Marketing Cloud Connect(MCコネクト)導入時の注意点まとめ

①MCコネクトを利用できるライセンスかを確認する

MCコネクトを利用するためには、Salesforce CRM(Sales/Service Cloud)とMarketing Cloudのそれぞれのライセンスをまず確認しましょう。

Salesforce CRMでMCコネクトを利用できるライセンス

  • Unlimited Edition
  • Enterprise Edition
  • Performance Edition
  • Developer Edition Sandbox

また、Platformeライセンスを利用の場合はMC Connect接続ユーザー分だけCRMライセンスを契約するとMC Connectの接続は可能です。(管理者用とAPI接続用で最低2ライセンス)

ただし、PlatformライセンスのみではCRMの標準オブジェクトを利用することはできないので注意が必要です。

Marketing CloudでMCコネクトを利用できるライセンス

基本的に日本で提供されているすべてのEditionで利用可能です。

  • Pro
  • Corporate
  • Enterprise

Proの場合Journey Builderを利用するには追加のライセンスが必要ですので注意が必要です。

②Salesforce IDが連携キーとして利用される

MCコネクトではSalesforce CRMで自動で振られる「Salesforce ID」が連携キーとして利用されるため、取引先責任者IDやリードIDなど任意のIDを選択することができません。

したがって、MCをSalesforce CRMの導入後に導入するか、同時に導入する場合は特に考慮する必要はないのですが、MCが先に導入されていて後でSalesforce CRMを導入する場合は、MCの購読者キーをSalesforce IDへ移行する必要があり、この作業はSalesforce社が行うため一定期間要し、その間はMCは利用できないため注意が必要です。

③MCからSalesforce CRMへ自動連携されるトラッキングデータはメールデータのみ

MCコネクトを介してSalesforce CRMへトラッキングデータが個人単位で連携されるとこれまでに説明しましたが、連携されるデータは「メールのみ」という点も注意しましょう。

メールのトラッキングデータについては、配信結果を表示する個別オブジェクトがSalesforce CRM側で用意されていて、Salesforce CRMとMCの環境が1対1で自動的に紐づきます。

メール以外のSMSやLINE、アプリプッシュ通知などのチャネルのトラッキングデータについては、FTPを通してファイル連携をすることでSalesforce CRM側にデータを渡す形になります。また、ファイル連携する前にMC側でも別で抽出処理を行う必要があるので、メールと同じように自動で連携することはできないと認識しておきましょう。

④Contact数はSyncronized DEに保管されたタイミングでカウントされる

前提としてMCはプラットフォームライセンス費以外にContact数(連絡先数)も課金対象になり、通常ライセンス契約時にContact数も合わせて契約を行います。

上記でも説明した通り、MCコネクトを介して連携されたSalesforce CRMのデータはまず、MC内で「Sybcronized DE」という同期用DEに格納されます。

そしてMCコネクトによって Synchronized DEにより同期されたオブジェクト(Contact)は、MC に同期されたタイミングですべての連絡先に追加され課金対象としてカウントされるということも是非覚えておきましょう。

MCコネクトを介して無造作にすべてのSalesforce CRMの顧客データを連携し、契約Contact数をすぐに上回ってしまった、などの事態にならないよう、どのデータを連携させるのかは注意して進めましょう。

⑤同期するオブジェクトや項目は必要なデータのみに限定する

MCコネクトを介してSalesforce CRMのオブジェクトを連携する際に、すべてのオブジェクト・項目を連携させるのではなく、必要なオブジェクト・項目を精査した上でそれらのデータのみをまずは連携するようにしましょう。

もしデータ量が膨大だった場合、連携パフォーマンスに影響を与え同期に時間がかかったり正しく同期できないという事象が発生する可能性もありますので、注意が必要です。まとめ

5. まとめ

前編では、Marketing Cloud Connectの主な機能や活用例、導入における注意点について解説しました。MCコネクトは、Salesforce CRMとMarketing Cloudを接続し、シームレスなデータ連携を行うことでターゲットに合わせたマーケティングキャンペーンの自動化を実現し、ROIを最大化に役立てることが理解いただけたかと思います。後編では具体的な設定方法について解説する予定ですので、楽しみにお待ちいただければと思います。

StrhではMarketing Cloudの導入やMCコネクトを介したCRMとの連携はもちろん、導入後の活用支援やデータ分析などMarketing Cloud活用について幅広くご支援しています!

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執筆者 杉山元紀

大学卒業後、株式会社TBI JAPANに入社。株式会社Paykeに取締役として出向し訪日旅行者向けモバイルアプリ及び製造小売り向けSaaSプロダクトの立ち上げを行う。
アクセンチュア株式会社では大手メディア・総合人材企業のセールス・マーケティング領域の戦略策定や業務改革、SFA・MAツール等の導入及び活用支援業務に従事。
株式会社Paykeに再入社し約10億円の資金調達を行いビジネスサイドを管掌した後、Strh株式会社を設立し代表取締役に就任。

▼保有資格
Salesforce認定アドミニストレーター
Salesforce認定Pardotスペシャリスト
Salesforce認定Pardotコンサルタント
Salesforce認定Sales Cloudコンサルタント

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